ナースはつらいよ

白目が真っ赤!あなたならどうする?

白目が真っ赤!あなたならどうする?

特養で働き始めたころ、介護スタッフに「利用者Aさんの目が真っ赤なんです。すぐに来てください!」と呼ばれたことがあります。

行ってみると、充血とは違い白目に赤いインクを落としたように鮮明に真っ赤なのです。血は流れてはいません。

特養には医師が常駐していません。往診医にすぐに連絡はつきません。介護スタッフには、どうしたらいいのですかと迫られます。あなたならどうしますか?

結膜炎?

流行性結膜炎ならば感染症ですのでこれまた大変です。でも、充血とは違い網状に赤くなっているのではないのです。

Aさんに痒みがないか、痛みがないか聞いてみても、認知症があるためか答えてはくれません。

そこでスタッフにAさんは目をこすっていないか?聞くとそのような仕草はしていないそうです。目ヤニは出ていません。どうやら結膜炎ではなさそうです。

でも一体、尋常でないこの白目の赤さは何なのか?失明しないのか心配になります。

高齢者病気マニュアルのような本にもこのよう病気や症状は載っていません。

夕方で提携病院の外来も終わっている時間です。救急外来へ行くべきか、明日の日中の外来まで待っていいものなのかわかりません。

このまま放っておくわけにはいかないため、余計なプライドを捨て提携病院の救急外来に電話相談をすることにしました。

救急外来へ電話相談した結果

救急外来に電話をすると、担当看護師が担当医に聞いてくれました。痛みがなく「目が見えるのならばそのまま様子を見て大丈夫です。自然に治ります。」という答えが返ってきました。

それは、なんという病気なのか、何もしなくて大丈夫なのかと聞いても医師ではないので答えてはくれません。

Aさんは、痛みがない様子で、追視してくれて差し出した指が何本か答えることができましたので、とりあえずこのまま様子観察することにしました。

ご家族にもその状態を報告し様子を見ることにしました。

眼科医に見てもらうと

次の日、Aさんのご家族が面会にいらっしゃいました。

電話で聞いたのと想像以上に白目が赤いことに驚き眼科受診することになりました。

眼科受診をすると「結膜下出血」でした。目の表面を潤し保護するヒアレイン点眼薬を処方されて様子を見るようにと返ってきました。

医師によれば、はじめて結膜下出血になった人の中には、尋常ではない目の状態に驚き、中には脳出血と関係があるのではないかと救急車までよんでしまった人もいるそうです。

「結膜下出血」とは

白目の表面に走る毛細血管が切れるために起こる症状です。

そのため目に物があたったり、ぶつかったりすると起こりやすいのですが、実際は、特に思い当たるふしもないのに気づいたら白目が真っ赤になっていたというのがほとんどだそうです。

40歳以降になると、目の表面の毛細血管が脆くなってきたり、さらに加齢すると結膜が緩んで下まぶたとの摩擦で結膜下出血を起こしやすくなるとのことです。

主な原因

  • 目をこすったり物がぶつかるなど物理的な刺激があった場合
  • 激しくせき込む、息むなどして首から上に力が加わった時
  • 飲酒後、入浴後など血行がよくなったとき
    • 長時間、パソコンなどで目を酷使したとき

    です。

    治療と経過

    眼科に行って他の疾患がみつからなければ、なんの処置もなく気休め程度に目を潤し保護するための点眼薬を処方されるのみです。

    見た目は、重篤感があるのですが心配いりません。視力低下や視野狭窄の心配もありません。

    早い人では、3日ぐらい、高齢者では、大体2~3週間ぐらいでもとに戻ります。

    しかし、目ヤニが見られたり、痒み、痛みを伴っていたり、頻発に症状がみられるようであれば再度受診が必要です。他の疾患が起きている場合があります。

    繰り返し頻繁に見られる場合は次のような場合は次の全身疾患からくるものがあるので注意してくださいね。

    全身疾患によるもの

    高血圧、動脈硬化、糖尿病、腎縁、貧血・白血病・紫斑病などの出血性素因によるもの疑いがあります。

    これらは、結膜だけでばく眼底にもしばしば出血をみとられることがしばしばあります。

    眼底出血は、目の奥で起こる出血なので表面からは見えません。

    以前、施設利用者で、結膜下出血のように目が赤く目のごろつき感が続くため受診して頂いたら、目の血管に細かい血栓が詰まっていたために起こっていたことがわかりました。

    しかも、全身の検査を勧めると心房細動が発見され、心房細動から血栓ができ目の血管が詰まったことがわかったのです。

    放っておいたら失明すると医師から言われヒヤリとしました。

    まとめ

    特養では、自分が経験した科のことはある程度わかるのですが、扱う範囲は、全科にわたるため勉強になります。

    救急外来を経験すると忙しさもわかるので、こんなことで電話したり受診したりするのは申し訳ないと思うことがあるのですが、救急外来に聞いてよかったです。

    目の疾患でも緊急を要するものもあり、目だけでなく体の疾患から目に症状がでることがあるため、注意深く観察いなければと思いました。

    参考・引用文献にあげた本は、身近な目のトラブルから緊急を要するものまで分かりやすく書いてあるので、患者様やご家族に説明する時に役に立っています。

    困ったときは、ぜひ参考にしてくださいね。

    参考・引用文献 眼科119番目のトラブル・・・そんなとき、まず開く本/B&Tブックス/中村 智明 著

この記事を書いた人

こごみ
十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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お年寄り大好きナース
こごみ
健康が一番!

十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。

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