夜勤ナースの不眠・不穏患者さんの看護あるある
ナイトケアが終わって、消灯し病棟が静まるとホッとします。
しかし、しばらくすると転倒センサーが頻回に鳴り響いてガッカリしたことはありませんか?
世の中、高齢社会となり認知症疾患も増加し、夜間になると不穏になる患者さんをみることが多くなってきました。
呼吸器疾患などで全身状態が悪い場合は、睡眠薬や鎮静剤など使えない場合もあります。
抑制帯だけに頼ると、患者さんは興奮状態となる可能性があります。
稀ににマジシャンのように抑制帯を上手く解いてしまう患者さんがいます。
そんな時、皆さんどうしていますか?
一緒にティータイム
センサーマットが鳴って訪室して、少しお話をすると落ち着くのでナースステーションに戻ると、再度センサーマットが鳴るの繰り返し。
そこで、ナースステーションで一緒にティータイムをして過ごします。
「これも良かったら食べてみて」と夜食の裾分けをしています。
甘いお菓子や飲み物を渡すとニッコリする患者さんが多い気がします。
食事はあまり食べないのに、お菓子だったら食べることもあります。
そこで患者さんの昔話や家族の話を延々聞くこともあります。
そうこうしているうちにお腹も心も満たされるとウトウトし始めます。
しかし、これができるのは、食事制限がない患者さんに限ります。
一緒に巡視に回る
ナースステーションに看護師が誰もいなくなる時間帯は、一緒に巡視に回ることがあります。
車いす用の抑制帯に頼ることもありますが、看護師がいなくなると「誰か―!私を置いていかないで!」など大声で叫び病棟中に響き苦情につながることがあるからです。
プライバシー上、一緒に部屋に入れないので、部屋の前で待っていてもらうことがありますが、その時は、案外静かに待っていてくれます。
車いすの振動に揺られて、次第にウトウトし始めます。
赤ちゃんや子供と一緒かもと患者さんの寝顔を微笑ましく眺めてしまいます。
ぬいぐるみ・お人形さんと一緒
あのフワフワした柔らかい手触りに癒されるようです。
今、介護用の人形やぬいぐるみがありますよね。
猫や犬を以前飼っていたという患者さんには、犬や猫のぬいぐるみが喜ばれるケースがあります。
また、赤ちゃんや子供の人形では、話しかけると返してくれる介護用のものが売り出されています。
おしゃべりができて面白いのですが、大部屋ではうるさがられるので気をつけなければいけません。
そして、私たち看護師も、生きているペットや赤ちゃんのように人形を可愛がると患者さんは満足してくれます。
母性の実習で使うような赤ちゃん模型を買ってきてくれたご家族がいました。
数万円という高価なだけあって、大きさや重さ、皮膚のやわらかさが本物そっくりです。
はじめ見た時は、本物と思いドッキリしました。
その赤ちゃん模型のいいところは、可愛いだけでなく、たとえ排泄物に濡れても、簡単に洗えるところです。
毛がふさふさのぬいぐるみが、患者さんと一緒に排泄物にまみれていた時は途方にくれました。
ぬいぐるみやお人形さんを抱いて一緒に眠っている姿を見ると、私たちも癒されます。
男性よりも女性の患者さんに有効です。
家族にお願い
最後の手段ですが、ご家族にご協力して頂きます。
ご家族の力にはかないません。
特にお孫さんの言うことは聞くという高齢者は多いものです。
付き添って頂けるのならありがたいですが、それが無理な時は、電話で話して頂けるだけでも助かります。
しかし、ご家族が不穏や認知症の周辺症状にどうしていいかわからないと戸惑っている場合がありますので注意しましょう。
私も祖母の介護で経験したのですが、家族は、患者さんの元気な時の姿を知っているからこそ感情面で受け入れるのが難しい場合があります。
さいごに
夜になると日中では見られない患者さんの本音や闇を見ることがあります。
患者さんは、意味なく不穏や認知症の周辺症状が表れているのではありません。
冷静に振り返ると、寂しい、身体機能が低下していく戸惑い、環境変化に伴う不安から表れているものがほとんどです。
私たち看護師が、それに動揺したりイライラするとさらに症状は悪化します。
普段から知識を身につけたり、アセスメントを行いその人に合った対応ができるように心がけ、無事に朝を迎えたいものです。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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