労働組合なんて面倒くさいと思っている看護師のあなたへ
一般病院に就職したら、有無を言わさず労働組合に入らされました。
よくわからないけれど毎月組合費をひかれました。
これで労働条件が本当に改善されるのか?持ち回りで組合の仕事をしなければならず面倒くさい!やめたい!と、何も知らない若かりし頃は思っていました。
そう思うのも無理がありません。
今の職場に就職した時は、もう今のとりあえず困らない労働条件が整った環境ができていたのですから。
続けるのも、やめるのも本人の自由意思ですが、将来あって良かったなと思うのが労働組合です。
労働組合についてよく知らず不満を抱いている方、労働組合に入ろうか迷っているのために、わかりやすく看護師の労働組合についてご紹介します。
労働組合って何しているの?
簡潔に言えば、看護師の待遇を向上させるための努力を日々行っている組織です。
看護師の増員を求める欲求や地域医療の縮小反対を求める運動、賃金・労働条件を向上させる取り組みなどを行っています。
また、万が一の医療事故などの場合にも、看護師が不当利益を受けることのないように協力してもらえます。
医療事故が起きた場合、多くの医師は看護師のせいにしますからね。そんな時は味方になってくれます。
以前、働いていた病院で実際に医師の患者への説明不足で起きたのが大きな原因の医療事故が起きた時は、労働組合が大きく動きました。
また望まない不当な転勤に関しても、労働組合が一緒に戦ってくれます。
看護師の労働組合の歴史
看護師の労働組合の戦いを知ると感動します。
「人間らしさ」と「よい看護」を求めて戦った歴史があるから今の労働環境があるのです。
戦中の従軍看護は、軍隊並みの厳しさと長時間の労働奉仕だったそうです。
戦後すぐはその影響が色濃く残っていました。
全寮制
雑居同室で、寮監や総婦長に生活まで監視されて、奉仕の精神のもと自宅からの通勤ですら許されなかったのです。
低賃金
食べられるだけの賃金をもらいたいという当たり前の要求ができませんでした。
妊娠・出産の自由がなかった
1959年には、新潟の国立高田病院で妊娠制限があるという驚くべき実態が発覚しました。
人手不足を理由に「妊娠は年に4人まで」という規則がつくられ、「割り当て外」に妊娠した看護師の出産の是非はは看護婦互助会で投票して決めることとされていました。
大きな社会問題となり全国医療労働組合の戦いによりその規則は撤回となりました。
日本を揺るがす病院ストライキ(人権闘争)
1960年秋から61年春にかけて歴史的な「病院スト」がありました。
330病院、3万人を超える医療労働者が参加します。
あまりにも低い賃金と前近代的な労使関係に怒りが爆発。
「無賃(ナイチン)ガールはごめんだ」と、劣悪な労働条件の改善、看護師の結婚・通勤の自由、全寮制打破などを要求して、十数波におよぶ全国的なストライキを実施しています。
病院経営者や政府からの弾圧、首切り、組合分裂攻撃もありましたが戦い続けました。
看護師の夜勤制限闘争「ニッパチ闘争」
看護師の過酷な一人夜勤、月の半数を超える夜勤日数、長時間労働、母性破壊などの実態を改善した運動です。
「患者に良い看護をしたい」という切実な要求を実現するために、1963年人事院に実態調査をさせて、「夜勤は月平均8日以内、一人夜勤廃止」の判定を出させました。
この1968年の新潟県立病院における看護婦の実力行使を背景にした「夜勤協定」の戦いがはじまり、それを皮切りに「2人以上月8回以内」夜勤体制を要求する実力闘争が全国的に広がりました。
今では、考えられない労働環境ですね。
歴史を知ると当たり前だと思っていた労働環境がとてもありがたく思います。
ナースウエーブ運動への発展
80年代には「行革」路線に反対して、国民の医療・福祉を守る運動を全国的に展開しました。
89年からは、看護師不足の解消と社会的地位の向上、患者・国民の医療と看護の改善を求めて「看護婦闘争=ナースウエーブ」を展開しました。
「看護師確保法・基本方針」を作らせるなど、国民的な支持と理解を広げて運動してきました。
現在は、医療事故防止、安全・安心の医療など、国民の医療・福祉要求に応えるために「大増員闘争」や「医療・社会保障闘争」に力を入れています。
もっと詳しく知りたい方は、
をご参照下さい。
さいごに
どうでしたか?
労働者の生活の尊厳・働く尊厳。
一人で守るのは難しいですが、労働者が団結することにより国をも動かす力となることが歴史から分かりました。
結果はすぐには出ないかもしれません。
粘り強い地道な活動が、未来へとつながっていくのではないでしょうか。
労働条件が整っていると自然によい看護を提供できると思います。
戦ってきてくれた先人たちの感謝も込めて、未来の看護師のために、やはり労働組合はあり続けて欲しいというのが私の思いです。
これからは、少子高齢化に拍車がかかっていくにつれ、医療現場の労働は変わっていくでしょう。
ますます労働組合が必要になってくるのではないでしょうか。
長くなりましたので、労働組合に入るメリットとデメリットについて次にまとめたいと思います。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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