認知症患者さんとコミュニケ―ションを取るには?
高齢化が進む日本において、看護師として接する機会が多い、認知症を持つ患者さん。
理解力の低下から、看護師にとっては問題と思える行動をしてしまうことも多く、対応に苦慮している看護師さんは多いと思います。
そこで今回は、認知症病棟勤務経験のあるナースが、認知症患者さんとコミュニケーションをとるにあたってのポイントを4つ、ご紹介します!
常に笑顔で接する
認知症患者さんのほとんどは、常に大きな不安を抱えています。
「自分がどんなに訴えてもわかってもらえない。」
「やりたいことがあるのに、うまく伝えることができない。」
「なぜここにいるのか、わからない。早く慣れた自分の家に戻りたい。」
様々な不安の中接する看護師は、まず常に笑顔で接するように心がけると、患者さんは「この人は自分の話を聞いてくれる」という安心感を与えることができます。
易怒性が強かった患者さんに対し、職員が意識して笑顔で接するようにしたことで、徐々に症状が落ち着いたという例も、少なくありません。
忙しい業務の中、常に笑顔で接することはたやすいことではありませんが、意識して笑顔で接するようにするだけでも、患者さんの表情は驚くほど変わるはずです。
相手に対して「安心してもらうこと」を心がける
笑顔で話すことともにぜひ心がけていただきたいこと、それは「安心してもらうためにはどうすればいいか」という点です。
例えば帰宅願望が強く、病棟内を徘徊してしまう認知症患者さんがいたとします。
離棟防止のために、「病棟から出ないためにはどうすればいいか」という対策を考えがちですが、ここで少し考えを変えて、「なぜ、帰宅願望が強くなってしまっているのか」を考えてみます。
もしかしたら、ただ単に家に帰りたいのではなく、自分の大切なものを取りに行きたいのかもしれませんし、家族に会いたいのかもしれません。
行動からそのまま考えるのではなく、さらにその奥に潜む要望を突き止め、その要望が極力叶うようにすることで、行動が収まることもよく見られます。
私が実際に経験した例だと、帰宅願望の根本は亡くなったご主人に会いたいという願いでした。
すでにご主人はなくなっているため、会っていただくことはできませんでしたが、代わりにご主人の写真をご家族に何枚か持ってきていただき、帰宅願望が出るごとにその写真を見ていただくようにしたことで、安心していただくことができました。
患者さんの言うことを、否定しない
認知症患者さんが話すことは、はたから見るとつじつまが合わず、ついつい「違いますよ」と否定してしまいたくなります。
しかし、患者さんにとってはつじつまが合っているため、否定されると「なんで否定するんだ」という負の感情を抱きやすく、その後も落ち着かなくなる可能性は高くなります。
例えば、冬の寒い時期に「今日は寒いですね」と挨拶したところ、「何言ってんだ。今は真夏だから暑いに決まってるだろ!」と言い返されてしまったとします。
「いやいや、冬ですよ」と言いたくなりますが、ここで否定せず、「〇〇さんは暑いんですね。室内の温度を調節しましょうか」と提案することで、患者さんの意見を否定せずに、対応することができます。
拒否が強かったら、一度その話題から離れる時間を作る
認知症の方は、一度拒否すると説得することはとても難しくなります。
特に難しいのが入浴への誘導で、「絶対に入らない!」となってしまうと、なかなか納得していただけません。
こういった時は、あえて一度時間を空けてから、もう一度進めることをお勧めします。
私が勤務していた時は、拒否が強い方はあえて一番先に誘導を行い、拒否が強ければ一度他の方を誘導し、何度か誘導する機会を作るようにしました。
また、誘導するときも常に笑顔を忘れず、言うこと自体を否定しないようにすることで、徐々に患者さんの不安もなくなり、最終的に入浴へ同意してくれていました。
最後に
いかがでしたか?
認知症患者さんに対して、苦手意識を持つ看護師さんは多いと思います。
でも、コミュニケーションのコツをつかむことで、むしろ良好な関係を築くことは十分可能ですし、ずっと拒否されていた方が最終的に同意してくださった時、大きなやりがいを感じることができるはずです。
皆さんもぜひ、試してみてくださいね!
この記事を書いた人
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ライター兼二児&二匹のママ兼ナースとして、あわただしい日々を過ごす。
もうすぐ2歳の娘の口癖は「バナナ!」。
どんなに頑張って食事を作っても、食事の時は必ず「バナナ、ないの?」とまずバナナを探されてしまいます。
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