私のお仕事体験談③不妊治療のクリニックってどんなところ?
こんにちは、かのんです。
前回に引き続き、今回もお仕事体験談を書かせていただきたいと思います。
今回は求人募集は見たことがあるけど、勤務するには少し敷居の高い不妊治療専門クリニックについて書いていきたいと思います。
業務について
それではクリニックで働いたこともなく、ましてや婦人科系の疾患なんてわからないまま勤務することになり不安でしたが、実際はそこまで辛くはありませんでした。
勤務体系
一般のクリニックと同じで夜勤はありませんが、仕事帰りの患者さんが受診しやすいように夜遅くまで診療時間を設けている施設が多いため、日勤と遅番(ないし早番)という勤務形態をとっているクリニックが多いと思います。
更に一般的な内科などのクリニックより処置が多く、その分ナースの人数が確保されているので、実働時間は7時間以下と比較的短く、ゆとりがある勤務体系でした。
朝は一般病院より始業時間が遅く、日勤だと残業はほぼなし、長ければ2~3時間程度休憩時間を取ることもできたので、仕事帰りにショッピングなどお出かけすることも可能でしたし、休息はしっかりとれたように思います。
遅番だと予約の混雑具合にもよりますが、遅い時は診療予約時間から3時間後くらいに業務が終了することもありました。
それでも実働時間は8時間程度で、病棟勤務と比べると早く帰宅できていました。
また、不妊治療という特性もありますが、土日祝日にも診療を行っているので休日の出勤は必須になります。
毎週土日どちらかは必ず出勤していました。
業務の内容
基本的な診療の流れとしては、
という形になっていて、各セクションにその日の担当者がついています。
もちろん不妊治療専門なので、来院される方は妊娠を希望されている患者さんばかりです。
初めて婦人科系のクリニックを受診される方も多いので、各セクションで情報を共有しながら診療にあたっていました。
- 問診、採血
まず初診の患者さんの場合はアナムネを簡単に聴取します。医師の診察で詳細は確認するので、問診票の記入漏れがないかということをメインにしています。2回目以降の受診の患者さんの場合は来院したら最初に採血をすることになっています。
月経何日目かによって採血の項目も変わってくるので、かならずカルテの前回受診日と照らし合わせ、ご本人と確認してから採血を行います。診療時間最初の方は採血が一番忙しいです。
特に休日となると2~3人で100人以上採血を行うこともあるので、カルテを確認するだけで重労働になります。
採血の待ち時間が1時間を超えてしまうこともあり、患者さんも待ち時間が長いと疲れてしまうので申し訳ないと思いながら必死に採血をしていた思い出があります。また、少し早めに出勤して採血の機械の立ち上げをすることも業務に入っていて、寝坊すると診療に影響が出てしまうので、採血室担当の時はいつもより気を引き締めて出勤していました。
- 内診
採血結果が出たら内診室に移り、子宮内膜の厚さや、卵胞の大きさや数などを超音波で確認して排卵日の特定などを行います。
ナースは超音波の機械のセッティング、患者さんを診察台までの案内する、終了後に身支度を整えて退室のお手伝いをする、という内診の介助を行う形になりますね。診療後半はどんどん採血の結果が出て、内診室にカルテが回ってくるので結構手一杯になります。
それでも全てのセクションの中で一番流れが覚えやすい場所だったので、新人ナースはまず内診室に配置されるのであたふたしながら介助に付いていました。また、体外受精以外の処置は内診の時に行うことになるので、卵管通水検査や人工授精などは内診担当のナースが介助に付く形でした。
気分不快を訴える患者さんも時々いらっしゃるので、アセスメント能力も求められます。 - 診察介助
内診後は医師の診察があり、今後の治療方針を決める形になります。その際に傍らで寄り添って話を聞くのですが、今後の治療の同意書の有無や内服薬などの確認をしないといけません。
また、診察待ちの患者さんで今にも排卵しそうとか、排卵直後など微妙な採血データの場合は診察室のナースが医師に確認しないといけないのでこちらも気が抜けませんし、臨機応変な対応が求められます。忙しいと医師も忘れてしまうことがあるので、医師とコミュニケーションを取りながら診療を円滑に進めていくという点で一番難しいセクションでした。
- 検査・処置の説明
診療がすべて終わると、今後の検査や処置を説明します。
大体は卵管通水検査、人工授精、体外受精の流れなどでしょうか。私はここのセクションが一番苦手でした。
全ての知識を持っていないと対応できないので、慣れるまではこっそりマニュアルを忍ばせて患者さんを案内する前にシミュレーションしてから説明していました。意欲的で勉強している患者さんがほとんどなので、違うことを教えてしまうと信用にかかわるので、安心できるまでは先輩の近くで説明し、わからないことは確認してから伝えるように徹底していましたね。
- 体外受精の介助
一番のイベントは体外受精の介助です。
麻酔を使用する、しないの差はありますが、痛みを伴いますし、なにより取り違いなどあると大変な問題になってしまうので、医師もナースも胚培養士さんなど一丸になってしつこいくらい確認をしながら採卵介助に付きます。ナースは室内の準備、入室案内、採卵中の患者さんの状態確認、退室後のバイタルサイン確認、患者さんの入れ替えなどを行います。
まれに術後出血や痛みが強くて動けない患者さんも出てくるので、バイタルサインと合わせて報告し、症状が改善するように努めます。
余談ですが、無麻酔の採卵ってすごく痛いです!
私自身が経験した時は思わず涙が出るくらいでした。 - 雑務
助手さんはいなかったので、お掃除、備品の管理、書類の印刷などは空いているナースが行っていました。
この点では病院の方が楽でよかったです。
意外と時間がかかるので、空いているときに分担して行うようにしていましたね。
終わりに
病棟や施設系のナースと比較すると、夜勤はないのにお給料はかなりいいです。
施設によっては手取りで40万円を超えることもあるので、夜勤ができないママさんや貯金したい方には向いているかもしれませんね。
ただ患者さんの知識が豊富なことが多いのでその分ナースに求められる知識レベルは高く、その場ですぐ解決できないといけないことも多いので、責任は大きいかと思います。
また、なかなか授からない患者さんや、せっかく授かったのに流産してしまった患者さんなどもいらっしゃって、メンタルケアをしたいけど、限られた人員・勤務時間の中ではなかなか困難だったので、もどかしい限りでした。
色々ありますが、病棟勤務と比べると体は楽だったので、個人的には妊娠していなければもう少し続けていたかもしれません。
病院と比べるとキャリアアップしにくいと考える方も多いかもしれませんが、遺伝カウンセラーや体外受精コーディネーター、認定看護師などの資格もあるので、キャリアアップも視野に入れたい方にも最適かとは思います。
何事も経験なので、興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました(*’▽’)
この記事を書いた人
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手術室、ICU、外科病棟などいろいろな病棟を渡り歩いてきました。
基本的に忙しい方が燃える8年目ナースです。
現在妊娠に伴い退職しましたが、日々やりがい探しに奔走しています(^^♪
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