終末期 ALSの在宅看護
訪問看護の経験では、初めて関わった疾患がありました。
その代表的な物は、難病、小児麻痺でした。
私の経験の範囲内ですが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)での在宅看護でのことを書きたいと思います。
球麻痺から始まると
ALSの担当になった初めての患者さんの話です。
70代の女性でしたが、自営業をしていて、この疾患になるまでは、バリバリ仕事をされている方でした。
この方は、初期症状が客商売にも関わらず、呂律が回らないことが始まりでした。
球麻痺から始まるALS。
球麻痺から始まると、進行が速いのがこの病気の特徴のようです。
在宅に移行された時には、胃瘻を造設されていました。
発病して、2か月くらいではなったでしょうか。
そして、もう声を出すことができず、筆談でのコミュニケーション。
この状態で、在宅開始です。
食事
在宅開始時には、流動食ですが、お嫁さんが用意してくれたものを摂取する状態でした。
しかし、この患者さんは、ほとんど経口からの摂取はしませんでした。
胃瘻からの栄養補給のみ。
そのため、誤嚥の心配はなかったのですが、患者さんには、終末期という思いがあったようで、複雑な心境でした。
運動障害
運動障害もすぐに表れてきました。
下肢の運動障害が先に来ました。
それでも、なるべくトイレにはいこうとする患者さんでしたが、あっという間に、行くことができなくなりました。
筋肉の運動ができないことから、下肢は浮腫がひどく、訪問時には、足湯とリンパドレナージを実施しましたが、一時的に軽度の浮腫の軽減がみられるのみでした。
この病気は、体は、動かないのに、痛みやか痒みなどは感じることから、本人にとっては本当に苦痛に思われます。
この患者さんではないのですが、呼吸器をつけて長く療養生活をされている患者さんでは、背中が蒸れて痒くなることがあり、
シーブリーズのようなスースーするジェルやローションを使ったりしていましたが、その場しのぎで、苦痛だと思います。
患者さんの思い
この患者さんは、自分の考えをもっており、すごく意志が強い方でした。
この病気にかかり、「何もしない!」と決めていたようでした。
呼吸器をつけての延命は、もちろんしない方向でした。
しかし、バイパップも「絶対しない!」という強い意志をもっていたのですが、
主治医は、呼吸機能減退率の改善なども視野に、私たちにどうしてもバイパップの使用をさせるよう指示していました。
絶対バイパップはしない本人と、どうしても装着させたい医師!
本人は、このまま自然に最後を迎えたい気持ちのようでした。
私は、本人のしたいようにさせてあげたかった方の考えでしたが、ナースの中でも意見は割れました。
●最後の時も
亡くなる時も、私はいなかったのですが、他県から、息子さんが急いで帰ってきているからと、時間稼ぎにバイバップの装着をしようとしたそうです。
本人は、いいからしないでほしい旨をかなり訴えたようなのですが、無理やりにでもさせようとした、家族と医療者側。。。
する、しないで、言いあうような最後になったことでしょう。
もっと穏やかに最後を迎えさせてあげればよかったのにと思うのは、私だけなのでしょうか?
看護師間での意見の食い違い
この患者さんのご家族は、長男夫婦家族と同居でした。
お嫁さんは、介護のために仕事を辞めよくされていたと思います。
夜は、仕事から帰宅した、息子さんと頑張っていました。
日中は、看護師、介護士、理学療法士などが交代で密に訪問し、サポートしていました。
ここで、排せつ介助についての問題がありました。
運動機能の低下が著しく、体はフニャフニャ状態。
でも、おむつではなく、トイレでというのはかなえてあげたい思いの一つです。
お嫁さんは、自分が一人で介助することは危険だし、不可能だとと事で、
医療スタッフが日中は援助をし、夜間は息子さんが援助をするという体制にしました。
この決定は、上司も交えて会議をした結果なのですが、一人のNSが納得がいきませんでした。
このことの決定は、始め私が訪問時にお嫁さんの相談を受けての事でした。
相談をステーションに持ちかえり、この方向でどうか?と会議してもらったのです。
所長をはじめとし、皆が、それでいいとの決定でした。
その決定事項で、本人も納得し、お嫁さん一人という時間帯で尿意をもよおすこともほとんどない状態とも考えられました。
しかし、一人のNSは難色を示し、
「お嫁さんも介助をするべき」とう考えでした。
私のすることにいつもいい顔をしないNSだったので、私が持ち掛けた話だったのがいけなかったのか?
少し悩みました。
●最後に
余命の残り少ない患者さんの看護、特に在宅では、介護者も踏まえどうしたら最善かと考えることがたくさんありました。
私がこの方がいいのではと思っても、そうじゃない考えの人もいて、、、、
スタッフ間でのチームワークは、この職種において本当に大事なことだと思います。
職場では、いい連携が取れることが最善ではないでしょうか?
この記事を書いた人
- 転職を重ねながらも、この仕事に長く関わってきました。最近、月数回、小児科の夜間救急のパートで仕事をしています。
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転職を重ねながらも、この仕事に長く関わってきました。最近、月数回、小児科の夜間救急のパートで仕事をしています。
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