覗いてみよう☆精神科病棟のお仕事⑥~SST~
こんにちは、しまりんごです。
精神科のお仕事シリーズ第4弾は、SSTです☆
SST?・・・ってなんだ?はい。そういう反応でしょう。精神分野になじみのない方には聞きなれないワードですね。
SSTってなに?
SSTというのは、「ソーシャル・スキルス・トレーニング」の略で「社会生活技能訓練」と訳します。
精神科疾患を持つ患者さんは、人間関係を程よく保つことが苦手なケースが多く、自閉的で人に心を開けなかったり、自分の気持ちを上手に話せなかったり、逆に人と距離を保つのが苦手で近づきすぎて過干渉になってしまったり、人に気を使いすぎて疲れてしまったりと、人とトラブルになったりトラブルを恐れるあまり自分らしく生きられないという事態に陥りやすいという特徴があります。
SSTは、社会で生活していく上で必要な技能の訓練全般を意味しますが、特に、人と良好な人間関係を築きつつ、自分の気持ちも尊重できる方法を身に着けていくトレーニングです。
SSTの実際
SSTの内容や流れとしては、
1、10人から15人程度の患者さんを集める
2、患者さんに「最近困ったこと」「みんなで話し合って意見を出してほしいと思うこと」を出してもらう。
3、その中から一つテーマを決める。
4、配役を決め、困ったという場面について、ロールプレイしてみる。
5、4を振り返り改善点の意見を出してもらう。
6、進行役が5の内容を要約する。
7、8を踏まえてもう一度ロールプレイしてみる。
9、困っていた人に感想を聞く。
10、困っていた人に意見をもとに実践してもらうという宿題を出す。
と言った感じです。進行役は職員ですが、職種としては看護師でなくてもかまいません。私が勤務していた病院では、看護師がやっていました。
みんなどんなことに困っているかというと、「他の患者さんにお金を貸してほしいと言われているけど、どうやって断ればいいのか分からない」とか「薬の副作用が強くて飲みたくないけど、先生にどうやって伝えたらいいか分からない」など、様々ですが、みんなで一人の困っている人のために考え、また共感したりという機会になります。
看護師の役割
まず、参加する人の調整をすること。強制参加ではないので、もちろん本人の意思が最優先ですが、SSTの意図を理解でき、話し合いが成立するメンバーでないと成り立たないのがSSTです。重度の認知症の患者様などは適応外になってしまいますし、興奮状態にある人やうつ傾向が強い患者様にも不向きです。そして適した人数もありますので、SSTを予定している日に合わせて参加者の調整をする必要があります。
また、これが一番大切なことなのですが、人の意見を強く否定するという場面を作らないようにすること。患者様によっては、「自分の意見がいつも正しいんだ」という考え方をする人や、「自分と違う意見を持った人はおかしい」と考える人もいて、その場合、人を強く批判したりしかねないのです。それでは困っているからみんなで話し合いたいという患者様がそれ自体を後悔することになったり、やはり自分はダメな人間なのだと思ってしまったり、意見を出す人が自由に発言できなくなります。
SSTの目的は、困っている人の問題を解決することだけにあるのではなく、「自分と違う意見を受け入れる」ことの訓練でもあるのです。人の数だけ考え方があり、よほど人の道に外れるようなものでなければ、その考え方ひとつひとつが大切だということや、「私とあなたは考え方は違うけれどもそういう考え方も良い」と認め合うこと。それができなければ、人と上手に付き合っていくことはできません。
SSTの進行の中で、人を強く批判するような発言が出ないよう、SSTは人を否定する場ではないということを伝えていったり、少し否定的な発言が出たときは、「あなたはそう思うんですね。いろんな考え方があると思うので、他の人の意見も聞いてみましょう」という風に、自分の意見はたくさんある意見の中の一つだという見方をさせてあげることがとても重要です。
いかがでしたか?私個人の意見としては、SSTは精神科領域以外の場でももっと活用されるべきだと思っています。例えば学校。「自分とは違う、でもそれも悪くはない。」「あ、この人も私と同じようなことで悩んでるんだ。」個性を認め合うこと、共感したり、相手の気持ちを想像すること。それが身につけば、いじめなんて起こらないような気がするんです。もっと、浸透していくといいな、SST☆
この記事を書いた人
- 育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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