ナースはつらいよ

積極的な延命について真剣に考えてみた

こんにちは。おじゃりんです。

私は病院では救命センターに所属したり、介護施設に勤めたりしてきました。必然的に「積極的な延命治療を希望するかしないか」という選択を迫られる方々を見る機会が多くなります。

少し重たい話にはなりますが、「積極的な延命治療」について私の経験と感じたことをまとめたいと思います。

とても曖昧な言葉

高齢になる祖母の今後のことで、老健から「積極的な延命治療を望むか」という書類にサインを求められたという話を聞きました。

「積極的な延命ってなに?」

改めて聞かれて答えることに苦労しました。胃ろうや中心上目薬栄養などいくつか列挙しましたが、具体的に「こういうこと」と言い切ることができないと思います。

「書類にもそんなあいまいな表現だったの??」と聞くと「そうだよ」と答えが返ってきました。

実際、サインを求めてきた老健のスタッフも説明は難しいと言っていたそうです。

急変時のことなのか慢性的なことなのか

「積極的な延命」の選択をいつ迫られるのか。これも様々です。

急変時DANAR

血圧が下がったら、SpO2が下がったら、心臓が止まってしまったらなどいわゆる急変した時にどうするか。

Do Not Attempt Resuscitation・・・。(蘇生行為は)何もしない。

とてもシンプルでとても難しくて、とても切なくなる選択だと思います。でも、だからこそ家族がちゃんとお看取りできるよう早めに連絡することを心がけています。

たまに見かけるのが、昇圧剤は使う、強心剤は使うなど薬剤は使ってほしいなどのバリエーションです。家族なりの苦肉の策だなと常々思います。第三者として思うことはいろいろありますが、何が正しいとは言えません。

機能低下により食事ができなくなった時の選択

消化吸収はできるけれども、嚥下機能の低下により経口摂取ができなくなった時、胃管や胃ろうから栄養剤を投与するかしないかの選択を迫られることがあります。

経管栄養は投与すれば腸管から栄養を吸収してエネルギーに変えることができます。看護師の友だちが言っていましたが、経管栄養を入れるか入れないかで寿命はだいぶ変わるとのことです。

ただ、長生きはできても食事をとることはできません。食べることが好きな人にとってはこの先食事ができないということはある意味かなりの苦痛を強いられると思います。逆に経管栄養を拒む人もいます。

経管栄養のほかにも、高カロリー輸液の投与をするかしないか、ALSなどの難病の進行で呼吸筋が弱ってきたときに人工呼吸器を使うか使わないか・・・。

その医療行為によってその人の寿命は大きく変わります。

延命を選んでも選ばなくてもメリットがあり、デメリットがあります。どちらの選択が正解なのか、それはその人によって変わってきます。

とにかく状況を説明することが必要

どんな状況で選択を迫られるのかはわかりません。

一度書類にサインをしたからと言って、その時が「積極的な延命治療」を選択するかしないかという場面に当たっているのかはちゃんと本人や家族に話をしなければ、自分たちで気づくことは難しいと思います。

特に、薬の投与や人工呼吸器、栄養の投与など、一度始めてしまうと「やっぱりやめます」ということは非常に難しくなってしまいます。

QOLにも個別性を

「ただそこにいてくれるだけでいい」「苦しい思いはさせたくない」・・・etc.

家族の気持ちは様々です。いろんな事例を見てきて私にも思うことはいろいろあります。

でも私の価値観が必ずしも正しいとも間違っているともいえないし、自分に知識があるからと言って看護師の考えを対象者に押し付けることは看護にはならないと思います。

  • 胃ろうを作る
  • CVから高カロリー輸液を投与する
  • 人工呼吸器や強心剤・昇圧剤を使う

こういった医療行為により、

  • 患者さんにどんなメリットがあるか
  • どんな負担を背負うことになるのか

といったことを、よくよくわかるように伝えること。そして、その選択した結果を支えていくことが看護師としてやるべきことなのだろうと改めて考えています。

なんだか教科書的な、理想的なことをつづってしまいましたが、こういうことは理想を追求していったほうがいいことなんだと思いたいです。

この記事を書いた人

おじゃりん
人と関わること、子どもと関わることが好きだけど、ものすごくエネルギーを奪われてしまうタイプの人間です。
子どもと戯れる生活になり、日々ストレスと驚きと喜びを感じながら生活しています。
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保健室の先生
おじゃりん
小学校の保健室の先生になりました。

人と関わること、子どもと関わることが好きだけど、ものすごくエネルギーを奪われてしまうタイプの人間です。 子どもと戯れる生活になり、日々ストレスと驚きと喜びを感じながら生活しています。

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