妊娠して退職を決めた理由と葛藤
私は総合病院を退職後、訪問看護に転職したのですが、その間に妊娠し、退職することにしました。その時のエピソードについてお話しします。
妊娠希望と知っていて受け入れてくれた職場
総合病院を退職後、しばらく休職期間を経て就職活動をしたのですが、新たな就職先を探す時に、現在妊娠希望であるということを先方に伝えることにしていました。
いくつか就職先の候補はあったのですが、結婚していることを告げるとやはり妊娠について聞かれる事が殆どでした。先方としては、せっかく就職してもらってもすぐに妊娠、出産となると、受け入れが難しいのは当然の事です。中には、就職後一年間は妊娠をしないで欲しいと希望する会社もありました。
そんな中、私が就職した訪問看護ステーションでは、私が妊娠を希望している旨を伝えても、快く就職を受け入れてくれました。これには本当に感動し、是非ここで働きたいと思い、就職を決意しました。
妊娠判明!
就職後、毎日覚える事が多く必死でしたが、人間関係がとても良い職場だったので、楽しく勤務していました。就職して2ヶ月が過ぎ、少しずつ一人で出来ることも増えてきた時期に、妊娠した事が判明しました。同時に、つわりが少しずつ出てきていました。妊娠したことはすぐに上司とスタッフに報告しました。
職場が配慮してくれたこと
訪問看護では重いナースバッグを持ち運ぶ必要があります。まずそのバッグを、運びやすいリュックに変えて頂きました。
また、私の働いていた地域では、殆どのお宅へ自転車移動していたのですが、自転車移動をなるべく少なくなるように、電車やバスの乗り継ぎについて調べてくれました。
患者さんによっては、一人で重介助の方の移乗やお風呂介助をする方もいましたが、なるべく介助量の少ない訪問先になるように、調整してくれました。どれをとっても、妊娠初期の私には大変ありがたく、温かい配慮に毎回涙が出そうになりました。
しかし、そこまで配慮して頂いたのですが、私のつわりがひどく、また少量ですが出血することもあり、仕事を急に休む日も増えてきました。
泣く泣く退職を決意した理由
今後どのように仕事を続けて行ったら良いのか、上司と何度も話し合いをしました。結果、私は退職することを決意したのですが、その理由として次の3点が挙げられます。
急に休むことでスタッフ・患者さんに迷惑がかかること
病院と違い、訪問看護では、一人につき何分と訪問時間が決まっています。あらかじめその予定を患者さんとご家族に伝えているので、スタッフの急な欠勤によりスケジュールを変更すると、直接患者さんに迷惑がかかってしまいます。そのことが一番心苦しかったです。スタッフも少ない人数で勤務しているので、一人にかかる負担が増えることも明らかでした。
訪問手段の関係
訪問する時の移動手段が自転車の時は、短時間でもお腹が張ってしまっていました。徐々にお腹が大きくなっていったら、転倒する怖さもあると感じました。また、バスや電車移動はつわりが悪化してとても辛かったです。
身体的負担の大きさ
患者さんのお宅には基本的には一人で訪問するので、全てのケアを一人で行わなくてはいけません。腹圧を全くかけずに行うのは難しく、病院のように他のナースの手を借りることもできません。全介助の方のお宅でもしも患者さんが転倒してしまった時に、とっさに体を差し出して庇えるのか、一人で起こすことが出来るのか、自分に問いかけた時に、答えはNOでした。
以上の理由から私は退職することを決意しました。やっと慣れてきた働きやすい職場で、退職するのはとても心苦しい決断でした。退職してからもしばらくは、自分の決断が正しかったのか自問自答することもありました。でも、子供が無事に産まれ、今では全く後悔していません。何よりも子供の命を守るための決断であり、正しかったと思っています。
この記事を書いた人
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呼吸器内科に10年勤務
→休職
→訪問看護に再就職
→妊娠に伴い退職しました。
現在二人の子育てで休職中です。認定看護師の資格を持っています。
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呼吸器内科に10年勤務 →休職 →訪問看護に再就職 →妊娠に伴い退職しました。 現在二人の子育てで休職中です。認定看護師の資格を持っています。
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