ナースはつらいよ

甘く見てはいけない!知っているようで知らない肺炎

ご存知の方もいるかもしれませんが、マイコプラズマは4年周期で流行しやすいことから「オリンピック病」ともいわれています。

私はアテネオリンピックの年にマイコプラズマ肺炎にかかりました。

風邪症状と似ているためなかなか見分けられず、診断や治療が遅れることが多い疾患で、子供より大人の方が重症化しやすいと言われています。

私は、知識不足で甘く見て重症肺炎となり入院しました。

周りの看護師に話すと意外と知らない人が多いことに気づいたため、実際の体験と合わせマイコプラズマ肺炎についてまとめてみました。

早期発見・治療にお役に立てたら幸いです。

マイコプラズマ肺炎の実際

晩秋に差し掛かった11月中旬ぐらいから空咳が出るようになりました。

そのうち夜間のみ37度台の微熱がでましたが、夜間休んだら朝には自然に解熱しました。空咳は軽快したり悪化したりを繰り返し1か月ぐらい続きました。痰が出ないので「まあ、大丈夫かな」と思っていました。

痰が出るようになったのですが、痰は泡沫様の白い痰であり感染症ではないから休めば治ると看護師でありながら病院嫌いの私は放っておきました。

そのうち、夜間のせき込みが強くなり38度台の熱が出るようになりました。不思議なもので、日中になると咳が軽減し自然に解熱するのです。

それが数日続いたためで内科受診しました。インフルエンザテストはマイナスで、医師に聴診してもらい特に呼吸音も問題ないのでと風邪薬と解熱剤の処方をしてもらいました。

しかし、その夜42度もの発熱があり喘息の既往もあるせいか咳のをするとヒューヒューと呼気時に聞かれるようになりました。42度なんていう体温計の表示を始めて見た私は、精神的に重症患者となり朝一に受診しました。

採血・胸部X-P・CTの検査をすると間質性肺炎になっており、CRP値はなんと25まで上昇していました。勤務前に自分が勤めていた外来に受診したのですが、上司と同僚が慌てて飛んできて、「休みなさい」と有無を言わさせず診察台に強引に寝かせられ緊急入院となりました。1週間後の痰培養の検査結果でマイコプラズマ肺炎と診断されました。

一般的な症状

2~3週間の潜伏期間のあとに発病し、発熱や倦怠感、頭痛から始まりやがて気道の咳や喘鳴などが表れます。飛沫感染で人に移ります。

小児とは違う、大人のマイコプラズマ肺炎の特徴

14歳以下の子供が80%とされていますが私のように大人でも発症します。症状は子供とほとんど同じですが、子供の症例にない特徴がみられます。

自覚症状があいまい

微熱や咳、身体のだるさが長く続くことがあるそうです。しばらくすると高熱となり、ある決まった時間になると熱が上がって下がるという弛緩性の発熱が見られます。

湿性咳になる

マイコプラズマ肺炎は、痰の絡まない空咳が、最も特徴的です。しかし、大人の場合は、空咳から長引く気道の炎症により分泌物が増し湿性の咳となるのが特徴です。

重症化しやすい

大人、特に高齢者は、重症化する可能性が高く、間質性肺炎、胸水貯留、気管支喘息など呼吸不全を起こす場合もあり、時に入院となります。

最新の診断方法

聴診ではわかりません。聴診しても肺炎を疑うような音がしないためです。
胸部X-P・CTで、肺炎像の確認はできます。重症になった場合は別として、他の肺炎と比べCRPやWBCがあまり上昇しないため風邪と診断されやすいのも特徴です。皆さんもご存じのとおり確定診断をするには、血液検査や培養が必要です。最新の検査方法をご紹介します。

マイコプラズマIgM迅速抗体検査

マイコプラズマに感染すると血液中にはIgM型とIgG型の特異抗体がつくられます。採血をしてそのIgM特異抗体を検査し陰性か陽性かで感染の確認を行います。しかし、発病してから1週間ぐらい経たないと陽性になりません。

LAMP法(遺伝子検査)

綿棒により咽頭から検体を採取します。マイコプラズマ菌に特徴的なDNAを直接検出する遺伝子検査です。発症初期から(3~14日)検出可能と言われています。2~3日ぐらいで結果がでます。

プライムチェック(迅速法)

インフルエンザキットと同じようなもので10分ぐらいで結果が判明します。しかし、LAMP法に比べて精度が劣ります。この結果のみで判断するのは的確ではありません。

異常のことから早期に確実に診断することが難しいのです。
「咳と発熱がしつこく聴診では正常」という経過、年齢、レントゲンの所見から総合的に見てマイコプラズマ肺炎の診断することが多いそうです。

治療法

マクロライド系抗生剤(クラリス、クラリシッド、ジスロマックなど)を使用します。

今のように早く結果が判定される検査がなかったため、当初、テトラサイクリン系の抗生剤を投与され蕁麻疹や呼吸苦などアレルギー症状が出て大変でした。

次にジスロマックを試して下さり、幸いそれがよく効いて助かりました。
ジスロマックは3日間飲めば1週間ほど効果が持続するという特効薬のためもありあっという間に症状が軽減しました。

また、最近は、今まで使われてきたマクロライド系抗生剤が効かない肺炎が増えてきているようです。

予防には、基本的な手洗い・うがいに勝るものはないとのことです。不規則な勤務をしていると、抵抗力が低下しやすいので注意が必要です。
私のように重症化しないように、咳が2週間以上と長引く場合は早めに受診しましょう。

この記事を書いた人

こごみ
十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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お年寄り大好きナース
こごみ
健康が一番!

十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。

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