ナースはつらいよ

覗いてみよう☆精神科病棟のお仕事③~服薬管理~

こんにちは。しまりんごです。

精神科のお仕事を覗いてみようシリーズ第3弾。今回は、服薬管理がテーマです。

今私が勤めている一般病院の急性期混合病棟での服薬管理は、ほとんどの患者さんが自分管理☆認知症があったり、ちょっと高齢で管理できるか心配だったり、薬によってちょっと飲み方が難しかったりという場合のみ、看護師と薬剤師が病棟で管理しています。服薬確認もそこまで厳密ではなく、自分管理の方なら「お薬飲めましたか?」と口頭で確認したり、空になった薬包をみたら飲んだと判断する感じでやっています。

精神科に勤めていた私としては、「すっごーく楽!」です。なぜなら、精神科での薬の管理は本当に大変だったから。では、覗いてみましょう、精神科の薬の管理って?

精神科患者さんにとって薬とは?

精神科領域の治療のメインは内服治療です。1に薬、2に精神療法、3に作業療法というのが3本柱なのですが、精神科にとって薬は治療の要です。しかも、一般的に使用される薬(解熱鎮痛剤、抗生剤、感冒薬みたいなね)とは違い、向精神薬は飲みだしてから効果が現れるまでに結構な時間がかかります。あ、睡眠導入剤はわりと即効性があるんですがね。

精神科の患者さんが入院するとき、それは大抵、「もう家ではどうにもならん時」なわけですが、例えば統合失調症の急性期にある妄想、幻覚、興奮状態のある患者さんが、「はい、薬ですか、ありがとう」と飲んでくれるケースはものすごく稀です。大体拒絶。9割がたすんなりのんでくれません。なぜなら、『病識』というものが欠如しているから。「自分は病気ではなく、なぜ入院しなくてはならないのか分からない」わけですので、薬を飲みたくないのは当然の流れです。

当然、自分で管理をするのは不可能です。おとなしく受け取っても、飲んでいるとは限りません。頭のきれる患者さんは、空袋だけしっかり取っておいて見せ、安心させ、中身は捨てたり、トイレに流したり。前述通り、向精神薬は飲みだしてから効果が出るのに時間がかかるのです。効果が出てくれば、状態が少し落ち着いて薬に対する抵抗が少し弱くなりますが、きちんと服薬してもらえない場合、その効果すら期待できません。

では、どうするのか。私が勤めていた病院では、食後2人ペアで看護師が服薬にまわっていました。患者さんの目の前で封を切り、口の中か患者さんの手のひらに薬を置きます。それだけでは終われません。水を口に含み、嚥下したことを確認する必要があります。飲んだことを確認するため、口を大きく開けてもらい中に薬がないか確認します。そこまでやっても、上手に舌の裏に隠して後で捨てたり、水を含むときに水の中に捨てたりする患者さんも。頭の良い患者さんほど実は厄介なのです。

薬に依存する患者さんの存在

逆に、薬を飲まないと気がすまない患者さんがいます。精神科の患者さんには、精神状態の悪化が身体的な訴えとなって現れる人が多いのです。毎日便が出ているにも関わらず、毎日「緩下剤ください」と詰所に現れ、結果大量の下痢を繰り返す患者さん。飲まなくても鼾かいて爆睡しているのに、消灯前に眠れないからと不眠持薬を要求する患者さん。やたらと鎮痛剤を飲みたがる患者さん。医師が処方内容を見直し、特定の薬を減らすと、減らされたと意識することによって本当に状態が悪化する患者さん。

大抵、看護師からの説明には応じないし納得しないので主治医から説明をしてもらうのですが、それでもなかなか納得せず、最終的にはプラセボ効果。ラキソベロンなどの液体なら、空の容器に少し水を入れて、患者さんの前でそれを水に落とし納得してもらったり、頭の良いしっかりした人にはあまり通じないですが、クリープの粉などを良く効く薬と言って渡したり。プラセボにできない薬の場合、「もうちょっと様子をみてみては?」と待ってもらったりします。要求通りにする方が本当は楽ですが、患者さんにとってメリットにならないことはなるべくしたくない。そんな愛情からの嘘。でも正直この駆け引きはとっても疲れました。

大事なのは気持ちを受け止めること

飲みたくない理由、飲まなくては気が済まない理由があります。どうして飲みたくないの?どうしてそんなに飲みたいの?ちゃんと答えてくれる患者さんもいます。そこに着眼し、医師に相談したりすることもあります。

「一度に飲む薬が多くてお腹いっぱいになるから困る」と言われれば、分2の処方を分3にしてもらって量を分散させたり、「漢方薬が苦手」と言われれば、オブラートやお薬ゼリーで飲みやすくならないか試したり。「不眠時を飲まないと眠れないんじゃないかと不安が強くなる」と言われれば、傾聴する時間を増やし、安心感をもってもらうように関わったり。とても大切なことです。

いずれは自分で管理できるような援助を

私の勤務していた病院では、基本的には閉鎖病棟は薬は病棟管理、開放病棟ではその人に応じたレベルの自分管理にしていました。閉鎖病棟よりも開放病棟の患者さんのが症状が軽く退院できる可能性が高かったためですが、閉鎖病棟から退院方向に話が進んでいる人も、段階を踏んで自分で管理してもらえるようにしていました。

いずれは自分の病気と、そして薬をともに生きる覚悟を、しっかり身につけてもらわなければなりません。精神疾患は、薬を続けていくことが重要であるため、それを自分でできるようにしていってもらうことは自分と向き合えるように援助していくことでもあります。

医療従事者の目がなくなった、その先を、しっかり考え環境を整えること。それが精神科ナースの大事なお仕事です。

この記事を書いた人

しまりんご
育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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闘うワーキングマザー
しまりんご
精神科や緩和ケアなど経験がちょっと特殊!

育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪

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