思わずうなずく!?口腔ケアあるある
わたしは呼吸器内科に長らく勤めていました。呼吸器内科では口腔ケアが必須の看護で、様々な知恵と工夫を要するとても奥深い看護技術だと思っています。
そんな口腔ケアにまつわるあるある話と、その対処方法についてお話ししますね。
痰がカピカピになってこびりついて取れない!
これは呼吸器内科ではかなりよく見る光景です。いざ口腔ケアをしようとすると、カピカピになった痰が口腔内のあちらこちらにこびりついており、歯ブラシやガーゼで拭おうとしても取れないのです。
私の経験上、看護師さんには、そこにあるものを除去することに熱心になる人が多い気がします。なので、口腔内にこびりついた痰も、熱心に取ろうとしてくれます。あの人〇〇さんの口腔ケアに行ったきり帰ってこないな〜なんて噂してると、かなり長時間集中してケアをしていたり…。
綺麗に取れればいいのですが、中には無理に剥がそうとして出血してしまったり、長時間ケアを行うことで呼吸状態が悪化してしまったりということも起こり得ます。
そんな時は、口腔ケアを行う少し前に口腔内保湿剤を塗布しておいて、こびりついた痰をふやかしておくのが効果的です。
また粘膜には、歯ブラシやガーゼよりも粘膜用のスポンジブラシを使用するなど、物品の工夫も必要です。
口腔内の乾燥防止のために、こまめに保湿剤を塗ることや、マスクをして水分蒸発予防をすることも大切です。
歯ブラシを噛んでしまって離してくれない
認知症の患者さんなどの口腔ケアの際に、挿入した歯ブラシなどの器具を噛んでしまったり、入れるまでもなく歯を噛み締めて開いてくれなかったりということがあります。きちんと綺麗にすることができないばかりでなく、看護師の指を噛まれたりする危険もあります。
そのような患者さんに対しては、バイトブロックや開口器などで開口し、視野を確保すると同時に事故予防する必要があります。
また、口腔ケアへの恐怖感が強く意識的に口を開けるのを拒否している方もいるので、口腔周囲のマッサージなどで緊張をほぐし、苦痛にならないようなケアを行っていくことも大切です。
うがいの水でむせ込んでしまう
意識がはっきりしていても嚥下障害のある患者さんに口腔ケアを行う際は、むせ込みによる誤嚥に注意が必要です。
うがいの水でむせ込んでしまう人には、ガーゼで拭ったりするのですが、なかなか綺麗にできません。せっかくブラッシングで除去した汚染物は、流したいですよね。
このような例では、排唾管というストローのような器具を使い、吸引を行いながら、シリンジで少しずつ水をかけて汚れを流す方法が効果的です。誤嚥のリスクがあるので、看護師2人で行う必要があります。
また、体位も工夫して、仰臥位ではなく、側臥位や座位にして行いましょう。
全員が洗浄しなければならないというわけではなく、アセスメントにより誤嚥のリスクのほうが高い場合は、無理して洗浄せず、吸引付きのブラシやスワブを使用してできるだけ汚染物を回収するという方法をとります。
綺麗にしたつもりが血だらけに…。
白血病の患者さんや、抗癌剤による血球減少の患者さんは、出血傾向があります。そんな患者さんに口腔ケアをすると、歯肉から出血してしまうことが多々あります。
せっかく綺麗にしたつもりが、ケア前よりも血だらけになってしまったなんてことがよくあります。
出血させてしまうのが怖くて、ケアがおろそかになってしまうと、口腔内の汚染がすすみ、新たな感染を引き起こす可能性も出てきます。
そんな時は、柔らかい毛のブラシを選択することが重要です。片手の指で歯肉を保護しながらブラッシングすることで、出血はかなり抑えられます。
口腔ケアの技術は呼吸器内科だけでなくすべての科において重要ですが、やったらやっただけ成果があがるということでもなく、また時間と労力もかかるケアです。
他のスタッフと相談しながらその患者さんに合った方法や器具を選択し、よりよいケアができるようにしていきたいですね。
この記事を書いた人
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呼吸器内科に10年勤務
→休職
→訪問看護に再就職
→妊娠に伴い退職しました。
現在二人の子育てで休職中です。認定看護師の資格を持っています。
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呼吸器内科に10年勤務 →休職 →訪問看護に再就職 →妊娠に伴い退職しました。 現在二人の子育てで休職中です。認定看護師の資格を持っています。
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