「なぜ?」からの勉強法
はじめに
指導者や先輩ナースから質問を受け、答えられず固まってしまった事、ありませんか?
私が指導にあたっている時、学生や新人ナースが黙り込んでしまう事がよくありました。
何事も根拠を押さえる事、きちんとした理由を持ち物事を進める事がすごく大切ですが、特に、命をあずかる医療者にとって、それは必須ではないでしょうか。
そして、「根拠」をおさえるために必要な事は、「なぜ?」「どうして?」を追求する事だと考えます。
けれども、この「なぜ?」「どうして?」をもてない学生やナースたちが、どうも増えているように思えます…
そこがすごく気になったので、記事にしました。
「なぜ?」の重要性
私は、学生や新人ナースに度々「なんで?」と聞きます。
実施する保清、投与するお薬、検査、患者さんの症状…
「なんで?」
実施する事すべてに、根拠がある。
保清の内容や方法は、患者さんによって違う。なぜその患者さんに、この保清を選択しましたか?
服薬している薬、その理由は様々です。どうして、この人はこの薬を飲んでいるんですか?
同じような症状を訴えていたとしても、考えられる原因は患者さんによって違います。なぜ、そんな症状が出てると思いますか?
患者さん1人1人、全く違う。
常に「なんで?」と考えながら動く事が大切です。
実例:朝の看護計画の発表で
「○○さんは今日、透析に行かれるので、透析後の症状を注意してみていきたいと思います。」
一見、的を得た事を言っているように思えますね。
でも、ここで質問です。
- その患者さんは、なぜ、透析が必要になったのか
- 透析後の症状とは、具体的にどんな事を看るのか
- では、実際に透析後に患者さんの状態が悪くなったら、どんな対応をしようと思っているのか…
答えられず、黙ってしまいました。
透析の後の症状について、具体的に知らないまま患者さんと関わって大丈夫ですか?
「○○さんのお食事が終わったので、配薬に行ってきます。」
では、質問。
- その薬は何の薬ですか
- ○○さんは、なぜ、その薬を飲んでますか
- 薬の副作用には、どんなものがありますか
やはり、黙ってしまいました。
自分が配薬する薬も分からないまま患者さんのところに行くの、怖くないですか?
患者さんに「これは何の薬?」と聞かれたら、どうするつもりですか?
「○○さん、昨日から頭痛を訴えておられるので、意識レベルやバイタルの変動に注意して関わっていきます。」
これも、一見的を得た事を言っているように思えます。でも、ここで質問。
- 頭痛の原因と考えられる事は何か。カルテからどんな情報を収集しておく必要があるか
- 頭痛が増強してきたとしたら、どんな事が考えられるのか
- バイタルは、どのように変動する可能性があるのか…
答えられずに、固まってしまいました。
簡単に「頭痛」と言うけれど、もしもあなたが、患者さんの発するサインを見逃し、患者さんが重篤な状態に陥ってしまったら、どうしますか?
責任と、自覚。そのための勉強
何か起こってからでは、遅いんです。
自分が行う行為、話す言葉、ひとつひとつに責任が伴う事を知っておかなければなりません。
そう考えると、患者さんの事、薬の事、検査の事、あまり理解しないまま看護を行う事は「危険」という事を実感します。
〝きちんと理解しなければ〟と思うと、「なんでこうなってるんかな?」「これはどうなんやろう」と、自分の中で疑問がたくさん出てくるはずです。
その疑問を、解剖生理にも戻りつつ、ひとつひとつ解決していけば、すごく力がつくし、自信もつきます。
わかれば、看護はすごく楽しく充実したものになります。
先の事も考えられるようになります。
おわりに
指導者対策で勉強をするわけではないですが、きっかけはそんな形でも良いと思います。
「もしかしたら、ここ、もっと深く聞かれるかな?じゃ、それに対する答えも準備しておこう」と、予測して学習を進めていけば、今よりも、きっと、もっと深く学習ができます。
分かっているつもりでも、よく考えたら「あれ?」って思う事はたくさんあります。
それを放っておかずに、解決しながら進んでいってもらえると嬉しいし、私自身も、そんなナースであり続けたいと思います。
この記事を書いた人
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2歳年上の夫と、子ども2人(8歳女子・2歳男子)の4人家族☆
共働きも、専業主婦も、両方経験あり。
今は、子どもとの時間を大切に過ごしています。
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