透析理解の難しさ
今回は、透析について書いてみたいと思います。
最近では、透析患者さんの死亡率も昔に比べ、随分低くなってきています。
「透析しても長く生きられない」
という時代では、なくなってきています。
しかし、透析治療を受けている患者さんの大変さは、かなりのものかと思います。
慢性腎不全の理解は難しい
透析患者さんの中には、特に高齢者の方など、自分の置かれている病気が、完全に理解できていない人も多くいらっしゃいます。
今までの日常生活、特に食生活が、普通の常識と違うことが、なかなか、受け入れられないのが現実です。
理解できていない患者さんの考えは
- 腎臓の病気はたくさん水を飲むとよい
- 病気になると果物を食べるとよい。特に腎臓にはスイカが良い
- 健康のため青汁を飲んでいる
腎臓の機能が失われていない時には、いいのかもしれません。
透析患者さんの1日の水分接種量は、患者さんの状態によっても様々ですが、ドライウェイトの3%と言われています。
食事からも水分があるので、1日の飲み水は、コップ1~2杯の人もいました。
おしっこが出なくなるのだから、たくさん水分を取ってというのは、肺水腫の原因にもなります。
病気になると、バナナやメロンをお見舞いに持って行く世代にとっては、果物を制限しなくてはいけないこの病気の理解も、なかなか受け入れられないことの一つです。
果物は、病気に良い
という考えなのでしょうね。
しかし、透析患者さんには、食べてはいけない物とまで、言われています。
果物には、カリウムが多く含まれているからという理由から、高カリウム血症を引き起こし、死へのリスクが高まるということです。
腎臓にスイカが良いというのも、健康な腎臓であれば尿の出が良くなることなどは、あると思います。
スイカは、水分、カリウムを多く含む食べ物です。
腎不全の方には、NG食品には、間違いないです。
病室で、腎臓にいいからと、透析患者さんたちが、もらったスイカを切ってみんなで食べていたことがありました。
やはり、もともと持っていた情報は、なかなか変わらないのが、現実です。
透析導入する人たちは、腎臓の機能が10%以下になって行われます。
自分の腎臓の代わりに、毒素や水分を2日1回取り除く治療です。
無尿の人もいる中で、透析が行われるまでは、毒素も水分も体にためていることになります。
正常な人は、1日何回も尿として排出できるのです。
それを1~2日間溜め続けるのですから、摂取量の制限が不可欠になります。
この辺の理解が、なかなかできないことが、こういった間違った病識になっているのでしょう。
高齢者には、特に難しいようです。
一人暮らしの高齢者の女性は、透析が済むと体がしんどいからと、帰りにクリニックによって、点滴をしてもらっていた患者さんがいました。
そのクリニックもどうかと思ういますが、患者さんは、
「透析しても、点滴したら楽になるんよ。」
とにこやかに話されていました。
可愛いのだけど、せっかく頑張った4時間が、無駄になってると、思いながら、患者さんのは説明しました。
自己管理が難しい
本当に、透析って、医療従事者でも何でもない人には、難しいことです。
理解していても、自己管理ができるのかというと、これもまた難しいことです。
医師は、ドライウェイト、心胸比(CTR)の話を 患者さんと話します。
透析も長い患者さんになると、本当に詳しくて、医師の説明もよく理解している人もたくさんいらっしゃいます。
しかし、自己管理が完璧な人は、少ないのが現状です。
欲求に勝てないのも現実問題!
体重増加が多いと、しんどい透析になります。
透析中に、血圧低下が著しく、意識を失ってしまう人もいます。
毎回、同じ時間に意識を失う人もいました。
体重増加が多く、しんどい透析になる人は、予定除水をクリアできないことが続くことがあり、どんどん借金が溜まっていく状態になっていく人もいました。
慢性腎不全と透析
慢性腎不全で透析をされている方のほとんどは、2型の糖尿病からの糖尿病性が多いかと思われます。
その他には、1型の糖尿病、慢性糸球体腎炎などが、原因の人もいらっしゃるかと思います。
生活習慣病の方が増えている中、透析患者数も増えているのが現状です。
2型の糖尿病さんは、食事管理の難しい方が、透析までの道のりを歩んできたのだと思います。
もちろん、透析導入ともなると、もっと食事管理がしんどく、そこに、水分管理が加わるのですから、毎日の食生活は、負担になります。
しかし、健康な人も、なかなか、ダイエットとなると、難しいですよね。
おいしいものが好きで、食べることが好きな人が、肥満になったり、食事管理の必要な病気にもなっています。
看護師であっても、完璧な食生活を送っているわけではないし、自分がその病気になったときに、
一生、その病気のための食事管理が、完璧にできることはないと思います。
できる人もいらっしゃるかもしれませんが、私は、自信ないです。
食事指導、本当に難しかったですね。
私自身、若いときは、外に出ると、暴飲暴食をし、自宅で何もないときは、食べずにいたりとかなり食生活は悪かったと思います。
今は、子供たちに気を配っていますが、この子たちは、大人になったらどうでしょうか?
この記事を書いた人
- 転職を重ねながらも、この仕事に長く関わってきました。最近、月数回、小児科の夜間救急のパートで仕事をしています。
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転職を重ねながらも、この仕事に長く関わってきました。最近、月数回、小児科の夜間救急のパートで仕事をしています。
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