強力台風での夜勤
看護師免許を習得し、1年目だったか2年目だったかのことです。
住んでいる地方に、大きな台風が来ました。
いつもは、大きな災害にあったことがない地域なので、この地域では「19号の時」というと、「あっ!あの時はすごかったよね。」と今でも、言われるくらいの台風でした。
新人だった私が、その日夜勤でアタフタしたことを 書いていきたいと思います。
今ではありえない一人夜勤
当時、勤務していた病院は、透析病院でした。
50床の病棟があり、夜勤はナース一人と、電話やナースコールなどをとってくれたりする おじちゃんと二人だけでした。
とはいっても、そこそこ重症な患者さんもいたりして、これ一人でいいの?というような勤務。
透析の病院なので、突然死される方もいたり、呼吸器をつけている人もいたりと、気を抜けない感じの夜勤でした。
ましてや、新人。
仕事量も多くて、走り回っていたのを 今でも覚えています。
その日は、大きな台風が来るかもしれないとは、言われていましたが、台風が勤務に影響するとはその時は、思っていませんでした。
その日は、重症患者が二人もいて、正直、いつどうなるかの状態でした。
こんな状況でも、新人一人の夜勤です。
あの時は、必死でしたけど、今思えば、当時の婦長さん、これは何とか対策練らないといけないでしょうと、思ってしまいます。
しかも、二人の患者さんは、5階と4階に分かれています。
夜勤も通常勤務と、この二人のところに行ったり来たりしている状態でした。
今、この勤務をしろと言われたら、走れないし、体力がもたいないと思います。
台風の猛威
患者さんの夕食も終わり、投薬を急いで済ませて、重症二人の病室に行きます。
すると、一人の患者さん、Drコールの必要がありました。
すぐに、医師の当直室に連絡をいれるのですが、連絡がつかず、夜間透析をしている、透析室に電話するけど出ない状態でした。
なんで!
電話に出ないなんておかしいと思い、3階の透析室に走って降りました。
3階透析室の扉を開いた瞬間のことです。
「お前!何しとんじゃ!早う手伝え!」
と一人の透析をしている患者さん。
ベッド上で、上体を起こし座って、自分の透析ポンプを穿刺していない方の手で回している状態でした。
その中には、Drと一緒に夜勤をするおじちゃんも参加していて、誰も手が離せない状態でした。
台風の影響で停電し、透析の機械が停止するという事態になっていたようです。
透析のスタッフが、大急ぎで、透析の終了をしている状況でした。
この状況に、私も戸惑ったのですが、私が病棟を離れ、ここを手伝うということは、できないことは一目瞭然です。
怒鳴っていた患者さんには、
「すいません!今、病棟も大変で本当にごめんなさい。」と言い、Drに報告をして、私は、重症の患者さんにあたりました。
病棟はとりあえず、電気はついていたので、まったく気づかなかったです。
その後、二人の患者さんも、状態が安定しない状況でしたが、一人がお亡くなりになりました。
台風のその後の影響
その後、大きな範囲で地域全体で停電となりました。
うちの家では、母が、水がでるからと、洗濯機のスイッチを入れようとして
「あ~~これも電気だった~~」
と、騒いでましたが、電気のない生活がこんなに不便とは、思いもよりませんでした。
この病院は、病棟勤務もするけど、透析室、外来の勤務もローテーションで回ります。
夜間透析の勤務の日に、例の自分で機械を回していた患者さんと話すことができました。
その時の話になり、「あの時はすいませんでした。」と言うと、患者さんは状況をもう把握されていましたが、
笑いながら、
「手伝ってくれんのんじゃけん。」と言ってました。
そのあとに、あの時は、あんなことになるとは、思わなかったなどと話してました。
災害が最近多いですが、本当に、災害の危機感のない、生活の中で起きたことだなと考えさせられました。
提携している総合病院では、エレベーターの故障で配膳ができず、スタッフ総出で、バケツリレーのように食事を運んだと聞きました。
こんな時の対応なんかは、以前と違ってきているとは思いますが、今はどうなっているのでしょうか?
最近は、以前よりも、災害の危機感が高まってきていると思います。
この時代とは、意識的にも違うと思いますが、電気って本当にないと困りますよね。
もうやめてしまったけども、この病院も、今は当然一人での夜勤はしていないし、病院自体も建て替え、以前よりもよくなっています。
こういった時の対策までは、わかりませんが、よくなっていることを願いたいと思います。
この記事を書いた人
- 転職を重ねながらも、この仕事に長く関わってきました。最近、月数回、小児科の夜間救急のパートで仕事をしています。
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転職を重ねながらも、この仕事に長く関わってきました。最近、月数回、小児科の夜間救急のパートで仕事をしています。
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