「具合が悪いんだけど薬ちょうだい」と言われたら
友人や看護師以外の職種の方から、健康相談ならまだしも「具合が悪いんだけど薬ちょうだい」と懇願されたことありませんか?
私は、そのようにして頼られるのが一番嫌です。
断ると「意地悪」扱いされます。
皆さんはどうしていますか?
頼まれる薬ベスト5
1. 風邪薬
2. 解熱剤
3. 鎮痛剤(頭痛・腹痛・生理痛)
4. 外用薬(湿布)
5. 睡眠薬
1.風邪薬
風邪ならば薬に頼るより栄養摂って家でゆっくり休んで欲しいです
2.解熱剤
熱が出た=風邪とは限りません。熱が出るということは、感染症の症状の一つなのですから出勤してほしくありません。他の人に移ったらどうするのでしょうか。
3.鎮痛剤
頭痛、腹痛、生理痛を甘くみてはいけません。
もしかしたら腫瘍による頭痛かもしれないし、何か病気の予兆かもしれないということもあるのです。
同僚の母親でただの頭痛だと思っていたら実は脳腫瘍だったという話を聞かされてから、むやみに薬に頼らず病院で精密検査を受けるようにと勧めています。
女性の腹痛の場合、子宮外妊娠ということもあります。
救外に勤めていた時は、若い女性の腹痛は必ず妊娠を疑うようにと言われていたので、ついつい疑ってしまいます。
生理痛も、本当に生理痛なのでしょうか?なにか腹部に違う疾患があるのではないでしょうか?
4.外用薬(湿布)
以前、お亡くなりになった患者さんのご家族に病院で処分して下さいと言われた時に、病院で頂くことがあり職員が使っていました。
しかし、外用薬をそのようにすると内服薬もとなります。
なので亡くなった方の薬は薬局にすべて返すことにしました。
5.睡眠薬
変なドラマの見すぎでしょうか。
犯罪に使えわれたら嫌なので、どんなに頼まれても渡しません。
実際、睡眠薬を飲ませて犯行に及んだという事件ありますよね。
なぜ看護師に薬を貰えると思われているのか
亡くなった方の薬を利用していると思われています。
やはり看護師が職場の薬を持ち出して他人に投与という事件があるせいでしょうか。
とくに睡眠薬、向精神薬の医療従事者の横領や悪用があってから、昔より薬の管理が厳しくなっています。
病院では、亡くなった方の薬は薬局にすべてお返ししています。
施設では、医師が常駐していないため内服処方してもらえないことや、入居者が薬を落としてしまったという時のために予備に残しておくことがあります。
でも必ず医師の指示のもとで使用することになっています。
それも必ず鍵のかかった戸棚や部屋に置くようにという都道府県の監査があります。
医師しかできないこと
医師ではないので病気の診断もできなければ薬の処方はできないのです。
保助看法違反となります。
処罰の対象となります。
昔は、確かに亡くなった方の便秘薬や整腸剤を使っている職員がいました。
家族のためにと持ち帰っている職員がいました。
その薬を飲んでたとえ具合が悪くなってももちろん自己責任でしょう。
それにスーパーに勤めてお惣菜を貰ってきた感覚で薬を貰っていくのは勘弁して頂きたいです。
看護師が薬を安易に横領すると、社会的地位が下がります。
社会的地位が下がるということは給料が下がるということにつながるのです。
また、病院の内部的規則にも違反していると判断される可能性が高いです。
また、患者さんがお金を払って処方して頂いているのですから、弁護士によると窃盗罪にもあたるそうです。
患者さんやご家族が、病院で処分して下さいと依頼した場合は、管理権者は病院ということになると考えられ、病院に無断で薬を取得していることになりますので、病院に対する窃盗罪が成立する可能性があると考えられているそうです。
よって、「私は、医者ではないので薬をだせない」と対応しています。
さいごに
看護師は、医療従事者の中で一番薬を身近に使っているように思います。
お金をいつも扱っている銀行員が、他人から預かったお金なのに自分のお金のような感覚に陥るのと同じなのかもしれません。
危機管理能力を失わないように気をつけましょう。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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