CRCの仕事とは
治験業界について前回簡単にお伝えしましたが、今回は治験コーディネーター(以下CRC)という仕事について詳しく書いていきたいと思います。
業務内容について
治験に限らず看護師として働く上でも保健師助産師看護師法、医療法等があります。それと同じように治験にもその業務を行う上で決まった法令があります。それがGCPです。正式名称は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する法令」と名前が長いためGCPと呼ばれます。
ここには治験を正しく行うための手順やCRCの業務が記載されており、これを順守しながら業務を行います。
CRCの業務は、まず治験実施計画書を理解するところから始まります。
その内容を理解することで治験を行う中で何が必要か分かります。たとえば治験の検査の中で、心電図や採血がある場合は検査を行う検査技師さんや大きな病院であれば検査科に内容を理解してもらうために、説明する資料が必要です。そしてその資料を用いて説明する時間をセッテイングします。そのように何が必要か一つの言葉から考えていきます。
その中で一番大変なので患者さん探しではないかと思います。
CRCと患者さん
患者さんを探す場合も、CRCは看護師という立場ではないので直接声掛けをしては基本NGです。治験を実施するのはあくまで病院の医師でありCRCはその補助的な役割ですので、もしカルテの情報から条件に合致する方がいたら医師に声掛けをお願いしなければなりません。この声掛けが結構難しいです。
患者さんが来ているのに医師が忙しくて声掛けしてくれなかったりもしますので、なかなか上手くいきません。
また、治験という話を聞いて怪しい話でないかと疑いの目を向けてきて話も満足に聞いてくれない場合もあります。そこが看護師と大きく違うところかと思います。CRCは慣れている患者さんには周知されていますが、全く関わることがない患者さんにとっては自分が実験体にされるのではという心理が働きます。
そのようにならないためにも、医師や看護師と普段からコミュニケーションをとり、間に入って頂くことがCRCとしてとても有難いことだと思います。また、患者さんと面談できたとしてそこで安心感を与える面談技術というものも必要ですね。これは、看護師時代に培ってきたもの次第の部分も多いかと思います。
しかし、傾聴し過ぎると時間が大幅にかかり医師や看護師に迷惑がかかることがあります。患者さんとの関わりや調整は院内の状況を確認しながら、一番良い方法を即時判断することがCRCに求められます。
CRCと病院スタッフ
よく白衣を羽織ったCRCが院内を歩いている姿を見たことある方いると思います。また、医師が来るのを待っていたりスタッフに声掛けたりとCRCの業務は多岐にわたります。そんな中で病院スタッフとの関係性作りが及ぼす影響は大きいです。
元々病院で勤めていた看護師でも、CRCとして病院に行けば看護師とは名乗れませんし医療行為は全くできません。また、スタッフからは外部の人扱いなので人間関係の確立の仕方に最初は困惑するかと思います。
前述したようにスタッフとの関係ができると患者さんへ接するときに補助してくれるかもしれないし、対応後の事務処理も臨機応変に対応してくれたりします。これで関係性が良くない場合は受け付けてくれなかったり、待ち時間が多かったりします。そうなるとCRC業務への影響だけではなく、自分自身が残業しなければならなくもなります。
会社内での立場
CRCの会社内での立場は、病院でいう看護師の立場と似ています。治験ナースとも言えるかもしれません。会社内では「CRCさんが一番患者さんの事を分かっているから~」などと言われて会社事情と病院事情の板挟みになることも多々あります。
壁にぶち当たった時にたくさん悩むことありますが、それを調整して乗り越えた時は看護師とは少し違うやりがいがあります。
CRCとは
治験業界はまだ歴史が浅く、この職種があること自体知らない方、多いかと思います。しかし、病院で働いている方や患者さんにとって今手元にある薬が治験業界の人たちが切磋琢磨して作った薬だと思ったら少し見方は変わってくるかもしれません。
どの仕事が合っているかはその人の考え方によります。もし今の職場や看護師が向いてないのではと思う方は調べてみるのも良いと思います。
この記事を書いた人
- 総合病院や治験業界を経験してきました。看護師のみなさまが健やかに過ごせるように、また看護師を経て個々があるべき道に進めるように、情報を発信していけたらと思っています。
最近の記事
- お金2016年1月26日自分の所得税はご存じですか?
- お金2015年11月26日節約意識とは
- 美容・健康2015年11月25日食事の影響~自炊してますか?~
- お金2015年11月24日税金、お金に対してどう考えていますか?
総合病院や治験業界を経験してきました。看護師のみなさまが健やかに過ごせるように、また看護師を経て個々があるべき道に進めるように、情報を発信していけたらと思っています。
この記事を読んだ人は以下も読んでいます
人気ライターBEST5
-
こごみ
計210,488view
しまりんご計86,546view
おじゃりん計78,836view
まこ計77,206view
人気記事BEST10
SIDS(乳幼児突然死症候群)のおはなし 21,107view
入院して分かった点滴の苦痛とナースの対応 16,543view
わたしの流産体験その2~流産後から復帰まで~ 16,387view
大腿骨近位部骨折の保存療法はどのように看護すればいいの? 13,528view
わたしの流産体験談その1~妊娠判明から流産まで~ 12,891view
特養の配置医師以外はみだりに診療に行ってはならないの規定について 12,543view
看護師が養護教諭になったらこうなった 保健室って何するの? 12,404view
「彼女は看護師」のあなたに伝えたいこと 12,289view
最近注目の「スキンテア」を身近なものでケアしよう! 11,374view
葬儀屋さんが教えてくれた「エンゼルケアの今」 10,806view
カテゴリ一覧
この記事に対するコメント
>> すべてのコメントを見る(0)