訪問看護師になって驚いたこと〜病棟とのギャップ〜

私は総合病院の病棟で10年勤務したあと、訪問看護師に転職しました。転職して間もない頃は、病棟とのギャップに驚くことばかりで、毎日がとても新鮮でした。どんなことに驚いたのか幾つかお話しします。

天気予報に敏感になる

訪問看護師は働く場が病院ではなく、それぞれの患者さんのお宅になります。病院で働いていた頃は、暑くても寒くても雨や雪が降っても、そんなに気にしたことはありませんでした。しかし、訪問看護を始めてからは、家から家には基本的に自転車移動だったので、天気予報をかかさず見るようになりました。

雨の予報の時には、カッパや長靴、雨よけの帽子などの雨具を完璧に準備しつつ、時間に余裕を持って行動しなくてはなりません。雨の予報がなくても、突然の天候の変化に備えて、最低限の雨具はいつも持ち歩いていました。

私が働いていたのは春〜夏だったので、暑さは一番の大敵でした。最高気温をいつもチェックして、熱中症にならないように、保冷剤をいくつも持ち歩き、水分補給はこまめに行いました。日焼け止めも例年になく消費しましたね。

土地勘がないと大変！

前述した通り、移動は自転車だったので、患者さんのお宅に行く道を覚えるのにかなり時間がかかりました。

シフトによって訪問する順番や曜日も変更になるので、このお宅からこのお宅に行くには違うルートで行かないと…など、地図の全体像が頭に入っていないと辿り着くのがとても大変でした。

印刷した地図に加えて、携帯のナビアプリなども駆使しながら、いつもなんとか道に迷わないで時間内に到着できるように気を張っていましたね。

患者さんとの関係

病棟でも患者さんとの信頼関係には気を付けていたつもりでしたが、やはりシフトによっていつも同じ患者さんを担当できるわけではなく、日々の時間に追われるルーチン業務の中で、十分に向き合う時間がありませんでした。

訪問看護師になってから、患者さんのお宅に訪問すると、いつも訪問の時間を心待ちにして下さっている方が多いことに驚きました。また、病院では「看護師さん」と呼ばれていましたが、訪問先ではみなさんが「〇〇さん」と私の名前で呼んで下さることに感動しました。

入れ替わり立ち替わり色んな看護師が来る病棟と違い、訪問看護で担当する看護師は数人で、しかも少なくとも一時間はじっくり看護ができるので、信頼関係が築けました。確実な知識と技術を持つ専門家として訪問していることは勿論ですが、看護師の前に一人の人間として、その方の人生と向き合っている感覚がありました。

看護師同士の人間関係が良好

病棟でも10年働けば心から信頼できる仲間もたくさんいましたし、特別悪い人もそんなにいませんでしたが、いつも忙しく目の前の業務に追われているので、なんとなく人間関係がギスギスしている雰囲気がありました。スタッフの入れ替わりも多かったけど、雰囲気が大きく変わることはありませんでした。

訪問看護に転職して実は一番驚いたことは、職場での人間関係でした。私が就職した訪問看護ステーションが特別だったのかもしれませんが、とにかく働いている先輩たちが、穏やかで優しい人たちでした。全員が自分の仕事に誇りを持ち、楽しんで仕事をしていることが伝わりましたし、分からないこともすぐに相談できる雰囲気でした。

訪問看護では、病棟と違って一人で行動することが多いので、スタッフ同士に程良い距離感があるのかもしれません。また、時間に追われる事も比較的少ないので、心に余裕があるのだと思います。