伝わりにくい医療用語
みなさん、こんにちは!
看護師だけでなく、医療従事者は日常的に医療用語を使います。
当然患者さんは医療職でない一般的な方々も多いので、患者さんにとってわかりやすい言葉に置き換えているように心がけている方もいらっしゃると思います。
しかし、「これくらいなら理解してもらえるだろう」と思って使用した用語が、実は馴染みのない言葉だった・・・ということもありえます。
中には「聞いたことがない」と、困惑させてしまうことも。
特にカタカナ語や略語は聞き慣れないうえに、漢字のように文字から意味を想像することも難しいものです。
今回は患者さんに伝わりにくい医療用語と、その言い換え方についていくつかご紹介したいと思います。
1.病名についての用語
・褥瘡(じょくそう)=床ずれ
最近は徐々に一般的に使われるようにはなってきましたが、まだまだ一般的になじむまでには至っていない用語です。
「床ずれ」という表現を使って伝わりやすいように心がけましょう。
・イレウス=腸閉塞
医療者同士ではよく使う言葉ですが、患者さんにはおそらく伝わらない言葉の代表格でしょう。
「腸閉塞」という言葉であれば、漢字からなんとなく意味は通じるでしょう。
より正確に伝えたい時には、図を用いて具体的な状態を説明するなど、ビジュアル面での工夫も必要です。
・合併症=ある病気、またはある治療が原因で発症する別の病気
この言葉は二つの意味合いを併せ持つため、特に意味が複雑で分かりにくく、患者に伝える際に混乱が起こりがちです。
分かりやすい伝え方を工夫するには、「合併症」を二つの意味に区別し、それぞれ別々の対応を行うのが適切です。
病気の合併症の場合は、その意味を明確に説明する工夫が必要です。
一方、手術や検査などの合併症の場合は、「併発症」「手術併発症」「検査併発症」などの用語を使った上で、その意味を明確にすることが求められます。
2.治療や処置についての用語
・IVH=栄養を点滴で摂る治療
アルファベットの略語は、患者さんにとって理解しにくい用語の代表例でしょう。
素直に「病気や治療の影響で食事がとれないため、生命維持に必要十分な栄養を点滴で摂るための処置」と言った方が無難です。
・清拭(せいしき)=体を拭く
・臥床(がしょう)=横になる
これらは漢字を見れば何となく意味が通じても、耳から聞くだけではピンとこない、というタイプの医療用語でしょう。
具体的な処置の表現を使った方が無難です。
・インスリン=「膵臓で作られ、血糖を低下させる作用のあるホルモン」
糖尿病の治療に用いられるインスリンは、非常に認知度の高い治療薬です。
しかし、「インスリン治療は一生続けなければならない」「インスリンには内服薬もある」といった誤解もあるようです。
インスリンという言葉を患者さんに伝える際は、薬の作用やその用途について、具体的に伝えたほうが得策です。
3.説明についての用語
・オペ室=手術室
手術は英語で‘operation(オペレーション)‘といいます。それに由来する通称です。
これも医療者にとってはおなじみの用語ですが、一般の方には通じないこともしばしば。気を付けましょう。
・ムンテラ、IC=病状や治療の説明
ムンテラはドイツ語由来、ICは英語由来の医療用語で、どちらも患者さんやご家族に対して病状・治療について医師に説明することです。
医療者としてはついつい使ってしまいがちな用語ですので、気をつけたほうがいいかもしれません。
・オリエンテーション=ご案内
患者さんが外来・病棟にいらしたときに病棟スタッフが様々なご案内の説明をすることを意味します。
看護師どうしではよく使われる用語ですが、やはり一般的には通じにくい用語ですので、注意しましょう。
・セカンドオピニオン=主治医以外の医師に意見を求めること
患者さんが治療や検査等について、主治医以外の医師に意見を求めることをセカンド・オピニオンといいます。
セカンド・オピニオンにより患者さんご自身が病気についてより深く理解し、治療について医師任せにせず、最終的に治療等の方針を決定できるよう複数の医師の意見を聞くことができる、ということです。
4.まとめ
以上、患者さんにとってわかりにくい医療用語についてお話ししました。
特に説明する対象が高齢の患者さんの場合、理解していただくのが難しい医療用語もあります。
患者さんとお話しするときは、できるだけ医療用語を避け、わかりやすい言葉を使うよう意識しましょう。
この記事を書いた人
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産婦人科病棟/内科整形外科の急性期病棟勤務
現在は2児のママで育休中。
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- 仕事に役立つコラム2017年3月21日伝わりにくい医療用語
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