ナースへの夢を持つ学生さんへ

このサイトを読んでいる人の中には、ナースになることを夢見て、毎日の勉強や実習を頑張っている学生さんも多いことかと思います。

まだ実際に働きだしていない段階でこのようなお話をするのは気が早いかもしれませんが、ナースになった後について考えてみましょう。

どんな職業でもそうかもしれませんが、仕事というのは楽しいことばかりではありません。

悩みをかかえたり、嫌な気持ちになることも多々あります。

私も現役時代、毎日のように、

「どうしたら、もっと良いケアが患者さんにできるのだろう？」

「どうして、彼女はもっと一生懸命に働いてくれないのかな？」

「今のまま、この仕事を続けていけるのだろうか？」

などと、いろいろな悩みが尽きませんでした。

もしこんなとき、仕事へのモチベーションを高めてくれるような人や本、エピソードがあればと思いませんか。

今回はそんな仕事への情熱を取り戻してくれるような、あるエピソードを紹介します。

ある男の子が小児ガンになり入院していました。

お見舞いに行くと、いつも病気とは思えないほどの大きな声で、

「僕は大きくなったら、おまわりさんになって悪い人を捕まえるんだ！」

と、笑顔で話していました。

ある日、いつもは素直で元気な男の子がお母さんに、

「僕の病気は何なの？　僕の病気は治るよね？　大人になっておまわりさんになれるよね？」

と、泣きながら駄々をこねていました。

その夜、男の子は急に容態が悪化して亡くなりました。

男の子の「警察官になる」という夢は、残念ながら叶いませんでした。

そればかりか、

「大人になる」

そんな小さな夢さえ、叶わなかったのです。

私たちは、彼の夢だった大人になっています。

でも、当たり前のように大人になった後、夢に向かって毎日頑張っているのでしょうか？

夢に向かって努力することは当たり前ではありません。

実は、とても恵まれたことなのです。

大人になり、夢に向かって挑戦できる環境に恵まれたことに感謝して、努力していきたいものです。

私は、仕事に対して愚痴や文句を吐く同僚や部下がいた時、時々この男の子の話をして、

「ところで、あなたは小さい時、何になりたかったのかな？」

と尋ねてみることがありました。

そうすると、子供のときに大人になってやりたかったことを思い出します。

大きな夢を持っていたころの自分と向き合います。

特にもし小さな頃からナースになりたい、医療の仕事につきたい、と思っていたとしたら。

初心を思い出すことになり、不思議とやる気を取り戻したりもします。

ただ、子供の頃から今の仕事をやりたいと思っていた人ばかりではないでしょう。

中には夢について具体的に考えたことがない人さえいるかもしれません。

そんな人に対しては、

「なぜ、今の仕事を選んだの？」

と尋ねます。

たとえ今仕事が嫌になっていたとしても、最初からそうだったわけではないはずです。

ナースになった当初は夢と希望に満ちあふれていたはずで、その気持ちを思い出してもらうのです。

「自分は本当に、この仕事に人生を賭けてよいのだろうか？」

簡単に答えが出せる質問ではないと思います。

でも、もし仕事に悩んで自分が嫌になったときは、この男の子の話を思い出してみてください。

「当たり前に感じていた仕事が、実は奇跡である。」

きっと、そんなことに気が付くと思います。