耳鼻咽喉科・口腔外科(病棟編)に関わる人々の特徴
耳鼻咽喉科だけと思ったのですが、大規模の多くの病院は口腔外科と混合になっている場合が多いので一緒にさせて頂きました。
あまり興味のない分野でしたが、耳鼻科・口腔外科病棟に配属になったことがあります。
最初は、耳鼻科・口腔外科の独特な雰囲気に圧倒されました。
疾患によって患者さんの性格や傾向に特徴があるように、耳鼻咽喉科・口腔外科の患者さん特有の特徴があることに気づきました。
そして、その患者さんに、日々、現役生涯ずっと関わっている医師たちも割と特徴的で面白いものです。
独特な臭い
他の疾患と違って表面・外に近い部分だからでしょうか。
いつも唾液の臭いや、癌や膿の臭いが病棟全体に充満しているのです。
首から下は元気で動き回ることができる患者さんが多いので、病室だけでなく病棟全体がその匂いが染みついているような感じです。
はじめての勤務の時は、その臭いにむせ返りそうでした。
うちの病院の病棟だけかしらと思っていましたが、他の病院の同じ科に行ったら同じような臭いがし、この科の独特の臭いなのだと思いました。
精神的に繊細?神経質?な患者さんが多い
突発性難聴やメニエール病の患者さんも多く入院します。
多くは、発症の原因がストレスが誘発になっています。
病気によって神経質になっているのかと思いきや、ご家族から聞いたり、入院時のアナムネを読むと元々の性格もそうなのだということに気づきました。
ですので、他の病棟では受けなかったような注意をうけることが多々ありました。
例えば、点滴をするときの固定テープをあらかじめ切って貼付しやすいようにベッドの柵に付けた時、「柵についている菌がテープについて針を刺したところが感染する」「点滴に使うアルコール綿は、トレー以外に置かないように」など、よく注意されました。
体温計の置き方や点滴のぶら下げ方も、少しでも曲がっていると注意されたり、同室の患者さん同士で、ガサツだと陰口をたたかれています。
また、国立がんセンターの研究所で統計が出ているように、口腔や咽喉のがんは、喫煙や飲酒との因果関係が深いことが分かっています。
そして、喫煙や飲酒に依存してしまう背景には人間関係が上手くいかないことから依存しているという人がほとんどでした。
女性患者さんは、夫が出張に行って、浮気をしてやっていられないからなどという理由と、食事を作りながら飲酒をしているうちにアルコール中毒になってしまったという人がよくいました。
男性患者の多くは、妻に先立たれて、離婚をしてという理由でアルコール依存症、ヘビースモーカーになっていました。
神経質な性格は、ある仕事ではすばらしい成果をもたらしますが、その反面、このように病気を引き起こす音があるかもしれません。
耳鼻咽喉科・口腔外科は、実は精神科と連携が必要な患者さんが比較的多いのが特徴です。
脱走する患者さんが多い
首より下は元気な患者さんがほとんどです。
若くて血気盛んな患者さんは、看護師の数が少なくなり目が行き届かなくなる夜になると黙って病棟を抜け出し、彼氏や彼女と逢引きを重ねているのでした。
いやいや、血気盛んな若い人ばかりでもありません。
高齢患者さんで環境が変わり不穏になってしまった患者さんは、徘徊して他の病棟に行ってしまっていたとこともありました。
スポーツ・暴力による外傷患者さんが多い
スキー場が近かったので、冬になるとスノボやスキーで転倒して鼻や顎などを骨折して入院する患者さんが多数いました。
その患者さんたちは、なぜか皆イケメンです。
入院時は、顔がボコボコでひどいのですが、治癒していくうちにイケメンになっていくのが看護師達は楽しみにしています。
後は、けんかで骨折という外傷患者さんもいます。
中には、お盆に息子がお金をせびり父親を殴り、妻が夫に殴られて顎が骨折としたという恐ろしい人間関係のトラブルを抱えた患者さんが入院してきます。
精神科病院からは、自分で自分の顔を殴って鼻や顎を骨折という患者さんも数割います。
音楽好きな医師が多い
音楽を奏でるには、耳や口腔・咽頭が健康で秀でていることが有利になります。
そのためか、音楽にが好きで長けている医師が多いです。
音楽を聞くだけではなく、演奏を自らして、バンドを組んだり、吹奏楽団や合唱団に入っています。
さいごに
耳鼻咽喉科・口腔外科の表面的に見える場所の疾患は、神経質になりやすいものです。
また、生きていくのに必要な「話す」「食べる」「呼吸をする」「聞く」ことに大きく関わる器官を扱う科ですので、より細やかな気遣いが必要になります。
実際に勤めてみて、そんな細やかな気遣いを沢山学ぶことができるところでした。
そして、様々な人間模様を観察できることでしょう。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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