ナースはつらいよ

私のお仕事体験記①救命センターの裏側

こんにちは、かのんです。
暖かい日から一転、雪が降って寒波到来で辛い時期になりましたね。

私は転職経験が同年代ナースより多く、様々な診療科を経験してきました。
(その時々でやりたい看護が変わる、移り気なナースだったもので)
その中でも特殊な診療科になりますが、救命救急センターの勤務について書いていきたいと思います。

救命センターってどんなところ?

救命救急センターとは、一般的な救急外来やICUなどの一時救急医療機関では対応できない重篤な患者さんに対して高度な医療を提供する三次救急医療機関のことを言います。

法律上は人口100万人あたり最低1か所設置するようになっているそうですが、東京都心部では大規模な大学病院が多いので、救命救急センターを併設している施設が多いみたいですね。

これらのなかでもさらに高度な医療設備を備えている施設は高度救急医療センターと呼ばれていて、四肢切断や熱傷などにも早急に対応できるように整備されています。
ドクターヘリを完備している施設も多いですね。

高度救急救命センターには見学で行ったことがありますが、常に患者の受け入れで忙しく、雑然としている印象でした。

主な疾患

運ばれてくるのは文字通り一刻も早く救命が必要な患者さんばかりです。

  • 院外・院内心停止
  • 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患
  • 心筋梗塞、大動脈解離などの循環器疾患
  • 交通外傷
  • 熱傷
  • 急性薬物中毒
  • 重症の循環障害、敗血症など
  • 重症肺炎などの呼吸器疾患
  • 産科、小児科の重症事例

メジャーなところではこのような疾患が多いでしょうか。
特に熱傷は点滴も多く処置も大変で、一番大変でしたね。

色々な疾患、合併症がある患者さんが多いですが、どの方にも共通するのは循環動態が不安定で、24時間の観察を必要としている状態という点です。
ですので、なかなか気の休まる時間がありません。

最初は大変でしたが基本の疾患は同じなので、二次救急や通常のICUに比べると一回覚えれば少し楽かもしれません

実際に働いてみて感じた特徴

スタッフが多い

救命救急センターに入院する場合は通常とは別の加算がかかります。
その分医師、看護師を含めたスタッフの人員や技術の確保が前提となりますので、基本的には他の病棟より看護配置は多く、スタッフ総数も多いです。

基本的には重症患者2人に対して看護師1人態勢で、夜間休日問わず同人数のスタッフが勤務しています。
数か月勤務が一緒になったことがないナースがいるというのも人数の多さゆえですかね。

そしてスタッフがかなり多いように見えますが、緊急カテーテルや手術を行うこともあったり、入院が急に何件も来ることもあるので、忙しい時はこの人数でも足りないくらいです。

医療機器が多い

輸液ポンプ、シリンジポンプ、心電図は全患者さん使用しています。
それ以外に当時多かったものは、人工呼吸器、透析(CHDF)、補助循環(IABP、PCPS)でしょうか。
あとは機器ではありませんが、動脈圧ライン挿入中の患者さんも多いです。

呼吸・循環不全、多臓器不全など、とにかく超重症な患者さんばかりなので、毎日何かしらの医療機器に関わっていました。

特に補助循環患者さんは足を曲げてはいけないとか、循環の確認をしないといけないとか、体位変換をしただけで血圧が下がるからあまり動かせないけど、無気肺になると困る、とか色々苦労しながらスタッフ総出で看護していました。

点滴の種類が多い

重症患者さんが多いせいか、やはり一人の患者さんに使う点滴の種類がかなり多いです。
昇圧剤や降圧剤、抗凝固剤、凝固因子系の薬などなど、一般病棟ではあまり多用しない薬剤が多く、その分配合禁忌がないかを調べるのが大変でした。
(基本は薬剤師さんが常駐していたので、こっそり聞いていました)

検査や手術がセンター内ですぐにできる

動脈圧ラインやCV挿入、気管切開、胸腔ドレーンの挿入などはその場ですぐ処置してしまいます。
先生も慣れているので、処置時間はかなり早いです。

それ以外にも、センター内にCT室や造影室、手術室を完備しているので、緊急カテーテル、緊急手術も即対応可能です。
状態が不安定な患者さんの移動はかなり不安ですが、同線がいいので安心して検査に迎えます。

