覗いてみよう☆精神科病棟のお仕事⑦~アサーショントレーニング~
こんにちは、しまりんごです。
精神科病棟のお仕事シリーズも第8弾目!そろそろ終盤です。
今回のテーマは「アサーショントレーニング」☆
このワードも精神科勤務経験者でないと聞きなれないものかもしれませんね。
精神科業界でも最近耳にするようになったばかりという印象のアサーション。
どういうものなのか、なんのためなのかお話していきます。
アサーショントレーニングとは
まず、自己表現には、3つのタイプがあります。
- ノン・アサーティブ(非主張的)
- アグレッシブ(攻撃型)
- アサーティブ(攻撃型と非主張型の黄金率)
自分よりも他人を優先し、自分は後回しにする
自分のことだけを考えて、他人のことなどお構いなし
自分のことをまず考えるが、他者への配慮も忘れない
アサーショントレーニングというのは分かりやすく言えば、自己表現をアサーティブに近づけていくトレーニングです。自分の気持ちや、考え、信念等が正直に、率直に、しかしその場にふさわしい表現で伝えられるようにするという目的があります。
なんかいまいち分からないんだけど
という声が聞こえてきそうです(笑)
では、分かりやすくお話しします。
例えば、お友達と行ったレストラン。とても混んでいます。待って待って待ってやっと出てきたスープ。冷製スープではないのに、なぜかもう冷めてしまっていておいしくない。そんな時、あなただったらどうしますか?
ノンアサーティブだったら・・・
「ねぇ、これ美味しくないよね?冷めてるよね?」「うん。冷製じゃないと思うんだけど・・・」「でもお店忙しそうだから、仕方ないんだよ」「そうだね・・。がっかりだけど、仕方ない」なんていう会話の末、何も言わずに、我慢して食べてしまう。
アグレッシブだったら・・・
「は?なんだよ、このスープ!ずっと待ってたのに、こんな冷めたスープ出すわけ?ありえないんですけどー。いったいどうなってんの、この店!ちょっと責任者出せよ!」と店員に怒鳴る。
アサーティブだったら・・・
「すいませーん」と丁寧に店員さんを呼び、「このスープって冷製スープでしたっけ?あ、やっぱり違いますよね?今日すごく楽しみにして来たのでできれば温かいのが食べたいんです。代えてきてもらってもいいですか?」と穏やかに言う。
こういう違いです。ノンアサーティブは、お金を払っているにも関わらず美味しくない料理を我慢して食べて楽しいはずの友達との時間はなんとも言えない苦いものになるでしょう。アグレッシブは、店員さんだけではなく、その場にいるたくさんのお客さんまで嫌な思いをさせてしまうし、結果として自分にとっても愉快な時間にはならないでしょうね。アサーティブだったらどうですか?始終穏やかな対応で店員さんを罵ったりはしていないのに、あったかい美味しいスープが飲めそうですよね☆
精神科の患者さんにとってのアサーショントレーニング
精神科の患者さんは、コミュニケーションが苦手であることは多いのですが、そのなかでも主張の仕方が上手じゃないケースがとても多いのです。ノンアサーティブかアグレッシブに偏ってしまう傾向があって、ノンアサーティブな場合自分の気持ちを抑圧してしまい、そのうちにうつ傾向になってきたりしますし、アグレッシブに偏っている場合、トラブルが絶えません。特にアグレッシブな場合、いちゃもんつけられてると相手が判断すれば警察沙汰になることだってあるのです。冷たいスープが出てきたから怒った。筋は通っているでしょう?でも、脅迫みたいにとられてしまう。それは他者への配慮ができていないから。表現の仕方一つで、その人への印象まで大きく変わってしまいます。ですから、↑のような具体的な場面を出した上で、患者さんにアサーティブな表現を考えてもらうようなトレーニングをしています。
精神科病院というのは特殊な世界で、実はあらゆるストレスから患者さんを保護している部分があります。特に人間関係のストレスに関してはそうです。患者さん同士のトラブルはすぐに看護師が間に入るし、ノンアサーションな人でもアグレッシブな人でも、周囲が「そういう人だから」と思って付き合ってくれている部分が大きいのです。
けれども、一歩外に足を踏み出したら、そういうわけにはいきません。アサーティブな自己主張ができることは、トラブルを回避しつつも自分の目的を果たす意味でとてもメリットのあることなのです。政府は国内の精神科病床を大幅に減らす政策をとっていますので、精神科の患者さんを外来通院にもっていくために精神科病院も退院調整に力を入れるようになってきました。その一つとして、アサーショントレーニングを取り入れている病院は増えています。
いかがでしたか?アサーショントレーニングも、学校や職場などでできるようになったら良いのに・・・と私は思います。接遇教育は外部の講師までよんでしていたりしますが、アサーショントレーニングのがいろんな場面で実用的なのではないでしょうか☆
この記事を書いた人
- 育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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