高齢者施設の看護師はなぜ長続きしないのか
高齢者施設に働き始めて数年経ちます。
経ったの数年で何人もの看護師が入れ代わり立ち代わり辞めたり入ったりとすることに驚きました。
せっかく入居者の方達と顔なじみになったのに・・・・どうして・・・・
しかし、他の施設も大して変わらないことに気づきました。
最近は、看護師の就職時の面接にも関わらせて頂いています。
そこで、高齢者施設の看護師はなぜ長続きしないのか考えてみました。
期待を抱き過ぎ
自分もそうでしたが、大抵の看護師は、面接時に「病院よりもお年寄りとじっくり関われることができると思うので」と決まり文句のようにおっしゃいます。
高齢者施設に勤めれば病院よりもじっくり高齢者と関わることができるのかいうと、必ずしもそうではありません。
施設では、入居者にとって一番身近な存在が看護師ではなく介護職になります。
時間があれば一緒にケアをしますが、その時間がなかなか取れないのです。
何の業務に時間が取られているのか
●薬の整理・投与に関して
まずは、施設では、薬が一包化されていなければ介護職が扱ってはいけませんので、ホチキス止めをしたり、介護職が間違えないようにメモ書きをしたり工夫を凝らすことに時間が割かれます。
水薬は一包化されていないので看護師が内服させなければいけません。
状態が安定している方の、張り薬や目薬、吸入も介護職が行ってもいいことになっていますが、それを介護職が忘れないように確実にできる方法を考えレクチャーするのは、並大抵のことではありません。
看護師も入れ替わりが多いのですが、介護職も変わらないからです。
そして、介護職の場合は、みな学歴が同じではなく、無資格の人や、今や外国人もいるからです。
図や写真を交え、実際にやって見せたりと時間がかかります。
看護師にとって簡単なことじゃんと思うかもしれませんが、何も経験や知識がないと思いがけないことが起きるのです。
例えば、張り薬は、前日のものを取り除いてから貼るということ、入居者に剥がされないような位置に貼るということです。
1日どころか、数日分の張り薬がそのままになっていたのを発見した時は驚きました。
●往診
内科医、歯科医、リハビリと様々な医師が往診に来ます。
介護職から普段の様子を聞いたり実際に看たり、記録から情報収集を事前にして医師に伝えることをまとめなければいけません。
いつも医師が在中していません。
ですので、薬を処方して頂ける日が往診日だけだと、薬の在庫も落ちなく確認しなければいけません。
●家族への説明、連絡
医療的な部分は、やはり看護師ではないとご家族に上手く伝わらないこともありますし、ご家族に看護師から説明を受けたいと求められることがあります。
とくに、延命治療をするかどうかについては、病院を実際に知っている看護師が説明したほうがいいようです。
認知症などで自分の意見を上手く伝えられない人が多いので、決定するのには難しい問題です。
かなりの時間を有しますが、やりがいが感じられる時間でもあります。
ここで、家族との関りが面倒と感じる看護師は、必ずやめていきます。
家族ケアも含めて、入居者をトータル的にケアするということになるのですが、理解が得られないようです。
●知識の伝達
感染予防・対策、誤薬予防についても看護師が中心になってしなければいけません。
講義をすることが多々あります。
また、パウチ交換、喀痰吸引、経管栄養など看護師の管理下で介護職が医療的ケアを従事できることが増えてきました。
ですので教えるという時間が、年々増えてきています。
人間関係を構築できない
上から目線
病院勤務しか経験がない看護師でありがちなのが、病院がしていることが正しいと思いこみ、上から目線で評価を入れてものを言います。
そんな私も、施設のことを何も知らなかったので上から目線だったと思います。
施設は、あくまでも生活の場です。
その人らしく生活できるかを重視してケアをします。
そして、看護師は、看護問題という言葉を使っているためか、問題点ばかり見つけて管理的なことが多いということに気づかされました。
できること、可能性を見る目が介護職より低いかもしれません。
また、それぞれ、学歴や経験が違うので持っている知識も違うのは当たり前ですし、それは、看護師の教育する能力が低いのを介護職のせいにしているだけです。
看護とはなんぞや
中には、褥瘡処置、状態悪化時など医療的なケアや判断を有することしかしない看護師がいます。
排泄ケアや、清潔ケア、環境整備は介護職の仕事なのでしないというのです。
看護学校で、それが健康を維持するために大切なことだと教わりませんでしたか?
一緒にしないので、なぜできなのか批判的なことしか言いません。
それでは、介護職との関係を構築できません。
そして、そのような看護師は、仕事がつまらなくなり辞めます。
さいごに
看護学校の教員が言うには、老年看護は、あまり人気のない分野だそうです。
超高齢社会になる今、嫌でも目のあたりにすることになるでしょう。
老年看護の魅力を発信できない自分にも責任があるのかもしれません。
また、福祉分野で介護職など他職種と連携できることが、長く続けられる秘訣の一つでもあるようです。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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