ナースはつらいよ

電子カルテのメリット・デメリット 〜デメリット編〜

前回の電子カルテのメリットに引き続いて、今回はデメリットについてお伝えします。

パソコン慣れてない世代の試練

今まで紙カルテで過ごしてきた方達や、新卒と言っても学生時代にあまりパソコン作業が無かった新人さんにとっては慣れない作業ゆえに最初は戸惑う事と思います。医師であれば当然学会発表その他もろもろの発表においてスライドを作成するでしょうからパソコン作業においては慣れている方がほとんどだと思います。ただ、中にはどうしても苦手と言われる部長などもおられます。

私の知っている先生は、パソコンの打ち込みが苦手なために、外来では打ち込み専門のアシスタントさんが専属で付いていました。そうでなくとも2〜3時間遅れが当たり前の外来。人差し指1本でポチポチと記録していたのでは日が変わってしまいますからね。 パゾコンが苦手な人にとっては、ただただ苦痛かもしれません。

パソコンの台数が少ないと見たい時に見れない

紙カルテは一つしか無いため、電子カルテだと皆んなが同時に同じ患者さんのカルテが見れるというメリットをお伝えしました。しかし、逆にパソコンの台数によっては、カルテ自体が見れない状況に陥ります。パソコンの台数は限られています。そこに医師・看護師をはじめメディカルスタッフが皆んな使用するわけですから、時間によってはあぶれる人が出てきます。

勤務前にカルテチェックをしたい!でもパソコンが空いていない!何て事ありませんか?こんな時に紙カルテであれば、患者さん1人のカルテにこだわらず他の人のカルテから順に見ていけるという点があります。勤務前に関わらず、勤務中でもパソコンが空いていないという状況は少なからず遭遇すると思います。

そして、記録を書く時間が遅くなる…という悪循環がうまれます。勤務中だとわざわざ図書室まで行って記録を書くという事もなかなか出来ませんからね。パソコンの前で仕事では無く雑談なんかしている人を見かけたら、頭をカチ割りたくなる衝動にかられます。

画面を開くまでのロスタイム

紙カルテだと、ファイルをさっと開くだけ。それに対して、電子カルテはパソコンの立ち上げから、カルテ画面にたどりつくまでに最短30秒⁉︎はかかります。立ち上げにパスワード、カルテ画面にパスワード。しかも、カルテ画面で記録を書く時には自分の画面でなければなりませんから、画面が開いていても一度閉じてわざわざ自分のパスワードでログインする必要があるのです。面倒臭い。

時間がある時はいいのです。問題は時間が無い時‼︎緊急時に家族の連絡先を知りたい!血液型を知りたい!点滴オーダーをしてもらいたい!早く指示受けをして実施したい!などなど。たかが、30秒、されど30秒です。

また、夜勤明けに眠い時など画面が立ち上がるまでに寝てしまう危険性があります。パスワードを入れて、はい砂時計が出てくる、もしくは丸い表示がクルクル回っている。もはや催眠術の糸でぶら下がったコインを見ているのと同じ状況です。立ち上がった時には夢の中。せめて5秒でカルテ画面までたどりつきたいですね。

紙より重い

紙カルテの場合持ち運びが便利という点はあります。対して電子カルテだと重いパソコンをヨイショと運んで見たい場所に持って行くというのは難しいです。そのために至る所にパソコンが設置されているのでしょうが。

例えば、点滴台で新たに指示が出た点滴の情報を見たい時。しかも点滴台に設置されているパソコンは、他の業務に使われている時。ダブルチェックをする際にわざわざ空いているパソコンの前までピッキングした薬剤を持っていかなければなりません。

タブレット端末や、PDAがあればもう少し手軽に持ち運べますが、電子カルテだけを見た場合には多少持ち運びたい時は不便と言えるでしょう。

医師がしばしば行方不明

パソコンがあれば、どこでも操作が出来るという点から、どこから指示を出したのか分からない事もあります。いや、たいがい指示を出した場所は分かりません。病棟以外でも、外来だったり、医局だったり。

準夜帯に病棟には先生方の姿は見えない。カンファレンスかな?休憩かな?もう帰宅されたのかしら?と思っていると0時近くに指示が出ている‼︎おったんかーい!それなら相談したい事があったのにー!てなります。居ないと思ったら居る。居ると思っていたら居ない。居て欲しい時に居ない。用が無い時にやたら病棟に居る。そんの事がしばしば起こります。

逆に言えば苦手な先生と顔を合わせて話さなくても良いという事でしょうか。医師の行方不明も良し悪しですね。

絵が描きにくい

時に絵を描いて記録を書く事があります。例えば患者さんの口内炎の場所を表したり、転倒予防で部屋の配置を変えた時など。舌縁右側舌尖より、と書くより、ベッドの向きを縦方向窓際へ、と書くより図や絵で説明した方が一目瞭然分かりやすいからです。

ただ、パソコンで絵を描くというのは、かなり難しいです。マウスをいかに駆使するか。身体の一部などはシェーマを使ってそこに目印を入れる事も出来ますが、大部屋のシェーマなんてものはなかなかありません。医師においてもレントゲンや身体所見が描きにくいと思います。写真を撮って貼り付ける方法もありますが、一手間かかりますね。

目が悪くなる、肩が凝る

パソコンを使うと必ず出てくる身体症状。私も就職する前までは視力2.0!は言い過ぎかもしれませんが、裸眼でくっきりはっきり見えていました。それが年々霞むようになってきて…。1〜2年目までは遠くのモニター波形やナースコールの患者さんの名前が見えていたのに。え?加齢⁉︎いや、絶対パソコンのせいです!断言できます!

加えて、肩こりに悩まされます。これはパソコンを長時間同一体位で使う人は必ず起こり得るので、むしろ看護師よりデスクワーク専門の職業の方々の方が悩まされていると思います。電子カルテで2〜3時間記録を書いたり作業をしていると肩がカチンコチンになりますね。他にもきっと身体にかかる負担はいくつかあると思います。

漢字がとっさに出てこなくなる

パソコンで漢字変換ばかりしていると、いざ手書きで文字を書こうとした際に漢字が出てこなくなります。これも加齢もしくはオツムが弱いだけと言われるかもしれませんが。そして、結局分からない漢字を調べる方法としてまたパソコンを使うのです。そうして、パソコンのせいだー!と言いながらどんどん加齢現象が増えていくのでしょうかね。

どうでしょう。

紙カルテのメリット=電子カルテのデメリット。電子カルテのメリット=紙カルテのデメリット。なんて言い換える事もできますが、どちらも一長一短。それぞれのメリットだけを上手く活用して仕事がよりスムーズに運べるようにしていきたいですね。

この記事を書いた人

まこ
看護師9年目。血液内科病棟で勤務し、小児から成人・老年期の看護に携わる。結婚半年後に夫の転勤に伴い退職。現在は一児の母で子育て奮闘中。
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元ナース 現ずぼら主婦と一児のママ☆
まこ
クリーン病棟で長期勤務してました

看護師9年目。血液内科病棟で勤務し、小児から成人・老年期の看護に携わる。結婚半年後に夫の転勤に伴い退職。現在は一児の母で子育て奮闘中。

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