老人施設☆フィリピン人スタッフから教わったマインド
現在、特養に勤めています。
現場は人員不足で数年前から外国人スタッフを採用するようになりました。
様々な国の出身の方がいますが、中でもフィリピン出身の方が増えつつあります。
最初の頃、高齢者のケアをするには、その国の文化や風習も影響するので大丈夫かと心配していましたが、フィリピン出身の方々は実にホスピタリティに富み学ばせて頂くことが多いのです。
認知症って病気なの?
一番驚き、ハッとした言葉です。認知症は病気だから病院に受診し治療しなければいけないものだという概念が覆されました。
認知症の症状を説明すると、フィリピン人たちは、「それって、病気なの?年を取ればみんなどこもかしこも衰えてきて自然なこと。フィリピンでは病院に行かず家で親族で協力し合って看るのが普通だけど。自分も年取って衰えて誰かのお世話にならなければいけないんだから当然でしょ。それで病院にいくなんて信じられない。」と、口をそろえて言います。
認知症患者というレッテルを貼って利用者様と関わっている自分が恥ずかしくなりました。
家族が1番
家族に病気や不幸があった時は、躊躇せず1週間~1か月と長期間の休みを取ります。休みを許可されなければ潔く退職します。
なによりも家族を優先にし大切にします。
「え~!こっちの負担も考えてよ。」と最初は思いましたが、家族より仕事を優先する日本人の方がおかしいのかもしれません。
利用者のご家族で、「子供の頃、自分が体調悪くても仕事優先で一度も親に優しくしてもらったことがない。だから施設に入れるのは当然だし、私も仕事で忙しいので、頻繁に面会に来ることができません。」という方がいました。
これは氷山の一角で、他にも似たような事例が多くあります。ときには虐待につながっているケースもあります。
その親の背中を見て子供、孫が育ち同じようなことが代々続くのかもしれません。
家族ではなく仕事優先にしていたら日本は滅びるのではないかと最近の親族間の殺人ニュースを見ては危機感すら感じてしまいます。
人類みな家族
フィリピン人のほとんどの方は、キリスト教を信仰しています。
その信仰に基づき「人類みな家族」だと、日本人スタッフよりも利用者さんのことを親身になって思い接してくれます。
だから、よく気が利き、利用者さんのためにと技術や知識を一生懸命勉強し習得するのも早いです。
職場での研修を、「忙しいのに・・・」と屁理屈をいうのは決まって日本人で、フィリピン人の方たちは喜んで参加してくれます。
片言の日本語しか喋ることができない方もいますが、気持ちは通じるもので、利用者さんはフィリピンの方たちのケアをとても頼りにしています。
利用者さんだけでなく、同僚にもよく気を配ってくれます。
感謝に満ち溢れている
これも信仰心からくるものかもしれませんが、フィリピン人たちはいつも感謝に満ち溢れています。
「利用者さんにお金を頂いて、日々生活できているのだから、利用者さんに感謝して一生懸命ケアするのは当たり前」と、さらりと普通に話し、本当に一生懸命日本の高齢者のケアをして下さり頭が下がる思いです。
とにかく明るい
多くのフィリピン人スタッフは明るくおおらかです。
おおらかさが行きすぎて大雑把になっていることもありますが、明るさでカバーと言う感じであまり気にならないものです。
誰にでも明るく笑顔で接してくれるため職場のムードメーカーになっています。
日本人と違って明るく自然にスキンシップをはかってくるので、おじけづくこともありましたが、今ではだいぶ慣れてきました。
おわりに
高齢者の昔話を聞いたり昔の映画や番組を見ると、フィリピンスタッフがしていることは昔の日本でも当たり前だったと思います。
フィリピン人に接すると日本人が忘れかけている心を思い出させてくれるようです。
ホスピタリティに溢れたケアを提供してくれるフィリピンスタッフには、いつも心から感謝しています。
そして、少子高齢化へと高速で向かっている日本は、今後、外国人スタッフの力は欠かせないものとなるに違いありません。
外国人スタッフが増え、世界共用語とされている英語を勉強中です。
ちなみにフィリピン人は、みな英語がペラペラです。日本語より英語の方が理解できるそうです。
フィリピン語に英語、日本語を話し、外国である日本で仕事をしてくれているフィリピンスタッフを尊敬します。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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