ムカデに呪われた病院
以前、私は海沿いの湿気の多い地域にある築年数が何十年も経った病院に勤めていました。
ムカデは、乾燥に弱く湿った場所を好む生体でありムカデの多い地域でもあり、救急外来にムカデに噛まれた患者さんが受診していました。
病院は、毎年ムカデ駆除を専門業者に依頼してしてもらっているにも関わらずよく出現していました。
病院で起こったムカデによる恐怖体験を書かせて頂きます。
色々な場所から出てくるムカデ
衛生材料から
あってはならないことです。
でも、どこから入ってくるのかわからないのです。
退治をして消毒しているのでご安心ください。
天井から
電気回線が通っている天井裏の扉を開けて業者が工事をしていました。
その扉は開けたままで業者は帰ってしまいました。
するとその夜その扉の下を通った看護師に一匹の大きなムカデが降ちてきたのです。
運悪くその看護師の後頚部と襟の隙間に落ちたのです。
それを目撃した私も思わず大声をあげてしまいまいました。
耳穴から
耳鼻科から先輩看護師の大きな叫び声が聞こえたので、急いで駆けつけました。
何事かと聞くと、患者の耳から小さなムカデが出てきたというのです。
患者さんは、昼寝をしていて気づくと耳の中でゴソゴソ音がして、孫に強く勧められて受診しました。
患者さんは気丈で、「そのムカデを孫に見せてあげたいのでぜひ下さい」と言うのです。
医師のはからいで、よく採取した組織を病理検査に提出する時に使用するホルマリンが入った小さな検体容器に
ムカデを入れて患者さんに渡しました。
すると、患者さんは大喜びでもらって帰っていきました。
ゴム手袋から
洗面所から看護助手の叫び声が聞こえてきました。
なんと、使った摂氏などの衛生器材を洗うゴム手袋に手を通したらムカデがいたのです。
この時から、誰もがゴム手を使う時は、ムカデが入っていないか確認をするようになりました。
ムカデの退治法
ムカデが出現しても怖いと逃げている場合ではありません。
患者さんに被害がでては大変です。
動きが早くそのまま捕まえるのは無理なことが多かったので、よくしていたのは、消毒剤か熱湯をかけて弱らせてから紙に包んでいました。
ムカデに噛まれた時の対処
ムカデのおかげでムカデに噛まれた時の対処方法を学ぶことができました。
噛まれた時の症状
- ズキズキとした痛み
- 痒み
- しびれ
- 赤く腫れるなどの炎症
アナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。
ムカデの毒はハチ毒と似ているそうです。
悪寒、発熱や吐き気、呼吸困難などの症状が出た時は要注意です。
応急処置
ムカデは、頭の大顎と足には爪のようなものがありその爪で皮膚を傷つけながら毒を塗るりつけていくようです。
よって下記の応急処置が有効です。
●お湯で洗い流す
すぐに43度以上のお湯で洗い流しましょう。
温度が低すぎる場合は、毒の酵素が活性化して痛みが倍増します。
また熱すぎるお湯は火傷になりますので注意しましょう。
皮膚についたムカデの毒成分をお湯で失活させて、洗い流すことで痛みを抑え、腫れや痛みの軽減になります。
●ステロイド系の外用薬を塗布
できるだけ強力なステロイド系のクリームや軟膏を塗ります。
アナフィラキシー症状が出た時はすぐに救急外来に受診しましょう
あまりにも痛みが強い時も受診して、鎮痛剤を医師から処方してもらいましょう。
噛まれた時にしてはいけないこと
1.冷やさない
虫に刺されたり噛まれたりすると冷やしたらいいのではないかと考えがちですが、ムカデの毒に関しては厳禁です。痛みが増し、けいれんや気絶することもあるそうです。
私も、子供の頃ムカデに刺された時は知らずに水で冷やしたら痛みが増して大変な思いをしました。
さいわい悪化せずにけいれんや気絶するまでに至りませんでした。
2.毒を吸い出さない
ムカデは、毒を注入するののではなく、爪の先や頭の大顎で皮膚に傷をつけながら毒を塗り付けるのです。
よって、口で毒を吸い出すということは、口の中に毒を入れることになります。
ムカデの毒で、口や気道が腫れたり、気道閉塞の可能性もあります。
また、皮膚から毒を絞り出そうとする行為もしてはいけません。
毒を皮膚に浸透させてしまうので、余計に腫れが悪化してしまうことがあります。
皆さん、湿気の多い地域に行く場合は、ムカデに注意してくださいね。
万が一刺された場合は落ち着いて正しい対処しましょう。
私は、間違った対処をしたために20年も経った今もムカデに噛まれた跡が背中に残っています。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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