精神科ナースが警告 心を病んでる人を支えたい人へ
こんにちは、しまりんごです☆
あなたの周りに、「心を病んでるな」と思う人はいますか?
今や、うつ病など心の病にかかる人は珍しくなく、あなたの近くに1人は必ずいると言っても過言ではありません。
家族、恋人、友人、職場の同僚、患者さんや利用者さん。
誰か一人くらい思い当たる人がいるのではないでしょうか。
そんな人から話を聞いて欲しいと連絡があったり、苦悩を相談されたり、病んでいることを打ち明けられたり。
そういう経験をする人がいると思います。
精神科で働き、いろんな人やケースを見てきた私にとって、もちろん病んでいるその人も心配ですが、実はもっと心配なのは、あなたです!
あなたにその人が守れるか
厳しい言い方をします。心を病んでるその人を守れる器があなたにあるでしょうか。
昼夜問わずかかってくる電話に必ず出て、何時間でも話を聞くことができますか?
電話に出られなかった時の、何件もの着信履歴。あなたは耐えられますか?
切迫した空気での呼び出しにすぐに駆けつけることができるでしょうか。
「死にたい」「私精神科に通ってるんだ」「またリスカしちゃった」
そんな内容の話をあなたにしてくる人がいたら、その人はあなたに強い信頼を寄せていると断言できます。
あなたは人に信頼される人です。優しく、傷ついている人を放っておくことができない人なのでしょう。
だから、その信頼に応えたいと思うし、頼られることが嬉しく感じることがあるでしょう。
けれど、考えてみてください。相手はあなたに依存している状態であるともいえます。
もしもいつも快く話を聞いてくれるあなたが電話に出てくれなかったら、相手は「裏切られた」「見捨てられた」と感じる可能性があります。
あなたには、あなたの生活があるのではないですか?
仕事があり、趣味があり、その人の他に大事にしなくてはいけない存在があるのではないですか?
その時間を割いて彼・彼女の話を聞き、励まし、そばにいられるほど、その人を想うことができますか?
実は、それって、家族でもとっても難しいことなんです。
うつ病の患者様の家族が病んできてしまうことって多いのですよ。
どうして精神科の医師や看護師が無事なのかって言えば、患者さんに対し、「一人で相手をしていないから」なんですよ。
もちろんスキルがあるからでもあります。でもそれ以上にチームで看ているから、なんとかやっていけるのです。
そう、じゃあどうすれば良いかっていうとね・・。
オンリーワンで関わらないこと
あなた一人で彼・彼女を支えようというのははっきり言って無謀で無理な話なんです。
もし彼・彼女が友人なら、共通の友人を巻き込んでください。
彼・彼女が病んでることを自分一人だけが知っていることにしておかないことが大切です。
もしも、共通の友人などに話ができない状況であるのなら、「君が悩んでいることは他の誰かも知っているの?もし知らないなら、ちゃんと話した方が良い」と助言してあげてください。
あなた自身が潰れないようにするには、他者を巻き込んでみんなで支えることが最重要課題です。
精神科受診をすすめる
心を病んでることを人に知られたい人はあまりいません。
「ひかれるかもしれない」「かっこ悪い」「暗い人間だと思われたくない」
それでもあなたに打ち明けた。なぜでしょう。それだけ追いつめられているから。
口調が明るく聞こえても、あなたにSOSを求めているのです。相手も自覚はしていないかもしれませんが。
すでに精神科を受診しているのならその受診が継続できるように声をかけてあげましょう。
そして、まだ受診していないなら、専門家の治療が必要なのではないかと声をかけてあげましょう。
今の時代、昔ほど精神科の敷居は高くないのです。
「知り合いにちょっと鬱っぽくなってかかった人がいたけど、結構良くなったみたいだよ」なんて、嘘をついても良いです。
心を病みながらも普通に生活していたのに、ある日突然自殺してしまったなんてことはよくあります。
心の病をあまくみない
いつものリスカのつもりで傷つけたのに亡くなった。
つらいからいつもより深く眠りたくて睡眠薬を多く飲んだら亡くなった。
精神科に勤めているとこんな話を時々耳にします。
そう、本気で死ぬ気がなくても亡くなってしまうのです。
自殺する前にやたらと明るく楽しそうに振る舞う人もいます。
身近な人がある日突然いなくなるということは想像しがたいかもしれませんが、もしそうなった時にあなたのショックは計り知れないものになるでしょう。
もしかしたら自分が引き金を引いたかもしれない。あの時電話に出てあげていたら。もっと話を聞いてあげていたら。
あなたがあなたの心を守るために、一人で抱え込まなければいけない状況であるなら、心を病んだ人と積極的に関わることはおすすめしません。
あなた自身が病んでしまう可能性があるからです。
まとめ
どれだけ愛する家族だろうと、親友だろうと、恋人だろうと、1人では守れない。
そして合わせて申し上げたいのは、健全な心を持っていない人に心を病んだ人を支えることはできません。
1人で抱え込んだ場合に、自分の心を健全に保つことは困難です。
あなたには、あなたを大切に思ってくれて心配してくれる人がいるはずです。
ですから、心の病んだ人を支えてあげたいと思っても、一緒に支えてくれる人の存在がなく、自分にその器と余裕がないのであれば、どうか精神科のプロに委ねてください。
負の連鎖をさけるために。あなたを大切に思う人のために。
この記事を書いた人
- 育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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