泌尿器科で働くナースの苦悩と魅力
皆さんもご存じですが、泌尿器科はマイナーな科であり自ら希望する看護師は稀でしょう。
私は20代後半の頃、泌尿器科に異動となりました。当初はまだ若く恥じらいがあり、泌尿器科をよく理解していないこともあり、看護師以外の友人に診療科を尋ねられた時は答えるのを躊躇していました。
しかし、実際に働くにつれて他の診療科にはない魅力に気づきました。
世の中の偏見
患者さんは圧倒的に中高年の男性が多いです。
泌尿器科が専門とする分野は、副腎をはじめ腎臓、尿管、尿道、膀胱、前立腺、陰茎、睾丸といった尿を排出したり、ホルモンを分泌する臓器です。
しかし、以前は、性病を主に診ていたという経緯があり、世の中では、性器周辺の臓器に関する病気を扱う科だとイメージしていて、泌尿器科で働く看護師は肩身の狭い思いをすることがあります。
また、「標榜診療科」として認められてから日が浅いので、一つの診療科として一般に浸透されていないのかもしれません。
近年では、腎移植や前立腺肥大の経尿道的手術、膀胱がんによるウロストミー造設が注目されて、外科の一分野であることを知られるようになってきています。
下ネタ平気と思われる
泌尿器科に働いていると言うと、下ネタOKだと勝手に思われます。
平気なのは、病院という職場で看護師として働いている時であり、白衣を脱げばその辺にいる女性となんら変わりありません。(かなり耳年増にはなっているかもしれませんが)
男性経験がない若い看護師にはちょっと抵抗があるかも・・・
外科の一部ですので、手術前に男性性器の周辺の除毛or剃毛が必要です。慣れればどうってことはないのですが、はじめのうちは恥ずかしく抵抗があるかもしれません。
敏感な部分であり、手術前に傷をつけたら大変です。
若い看護師に見られる患者も恥ずかしいので、そこは割り切ってやるしかありません。
男性の不妊診察・治療を行っているところもあり、精液採取をしなければなりません。男性患者さんが、精液を採取できるように下半身を興奮させる雑誌などが置いてある部屋が用意されています。
精液採取の説明をしたり、その専用の部屋を掃除するのは、かなりは気が引けます。
泌尿器科では、デリケートな部分を治療するため、訪れる患者さんの悩みや不安も深刻です。女性には、知られたくないという思いから女性看護師を敬遠されることがあります。
こんな時、男性看護師がいるとかなり助かります。男性看護師の泌尿器科での活躍を期待してやみません。
地元近くの泌尿器科で働かないほうがいい
中学や高校の時の同級生が患者となってバッタリ会いました。他、友達のお兄ちゃん、お父さんと会うというケースもありました。
お互い顔見知りの場合、下を見るのも見られるのもかなり恥ずかしいものです。
他の看護師に変わってもらうことがありましたが、夜勤でどうしても人手がいないときは、お互い恥ずかしい思いをしながら処置に当たったものです。
人間関係が他に比べて良い
泌尿器科の配属は、経験を積んだ女性看護師か男性看護師となり、若い人が少ないのが特徴です。
女性特有の人間関係の悪化が少ないと言われています。
患者が男性ばかりなのでセクハラされるのではと心配する人がいますが、他の科より少ないように感じます。下の話が日常茶飯事となりさらりと上手く対応できているのかもしれません。
余裕がある雰囲気といった泌尿器科が多いでしょう。
ベッドメーキングの技が活かされる
泌尿器科は、経尿道的結石破砕術や体外衝撃波結石破砕術などを活用しての短期入院がありベッドの回転率が速いのも特徴です。
時には、クリティカルパスの患者さん3人退院してまた3人入院を受けるということもあります。
看護助手さんだけでは間に合わず、看護師もせっせとベッドメーキングをして入院準備をします。
看護学生の時、教師からベッドメーキングは3分でしなさいと特訓させられた技術がここぞと言わんばかりに活かされました。
緩和ケアを勉強したい方にもおすすめ
前立腺ガン、膀胱がんなど泌尿器系のがんは、骨に転移しやすく疼痛コントロールが必須になります。
また、デリケートな部分であるためかなり進行してから受診をするため、すでに末期がんだという人が少なくありません。
疼痛コントロールに関しては、麻酔科のペインコントロールに詳しいDrと連携してケアに当たりました。
もちろん人間にとってあまり見られたくない部位対象としているので、精神的な緩和にも気を配らなければなりません。
これから泌尿器科で働こう、すでに働いている方のモチベーションUPにつながれば幸いです。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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