ナースはつらいよ

介護職が理解して実施できる有効な感染予防・対策の教育方法

高齢者施設に就職してから感染予防・対策の教育を介護職に毎年行っています。

現場に帰るとまるで活かされていないことに気づきショックを受けました。

それから数年たち少しずつ手ごたえを感じる教育法を見つけ感染症が流行することがなくなりました。

高齢者施設はなぜ感染症が流行しやすいのか

利用者

高齢で全身の機能低下や、多くの疾患やそれに伴う合併症を抱えています。

また、近年は病院の入院日数の短縮化や在宅や施設の看取りを政府が推進しているため、重度の方の入所が増えています。

そのような方の集団生活ですので感染症が発生すると拡大しやすいという特徴があります。

その上、認知症を患っている利用者が増えているためもあり、なかなか理解や同意を得ることができず感染症予防・対策が困難です。

職員

介護職は慢性的に不足している施設がほとんどです。よって、施設によっては介護の資格を持っていない職員が多く、学歴や経験がバラバラです。

また、近年は、高齢化が急速に進みさらに人手不足は深刻であり外国人労働者に頼らざる得ない状況です。

よって全員で集まって行う勉強会だけで知識を身につけ浸透させるのは至難の業です。

感染対策委員会が存在しますが、職員の入れ替えが多く、派遣社員が多いため運営することすら難しいのです。

委員会経験者が少なく、出席しているだけでユニットに伝達され活かされていません。まず委員の役割から教えましょう。

看護職はというと、介護職の目線に立っていなかったり、生活という視点に立って感染予防・対策を考えて指導ができていないことが介護職と摩擦を生み理解されないという要因があります。

ハード面

集団生活の場であり、皆で食堂に集まって食事など大勢集まることより感染が流行してしまうケースがほとんどです。

有効な研修会を考える

感情に訴える

理論から入るよりまずは感情に訴えかけると興味を持ってくれます。

私はよく事例を活用したり、以前感染症が大流行したユニットの介護職員のインタビューを読んでもらいます。

事例としては、風邪を引いて発熱したのに無理をして出勤をしたために入居者に感染し肺炎・喘息が発症し入院→死亡に至った例を用いています。

感染症って何?

まずは、「感染症って何?」から始めましょう。

世間でも話題となっているノロウイルス胃腸・インフルエンザしか感染症と思っていない介護職員がほとんどだということに気づきました。だから日常の感染予防・対策をしないのかと納得。

私たちは菌と共生していて抵抗力が低下すると感染症をおこすことがあることや、日ごろから、風邪や肺炎、爪白癬、尿路感染、蜂窩織炎など感染症に接していることに気づくようにします。

そうすることで感染症とは何かということを理解してくれました。

必ず全員が出席できる研修会にする

1回では出席できなかった職員に伝わっていません。

数日に分けて必ず全員が参加できるようにしています。

必要に応じて、フロアやユニットごとに研修を開いています。

研修の時間帯

仕事が終わった夕方からでは疲れていて身にならないようです。
また、1時間近くかかる食事介助が多い施設では、夕方は忙しい時間帯なのです。

介護職にアンケートをとった結果、14時から30分から60分以内の研修にして欲しいとのことでその時間帯に組んでいます。

昼食が終わりおやつまでの時間帯が比較的空いているとのことです。

知らずに使っている専門用語に注意!

看護師は、自分でも気づかないうちに専門用語を使っていますので十分に気をつけましょう。

介護・病気の経験がなくまったく医療とはかかわりのない家族や親せきに話して理解してもらえるか考え試してみましょう。

意外と医療専門用語を使用していることに気づくことでしょう。

介護職は遠慮深く(介護職が威圧的なのか?)わからなくても聞いてきてくれません。

受け身の研修では身につかない

事前学習・テスト

今は、スマホ・ネットを介してやる気さえあればなんでもすぐに情報が入る時代です。

そこで、食事や入浴、排泄ケアなどその場面にに分けた用紙に自分のユニットで行っている感染予防・対策記入してきてもらっています。

新人教育も事前に先輩に聞いてもいいからとやってきてもらうと、そのユニットの理解度がわかります。

質問された先輩も勉強になるようです。

また、事前に感染対策・予防に関してもテストを行っています。

そうすることによって疑問や興味を持って研修に参加してくれます。

事前テストを提示しても実施してこないがもいるので、期限を決めて提出してもらっています。採点することによって目標を持ち意欲が湧く職員がいます。

実践を含む参加型研修

座学だけでなく、嘔吐処理や排便ケアなど実際によくある事例を出して実践しながら考えて覚えてもらいます。

その時は、必ず根拠を質問し答えてもらっています。

五感を刺激して覚えてもらう

五感を刺激するとイメージが湧きやすく覚えやすいものです。

そこで、介護職に協力してもらい感染予防・対策に関する動画作成をしてもらいました。

都道府県からもそのようなビデオが出ていますが、施設で使っている設備や消毒薬を実際に取り入れて作った動画の方が分かりやすいに決まっています。

入居者も協力してくれてドラマ仕立てで楽しい動画ができました。職員・入居者が出演しているので興味を持って見て学習してくれたようです。

今後は、外国人労働者にも理解できるように英語吹き替えもできたらと考えています。

まとめ
介護職目線にたって協力して研修を実施するのが効果的だということが分かってきました。

研修後は必ず現場に入って介護職とケアを協働し一緒に感染予防・対策に取り組んでいきましょう。

介護は看護に含まれます。介護が機能し感染予防ができるならば看護師しかできない領域は減ってきます。

また協働することでより介護職にの目線に立った研修ができるようになります。

協働することにより介護職の方たちの新たな才能に気づかされました。

施設では入居者に一番身近でである介護職との協力なしでは感染予防・対策はできません。

入居者の健康の維持・増進のために参考にして頂けたら幸いです。

この記事を書いた人

こごみ
十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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お年寄り大好きナース
こごみ
健康が一番!

十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。

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