骨粗鬆症治療薬を飲みつづけた副作用で骨折?part2
part2では、ビスフォスフォネート製剤を長期内服による副作用の一つである非定形骨折についてさらに詳しく説明させて頂き、骨粗鬆症による骨折予防について考えてみましょう。
非定形骨折とは
発生部位
大腿骨転子下、大腿骨骨幹部。
さらに、分かりやすく言うと大腿骨の中央部分のまっすぐになっているところです。
定義
下の5つの項目の内、少なくとも4項目を満たしているものとされています。
② 骨折線は、外側骨皮質に始まり、多くは横走するが、大腿骨内側へ骨折線が及ぶに従って斜めになる場合もある。
③ 完全骨折では、両側骨皮質を貫通し内側にスパイクを認めることがある(不完全骨折では外側にのみ生じる)
④ 骨折は、粉砕を認めないか、わずかな粉砕のみである
⑤ 骨折部外側骨皮質の外側膜または内側膜に限局性の肥厚(くちばし様あるいは炎様)を生じる
さらに以下で示した4項目も非定形骨折と関連があると定義されています。
② 片側性または両側性の鼠径部または大腿部の鈍痛やうずくような痛みといった前駆症状がある
③ 両側性におこる不完全または完全大腿骨骨幹部骨折
④ 骨折の癒合遅延
なぜ定形骨折がおこるのか
part1で前述した「骨が生まれ変わるしくみ」と「ビスフォスフォネート製剤の働き」を読んでわかる方もいるでしょう。
ビスフォスフォネート製剤は、骨破細胞の働きを抑えるわけですから、骨密度は増えるけれど、しなやかさを失い骨が弱くなるのです。
例えると、チョークと同じです。硬いけれどしなやかさがないため、衝撃によって簡単に折れてしまいます。
これは、動物実験でも証明されているようです。
骨の強度を決める要素は、骨密度だけでなく、それに加え骨量、骨質によって決まるそうです。
また、病院でX線を用いてよく行っている骨密度を測定するのDXA検査では、骨密度と骨量だけであり質まではわからないそうです。
では骨粗鬆症はどのように予防したらいいの?
日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団が作成した「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」には、「骨密度を上げて骨折を防ぐ以上に、転倒しないようにして骨折をふせぐことが有効である」とされています。
読んでみると、その通りだと納得しました。
現在、高齢者施設で働いていますが、骨折のきっかけは転倒がほとんどです。
転倒していないのに骨折をしていたなんて、10年以上看護師をしていますが片手で数えるほどしかありません。
具体的な対策例として次のようなことが上げられています。
- 不要な眠剤や安定剤、抗不安剤がないか検討する
- 起立性低血圧の原因となるような過剰な降圧剤、抗コリン作用を持つ薬剤使用の検討
- リハビリで筋力トレーニングをする
- 生活の場をバリアフリーにする
- 排尿障害(頻尿をおこすような神経因性膀胱、前立腺肥大など)の治療をする
- 白内障、緑内障の治療をする
転倒を起こった際、事故報告書を書いて振り返りをしていますが、ここまで詳しくアセスメントして看護計画を立てていなかったと反省しています。
さいごに
誤解のない容ように書いておきますが、一律に3年や5年を過ぎたらビスフォスフォネート製剤を中止しなければいけないというわけではないそうです。
医師によれば、個々の骨密度や生活、副作用などトータルして検討が必要だということです。
私たち看護師は、患者が長期にわたってビスフォスフォネート製剤を飲んでいる場合、医師に本当に必要なのか効果があるのか確認することが必要です。
少なくとも高齢者施設では、定期的に検討していないのが現状です。
そして、ビスフォスフォネート製剤を長期的に内服していて、両大腿骨や鼠径部が痛いと訴えている場合は、「肥満のせい、運動不足だから、年だから」なんて簡単に流さずに非定形骨折を疑うことも大切だと知りました。
そうすることが、骨折の早期発見につながり、完全骨折になるのを防ぐことができるでしょう。
また、私も女性であり更年期に向かっています。
ホルモンバランスが崩れ骨折をしやすくなります。
薬に頼るのではなく、骨の質を維持できるように、ビタミンD、タンパク質、リン、マグネシウムなどの栄養素を摂るように気をつけなければと普段の食生活を大切にしなければと改めて思いました。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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