QOLを向上するスウエーデン製TENAオムツを使った感想
私の働く特養では福祉先進国であるスウエーデンの施設と交流があります。
よってオムツもスウエーデンの知る人ぞ知るTENAのオムツを使っています。
スウエーデンの排泄ケアとTENAオムツを使った感想をまとめましたのでご参考下さい。
スウエーデンの排泄ケア
スウエーデンでは、個別に調剤される処方薬と同じように。パット処方看護師によって処方されているのが特徴です。
すべての看護師が排泄ケアに関する基礎的な教育や研修を受けており、プライマリ・ケアユニットには、排泄ケアのアドバイスができる看護師が配属されています。
なかには、泌尿器科医、婦人科医、ウロセラピスト(看護師)、パッド処方看護師のいずれかが配属されているユニットもあります。
地域には、失禁治療専門クリニックがあり必要に応じて治療を受けることもできます。
在宅サービスの場合は、訪問介護職が記入した排泄チェック表に基づき、訪問看護師がオムツを処方したり、必要に応じてプライマリ・ケアユニットにつないでいます。
地域でも排泄ケアの専門的知識をもつ看護師が適切なアセスメントに基づいてケアを行い、医師などと連携する体制が整っていることが、失禁がありながらでも社会参加できる、在宅で快適に過ごせるということにつながっていると感じました。
失禁用パットの費用は、健康保険によってカバーされており、失禁がある人のパッド利用率はほぼ100%です。
これにより例え失禁症状があってもQOLは向上されるのです。
失禁は、老化現象ととらえがちですが、スウエーデンでは、失禁は疾患であり治療が必要であるという点や、失禁症状はQOLに大きな影響を及ぼすことということに重点を置き十分に看護師に排泄ケアの研修をしているなと感心しました。
適切に選択し使えば交換回数減少
正しく選択し正しく使わないと利用者に不快感をもたらすだけでなく、TENAオムツは他に比べて高価なため施設経営にも悪影響を及ぼします。
よって、TENAから専門看護師(TENAアドバイザー)が派遣されてアセスメントのお手伝いをしてくれます。
利用者の快適さとコスト面も併せて施設スタッフと一緒に考えてくれます。
最低でも月1回は訪問してくれます。
施設によっては、夜勤帯にTENAアドバイザーに来てもらい排泄指導を受けているところもあります。
まず、入所時は排泄ごとにオムツを図って1回の排泄量を調べます。時間ごとに記入をしたり、または、言葉には出せない排泄のサインを見逃さないように観察しています。
TENAの基本は、夜間は安眠を守るために朝までおむつ交換をしないでいいようにオムツを選択します。
ここが一番驚いたところです。
夜間でも体位変換の時間に合わせておむつ交換をしていた私はカルチャーショックを受けました。
反対にスウエーデンの方は日本の排泄ケアの状況を聞いて、おむつ交換の回数が多くて夜間眠られるのか、何回も恥ずかしい思いをさせて可哀そうにと言います。
確かに、夜間に起こしてまでおむつ交換をして患者を怒らせたこともあります。
でも皮膚トラブルが起きないのか心配でした。
きちんと尿量に合わせたオムツを選ぶと、オムツから尿の逆流はなく皮膚悪化したケースはありません。
入院中は、日本のオムツで褥瘡が悪化したけれど、特養に帰ってきてTENAオムツにして褥瘡が改善した例があります。
便失禁に関しては、できるだけ日中は寝たきりの方も車いすに座るようにトイレでしているため、日中に出るように下剤を使っている方には調節も必要です。
もちろん夜間に排便があった場合は、オムツに吸収されませんのでオムツ交換をしています。
日本のオムツにない形状
TENAのオムツは日本のオムツと違い多くの種類の形状や大きさがあります。
全体的に日本のオムツに比べ薄く外から目立たないようになっている印象を受けます。
薄いからといって漏れやすいというわけではありません。
まず、日本にないオムツの形としてふんどし型があります。
足の付け根の締め付けが少なく快適なようです。
しかし、やせた方にはなかなかフィットさせるのは難しく、股の間から尿が漏れてくることが多いです。
そのような場合は、日本のオムツにあるスタンダード両脇マジックがあるものに変えます。
パッドは、おしりや股の形状に合った形と尿量に合わせて数種類用意されています。
スウエーデンでは、おしり全体を覆うオムツより衣服の上から目立たず快適に過ごせるパッドを選ぶ傾向があるようです。
なので種類が豊富なのです。
そして、パットがきちんとフィットするようにTENAからボクサー型のパンツがあります。
メッシュのものや綿素材で厚手のものがあります。肌触りが良くて、おむつのギャザーで痒みやかぶれが生じる方には、大きなパットとTENAパンツを合わせて使っています。
ベッド上で陰部洗浄をするときに使う平オムツは、日本製の方が吸収力がよくTENAも改善してくれないかなと思います。
スウエーデンでは、寝たきり高齢者が少なく必要性を感じないからかもしれません。
さいごに
疾患や症状の中で最もQOLに影響するのは認知症だと言われていますが、失禁症状も視覚・聴覚障害以上にQOLに悪影響を及ぼし低下させることが研究によりわかってきています。
適切な排泄ケアを行うことは、QOLの向と自宅での生活を継続できるためにも重要なポイントとなっています。
特養入所前訪問をすると、ご家族の悩みの多くは排泄ケアです。
日本の看護師は、もっとQOLを重視した個別的な排泄ケアについて勉強していかなければいけない世の中だと日々感じています。
TENAアドバイザーに支えられながらまだまだ私も勉強中です。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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この記事に対するコメント
こごみ
コメントありがとうございます。
私も、最初はそれが心配でした。
しかし、尿量にあった適切なオムツを選ぶことによって蒸れは軽減されます。
施設では、新入社員研修でTENAオムツをつけて実際に体験した経験です。
施設から病院で入院すると日本のオムツにし換の数も多いのに床ずれが多いのを見るとやはりオムツ選びは大切なのではないかと私は思います。
しかも嫌なのにオムツ交換するとさらに不信感の増加に繋がるならば、本人が不快でなければおむつ交換回数を必要最低限にしたいものです。
しかし、排便に気づいた場合はすぐに交換しています。
便は、オムツに浸みこまず蒸れるからです。
介護ママ
濡れれば、蒸れて気持ち悪いものです。肌も弱くなります。
北欧の体の大きな人たちを介護するために、職員サイドの目線での事ではないのでしょうか?
こごみ
コメントありがとうございます。
私も、最初はそれが心配でした。
しかし、尿量にあった適切なオムツを選ぶことによって蒸れは軽減されます。
施設では、新入社員研修でTENAオムツをつけて実際に体験した経験です。
施設から病院で入院すると日本のオムツにし換の数も多いのに床ずれが多いのを見るとやはりオムツ選びは大切なのではないかと私は思います。
しかも嫌なのにオムツ交換するとさらに不信感の増加に繋がるならば、本人が不快でなければおむつ交換回数を必要最低限にしたいものです。
しかし、排便に気づいた場合はすぐに交換しています。
便は、オムツに浸みこまず蒸れるからです。
介護ママ
濡れれば、蒸れて気持ち悪いものです。肌も弱くなります。
北欧の体の大きな人たちを介護するために、職員サイドの目線での事ではないのでしょうか?
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