ナースはつらいよ

息苦しい患者さんの入浴方法のヒント

呼吸器内科では、原因の疾患は様々ですが、息苦しさを抱えて生活する患者さんが多いです。そんな呼吸の苦しい患者さんに対する清潔援助は、大切な看護の一つです。

とはいえ、苦しいと訴える方を動かしても良いのか、どうやって援助したら良いのか、判断が難しいと思います。今回は、そんな患者さんの入浴介助のときに役立つちょっとしたヒントをお話しします。

入浴はなぜつらい?

病態も落ち着いたし、医師から入浴可能と指示が出た!でも患者さんに伝えても、「お風呂に入ると息苦しくてしんどいから入りたくない」と言われてしまい、いつまでたってもお風呂にはいれない…そんな光景をよく目にします。

入浴動作というのは、お風呂場までの移動→脱衣→浴槽までの移動→洗体、洗髪→浴槽につかる→体を拭く→着衣と、動作が長く多い行為です。「入浴がつらい」患者さんには、一連の行為を良く観察し、話を聞いて、どの工程が一番つらいのかを見つけることが大切です。どこに介助が必要なのか、動作の工夫が必要なのかが分かると思います。

また、一連の工程は長くなるので、持久力が必要です。途中で休憩を入れたり、負荷が大きい場合は、入浴と洗髪を別の日時にしたりなどの調整が必要です。

入浴時の道具の工夫

立位で動くよりは座った方が苦しくないので、脱衣所や浴室にあらかじめ椅子を準備しておきます。椅子からの立ち上がりが楽なように、高めの椅子の方がより良いでしょう。

息苦しい患者さんというのは、腕をあげる動作が息苦しさを増強させます。腕をなるべく上げなくても済むように、体を洗うタオルは長いものにしたり、ボディブラシなんかも良いと思います。

また、洗髪の時に息を止めることで苦しさが増強するので、シャンプーハットを使うと楽に髪が洗えます。

入浴後に少し座って休憩したいですが、湯冷めしないようにバスローブがあると更に良いですね。

楽な着替え方

更衣は基本的に椅子に座って行います。上肢の更衣の際は、腕を上げる動作で息苦しさが増強するので、なるべく腕を上げる回数を減らせるように工夫します。

着る前に上着と下着を合わせておくと、一度に着られて便利です。前開きの洋服がベストですが、かぶりものの場合は、先に袖を通してから頭を通します。酸素カニューレを装着している場合は、頭を通してから、ゆっくり息を吐きながらカニューレを引き出します。

下肢の場合は、前かがみになることで息苦しさが増強するので、なるべく前かがみにならない姿勢で行えるように工夫します。下着とズボンをあらかじめ合わせておき、椅子に座って足を通します。下着とズボンを太ももまで上げたら、息を吐きながら立ち上がり、ズボンを上げます。

入浴後にすぐに服を着るのがつらい方は、湯冷めしないようにしてベッドか椅子で少し休憩し、呼吸が落ち着いてからゆっくり洋服を着るという方法でも良いと思います。

全ての動作で呼吸の方法を工夫する!

どの動作においても、呼吸の仕方を工夫することで楽に動けます。一番大切なことは、呼気と動作を合わせることです。なぜなら、息を吸う時よりも、吐く時のほうが、呼吸筋を使うことが少ないのでエネルギーが少なくて済むのです。

その他にも、動作は呼吸に合わせてゆっくり行うこと、息こらえをしないことも大切です。全てを一気に行うのではなく、一つの動作のあとには休憩を入れ、呼吸を整えてから次の動作に移ると良いでしょう。

慢性的に呼吸が苦しい患者さんは、息苦しいから動きたくないと考え、どんどん動かなくなり、廃用が進んでますます息苦しさが増すという悪循環に陥りがちです。苦しくなったら少し休む、少しでも楽に動ける方法を一緒に考える、という発想の転換が必要ですね。ナースの腕の見せ所だと思います。

この記事を書いた人

きなこ
呼吸器内科に10年勤務
→休職
→訪問看護に再就職
→妊娠に伴い退職しました。
現在二人の子育てで休職中です。認定看護師の資格を持っています。
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呼吸器内科に10年勤務 →休職 →訪問看護に再就職 →妊娠に伴い退職しました。 現在二人の子育てで休職中です。認定看護師の資格を持っています。

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