そんなつもりじゃなかったのに...言葉のトラブル

「言葉って、怖いな」って思った事、ありませんか？

たった一言で、親や、仲の良い友人との関係がぎくしゃくしてしまった経験は、ほとんどの人がもっているのではないでしょうか。

明らかに自分の発言に問題がある場合は別として、なぜ相手を不快にさせてしまったのか、その理由が自分にはよくわからない時も多くあります。

私は、自分が普通に話していたつもりが、患者さんを怒らせてしまった事があります。

自分が話した内容で、主人の機嫌を損ねてしまう事も多々あります。

同じ言葉でも、その言葉をどう捉えるか、それは本当に人それぞれです。

その人の育ってきた環境や、その人を取り巻く人々等によって作り上げられた価値観、そして、その時の心理状況…

様々な因子が関係しているのだと思いますが、家族や友人でも難しさを感じる「言葉」

相手が患者さんとなれば、なおさら難しさを感じます。

喉頭癌で、手術と抗がん剤、放射線療法を行った70代の方でした。

もともと気性が荒い方で、私達ナースも言動や対応には注意していました。

ある日、患者さんの調子が良さそうだったので、「今日は放射線のところまで歩いていきましょうか？」と言いました。

これまでずっと車いす搬送だった患者さんからしてみたら、突然そう言われて戸惑ったのでしょうか。

急にすごく怖い顔になり、「俺を１階まで連れていくのが面倒なのか！！」と怒られてしまいました。

もちろん私としては全くそんなつもりはありませんでしたので、「そんな風に捉えられたのかぁ…」と、かなり気落ちしました。

こんな経験もあり、自分が患者として病院に行った時や、家族や知人のお見舞いに行った時などは、その場のナースと、患者さんのやりとりを、よく観察します。

• 患者さんを子ども扱いしているような口調で話すナース
• ため口で話すナース（本人たちは楽しそだけど、そばで聞いている人からは反感をかう）
• 偉そうで威圧的なナース（きつい目だったり、立ったまま話していたりする）
• 話を明らかに聞き流しているナース（手を止めず、ながら聞きをしている）
• 自分の言いたい事だけ言って去っていくナース

色々です。患者さんの反応や表情も、様々です。

一方で、適切な言葉遣いや話し方で、患者さんのみならず、周りの人まで良い気分にする事ができるナースもいました。

●一度発した言葉は取り消せません。

私達にとって患者さんはたくさんいるけれど、患者にとって、ナースは数名です。

そして、私たちが思う以上に、私達の言葉は、いい意味でも、悪い意味で、記憶に残るものです。

誤解を招く事のないよう、適切な言葉遣いで対応したいものです。

先週、娘の習い事の間に一緒にお買い物に行っていた時の話です。

「このバッグ素敵やな～。でも、買われへんな～」って、私が独り言のようにつぶやいた後から、主人の機嫌が急に悪くなりました。

【バッグを買えない＝自分の経済力がない】と言われてるように思ったそうです。

全くそんな気がなかっただけに、もうびっくりです。

その後、きちんと話して誤解を解く事ができましたが…

夫婦でさえ言葉の捉え方によるトラブルを起こします。（夫婦だからこそ、かもしれませんが…）

それが、対：患者さん、対：患者さん家族となれば、その可能性は尚更高いのではないでしょうか。

気性の荒い人、病院での色々をネット上に書き込む人、様々な患者さんがおられます。そんな人たちが増えてきているようにも思います。

「言葉」は、その人の捉え方によっては違った意味で伝わる事があるという事を念頭に置き、自身の言動に注意していく必要があると感じます。