施設ナース☆増えつつある私服勤務の実際
最近は、家庭的な雰囲気を重視して私服勤務の施設や精神病院が増えています。
私が現在勤めている特養も私服です。
施設管理者からは、「看護師とわからないように普段は一緒に生活をしているかのようにしてください。いざという時に看護師の力を発揮してくれればいいのです」と言われています。
よって普段着で仕事をしています。
他の私服勤務の施設のお話を聞く機会があったため私服勤務の実際を知ることができましたので、お伝えしたいと思います。
施設職員にふさわしい服装とは
たいていの施設は清潔感があり高齢者に好まれ、動きやすい服装が望まれます。
動きやすさという機能を重視すると、みなジャージが主流となり、利用者やご家族から「だらしなさ」を指摘されることがあり、私の働いている施設ではジャージは禁止されています。
下はチノパンで上はポロシャツかTシャツという最低限の規則を設けている施設もあります。
当たり前ですが、金髪、ピアスなどの派手な宝飾類も禁止です。
他、私の施設は、胸と背中やお尻が見えなければなんでもOKです。
かえって自由といわれると何を着ていっていいかわからず最初は悩みました。
ジーンズも可ですので、家で生活しているような感じです。
不意にろう便されたり、食べ物をつけられて服が汚れることがあるので、職場で着る服を別にする職員が多いようです。
中には、入居者の洗濯物と一緒に自分の服を洗っているユニットもあります。
「えっ」と思うかもしれませんが、そのほうが洗濯機や衣類の清潔に心がけ、清潔が保たれているのでいいのかもしれません。
私は、最終的に、下はチノパンやレギパン、上は、ポロシャツやチュニックTシャツを着てエプロンをつけるというスタイルに定着しました。
もちろん、エプロンも医療的なものではなく家庭でつけるようなものを着用しています。
施設職員なのか面会者なのかわからない
面会にいらした家族や、外部からの訪問者から、どの人が職員で、職員でも誰が介護職で看護師なのか区別がつかないといわれます。
名札すらつけていませんので、なおのこと区別がつきません。
私の施設では、介護される側、介護する側という垣根を越えて人間関係を構築していくことが目的ですので、それを狙っています。
また、認知症の方では、看護師の制服を見ただけで「看護師→ここは病院だ」と連想してしまうことが多く、それが利用者の不安感を増長し周辺症状を悪化することもあるからです。
誰が職員かわからないためにご家族が職員に声をかけにくくなるのではと懸念されることがあります。
その心配はいりません。
職員の顔写真をフロアに掲示しています。提示する場合もアルバムのように何気ない自然体でいる職員の姿の写真を提示するように心がけています。
さらに職員一人一人の紹介文があると、興味を持って覚えてくれます。
それに、日ごろから職員側が家族に積極的に声掛けをして覚えてもらうことも大切です。
職員か家族か区別がつかずわからないぶん、誰にでも挨拶を必然的にしなければいけないため雰囲気がいいように感じます。
実際、周囲の地域住民からも雰囲気が明るいと好評を得ています。
感染症予防・対策はどうするの?
感染症の問題を考えると、私服で来て、そのまま仕事、そのまま帰る、というのはありか?ということが提起されました。
人ごみに揉まれてくる公共のバスや電車通勤の方には、必ず着替えてから仕事に臨んでもらっています。
インフルエンザやノロウイルスなど感染症が流行している時期は、知らないうちにウイルスがついている可能性があるからです。
疥癬が施設内で大発生したときは、服を家庭に持ち帰るのではなく、施設内で服を洗濯をし、高温の乾燥機にかけて予防していました。
利用者の実際の反応
私服は、人それぞれ個性がでるので、かえって利用者様はそれぞれの職員を覚えてくれます。
「ヘルパーさん」「看護師さん」と呼ばれることは滅多にありません。
「お兄さん」「お姉さん」や実際の名前で呼んでくれます。
40歳代の私も、高齢者からみるとまだ若く、20代の方と同じく「お姉さん」と呼んでくれるのがちょっと嬉しかったりします。
明るい色調の服を着用していると、利用者さんは喜んでくれます。
中には、毎日服装チェックをして下さる方もいます。
「あんた胸が見える」「背中が見える」「その色に合うね」など
稀に、服がほつれていると縫って直して下さる方もいます。
私服勤務をして困ったこと
病院勤務の時のように、白衣に着替えて気分を切り替えるというのができないことです。
また、病院へ利用者さんが退院が近いため情報収集を兼ねてお見舞いに行った時に、施設職員だと信じてもらえず疑われ、情報を教えて頂けなかったという職員が数名います。
そんなことがあってから名刺を作成することになりました。
まとめ
私服勤務と言っても、施設の方針によって方向性が違ってくるようです。
清潔感のある動きやすい服装という捉え方は、世代によって違いがありますので、利用者目線で自分の服装はどのような影響を与えるのか考え、お互い注意しあうことが必要です。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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