昼夜問わず、要請があればすぐに入院がくる

ホットラインという救急車から直接入院要請があり、基本的に病床が空いていれば即入院です。
そうなると超重症患者さんの中でも移動できる患者さんは、救命センターの中の大部屋に移し、空いたベッドで新患を取ることになります。

大体連絡が来て30分くらいしたら入室するので片づけ、準備、簡単な患者情報を収集して予想される処置を考えている間に入院が来ている感じです。

ちなみにそこまで重症でなければ大部屋候補に挙がってしまうので、一晩で3人くらい入院を取ることもあり、勤務交代の時はくたくたでした。

大変だったこと

学習面

疾患、薬、心電図などの勉強は毎日しないとついていけませんでした。
一応毎月認定看護師の勉強会もありましたし、基本的な処置はマニュアル化されているのですが、突っ込んだことをプリセプターに聞かれるので、戦々恐々と日々働いていましたね。

毎朝始業時にウォーキングカンファレンスといって、ペアを組んでいる看護師間で患者さんの情報、看護問題などを共有するのですが、新人がプレゼンすると無視されるか、突っ込まれて怒られるかのどちらかです。
最低限の知識を得ていないと勤務すらできませんでした。

また、これは私の働いていた施設だけかもしれませんが、疾患を深く・狭くというより、広く・浅く学ぶ必要がある印象が強いです。

予定入院とは違い、どんな患者さんが来るかわかりません。
そのため、ショック時や急変時の対応、薬の使用方法などのベースにしつつ、上記に挙げた疾患の基本的な点を組み合わせて看護していく感じでしょうか。

その代わり、呼吸循環、薬理作用などについては深く・狭く勉強するのは必須です

重症患者が多くて気が滅入る

症状が安定したら一般病棟へ転棟、ないし転院になりますが、重症患者さんは後遺症も多く、入院前と同じADLまで戻るのはなかなか難しいようです。

循環動態は安定したけど意識は回復せず、人工呼吸器の離脱もできずに転院という患者さんをたくさん送り出してきましたが、なんとも言えない無力感を感じました

スタッフとの人間関係

個人的にはこれが一番つらかったです
入職時はやる気に満ちているのですが、新人いじめというか、指導がかなり厳しかったので、一年以内の離職率がかなり高かったです。

全員ではないのですが、私のチームには、初めてなのに教えてくれない、無視をする、聞こえる場所で悪口を言う、という人が多かった印象でした。
私は中途で入職したのですが、働いていたのにこんなことも知らないの、と言われてばかりで毎日泣いていました。

おかげで新人間の結束は高く、自分はあのようにならない、という志をもって働くようになりましたね。

夜勤の多さ

常に看護配置が一定なので、夜勤の回数も多くなりました。
多い時は月に8回以上夜勤(二交代)のこともあり、夜勤専従のような気分で働いていました。

終わりに

かなり忙しかったですが、スタッフが多かったので手の空いた先輩方が看護計画や荷物チェックなどを行ってくれることが多く、そのおかげで一般病棟より残業が少なかったです。

また、多忙・激務でも当時は若かったから何とかなったのではないかと思います。
今同じ勤務をしろと言われたらできません。

色々ありましたが、救命センターで勤務してよかったと思っています。
この後に中規模病院のICU、CCUで勤務しましたが、救命センターで学んだおかげで基礎的なことは理解が早く、多少は学習量が少なく済みました。
ちなみに私は呼吸器と循環器が好きになりましたよ!

興味のある方は一度見学に行かれてみてはどうでしょうか?
一般病棟とは違う面が垣間見えますよ。

最後までお読みいただきありがとうございました(*’▽’)

この記事を書いた人

かのん
手術室、ICU、外科病棟などいろいろな病棟を渡り歩いてきました。
基本的に忙しい方が燃える8年目ナースです。
現在妊娠に伴い退職しましたが、日々やりがい探しに奔走しています(^^♪
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8年目ナース
かのん
忙しいほど燃えます!

手術室、ICU、外科病棟などいろいろな病棟を渡り歩いてきました。 基本的に忙しい方が燃える8年目ナースです。 現在妊娠に伴い退職しましたが、日々やりがい探しに奔走しています(^^♪

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この記事に対するコメント

  1. 匿名 

    私も救命で働きたいと思っているので
    とても参考になりました!ありがとうございました!

  1. 匿名 

    私も救命で働きたいと思っているので
    とても参考になりました!ありがとうございました!

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