虐待から子供を救え!file.3 小児科ナース奮闘記
この記事も長く続いて、第3話に入りました。file.1、2とともに閲覧してくださっている方、ありがとうございます。
今回のお話は決行当日〜後日のフォローアップまでの対応となります。
決行当日
朝9時、予定の時間になりました。
あらかじめ、病院クラーク・病棟クラークには、情報を提供していたので、もし面会に現れた時にはそこで制止していただくように周知してあまります。
病棟内に、警備も配置しました。あくまで、他の入院患児に迷惑がかからぬように実行していきます。
準備が整ったところで、児童相談所の職員が5名ほどで来ました。(正直、こんなにたくさん来たことにおどろきました)
幸いにも、当人は個室に入院していたので他の児の保護者が怪しんでいる様子はありませんでした。
そして、病室に入り私たちからいろいろ情報を聴取したり、荷物をまとめたり、準備を整えていきます。
「〇〇くん、〇月〇日、〇〇時〇〇分に保護します。」
決められたセリフなのでしょうか、誰かの号令がかかったのと同時に、児童相談所の職員全員が荷物を手に取り、男性職員が本人を抱き上げ、足早に病棟を出ていきました。
途中、入院していた児の泣き叫ぶ声が響いています。
「ママー!ママーー!ママーーーーーーーー!!」
例え、虐待を受けていたとしてもママはママなのでしょうか。“これが本人のためだ”とわかっていても、なんだか居た堪れないような気持ちになりました。
保護者の怒りが病棟へ
患児保護から2時間ほど経ちました。先ほどの嵐のような保護から静けさが広がっています。
午前11時頃、病棟に電話がかかってきました。
「うちの、〇〇はどこにやったんですか!!!」
受話器を離しても聞こえるような大声で叫び、怒りを露にしているママの声でした。しかし、病棟から応える内容もしっかりレクチャーを受けていました。
「お答えできません。」
何を言われてもこの言葉しか言ってはならないと師長および、児童相談所の職員から指導を受けていました。
「うちの子は今、どこにいるんですか!?」
「お答えできません。」
「主治医はどこですか!?主治医の判断でやったんですか!?」
「お答えできません。」
「あなたの名前は!?事務!?看護師!?」
「お答えできません・・・。」
そんなやりとりを数十分行い、ママが諦めたように低いトーンで言いました。
「マニュアル通りのお答えですね・・・。うちの〇〇が戻ってくるまで毎日毎日電話かけてやりますから。」
そして、電話が切らました。ママの怒りの矛先がこちらに向いていることは明らかでしたので、病棟は厳戒態勢で業務を続けなければなりません。
終日、警備は続けてもらいましたが病棟への訪問はありませんでした。
その日は、小学生の頃ぶりくらい集団帰宅の周知が届き、同じ宿舎に住む先輩数人と自宅まで帰りました。
余談
その日の帰りに、夫婦揃って病院のバス停の前で待ち伏せ(?)している様子を他の看護師が見たとの情報がありました。
警備に連絡して、帰宅したそうですがその看護師は受け持ったことがないらしく顔バレはしてないようで特に話しかけられることはなかったそうです。
その後のフォロー
その後、3日くらいは病院に問い合わせの電話をしていたそうですが、代表の電話でくい止めるよう(小児科に繋がないよう)に周知しておいたので、諦めたのか自然に件数は減りました。
病棟に、実際に来ることもなく穏やかに過ごしていました。
一時保護した後に、両親との面談や指導を繰り返し、3か月後には両親のもとに戻ったようです。
これ以上のトラブルを避けるために、顔見知りの主治医は交代し、その後のフォローや検診には違う医師がついています。
今後、繰り返すことがないように外来でのフォローはしっかり行っていきます。
一時保護のタイミングでは両親揃っていましたが、今後はママひとりで育てていく方針に決まったそうです。
まとめ
長々と三記事にわたり、虐待対応の経験を語ってきましたが、私の中で衝撃的だった看護です。
どんな事情があろうと虐待は許される行為ではありません。
今は、小児病棟にこそいませんが、子どもと関わる仕事をしているので、理不尽な虐待から全力で守ってあげたいと思います。
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