ゴールドフィンガーと呼ばれる摘便の技
- 目的
- 適応
- スムーズに摘便処置を進めるためには準備が要
- 効果的に便を書き出すコツ
- 観察と記録
- 排便ショックに注意
職場にゴールドフィンガーと呼ばれている敵便上手な先輩がいます。
きっと指が長いからじゃないのと思って観察してみるとそうでもありません。
患者さんに苦痛を与えず有効な摘便方法をゴールドフィンガーと呼ばれている先輩に教えてもらいました。
目的
ご存知かもしれませんがおさらいしましょう。
「直腸に停滞した便を除去し排便を促進する。」ことが目的です
適応
下剤内服や浣腸レシカル座薬によっても排便に至らない場合
十分に腹圧がかけることができない場合
脊椎損傷などにより下直腸神経麻痺のある場合
スムーズに摘便処置を進めるためには準備が要
敵便が必要かどうかアセスメント
肉体的にも精神的にも苦痛が伴う処置のため敵便が必要かどうかきちんとアセスメントして患者さんに同意を得ましょう。
●敵便を避けるか注意する患者
痔、出血傾向、肛門や直腸に病変のある患者は、処置の際に出血を引き起こすリスクが高いため、状態を把握し避ける必要があります。
また、認知症が強く処置が理解されず、体動が激しい場合は、指で肛門を傷つけてしまう可能性があるので避けましょう。
●観察点
バイタルの変動
腹部状態(緊満の有無、腸鳴、圧痛の有無など)
食事・水分量
内服・下剤の使用の有無量
レシカル・浣腸では排便が促せないか
レシカル座薬や挿肛・浣腸した時、指や浣腸のカテーテル部位に便がついてきたか
腹圧が自力でかけられるか
直腸神経麻痺
痔の有無
抗凝血剤の内服
直腸手術の有無
必要物品
ワセリン
(ワセリンの代わりにキシロカインゼリーを使うこともあります。キシロカインゼリーは表面麻酔になるが、ショックを起こす可能性もあるので初めて使う患者さんには注意)
ハンドクリームかオリーブ油(腹部マッサージに使う)
ディスポ手袋(2枚重ねで使います)
防水シーツ
臀部の下に敷く平オムツ(同時に尿もでてしまうことが多いので広く敷いておきましょう)
おしりふき
尿器(男性の場合あると便利)
微温湯が入った陰洗ボトル
新しい変えのオムツ
新聞紙やビニール袋
腰部~臀部にかけて覆うバスタオル(プライバシー配慮のため)
実施場所
同室患者さんがいるお部屋では、特にプライバシーに気をつけましょう。
必要時、処置室を利用しましょう。
体位
患者さんに直腸の解剖上、左側臥位になってもらいます。
右利きだと作業がしやすいというメリットもあります。
効果的に便を書き出すコツ
1.手袋を二重にして自分の第2指にワセリンをたっぷり塗ります。
2.肛門括約筋を緩めてもらうために患者さんにゆっくり口で息をしてもらいましょう。
患者さんが息を吐くタイミングでゆっくりと指を入れ進めていきます。
3.指の先で便の硬さや位置が確認できたら便を書かきだします。
●Point
何度も肛門に指を出し入れしてはいけません。
挿入したまま、指を第1~2関節を使って指を直腸の壁に沿わせるようにゆっくりと回転させて直腸壁から便をはがすような感じでするとよいです。
また、大きな便塊をそのまま出そうとすると肛門部が傷ついてしまうことがあるので便を少しずつ砕きながら少しずつかきだしましょう。
4.指周辺に便塊が触れなくなったら、同時に腹部圧迫したりマッサージすると下に便が降りてきて効果的です。
ハンドクリームやオリーブ油、またはヒルロイドローションなど潤滑油にしてマッサージすると滑りがよく患者さんに苦痛を与えずリラックス効果をもたらすことができます。
一人で行うより二人で行うとさらに効果的です。
敵便中は、患者さんの表情や顔色をきちんと観察しましょうね。苦痛を伴う処置だからと言って早く終わらせようと焦りは禁物です。
観察と記録
便の量、色、性状などはもちろん。残便感や痛みや出血の有無も必ず記録しましょう。
これらがアセスメントするときの大切な情報となります。
これによって、下剤の調節や敵便は必要かどのタイミングでしたらいいかアセスメントすることができます。
排便ショックに注意
また、敵便により大量の排便があったと喜んでいてはいけません。
大量の排便により迷走神経反射を起こし血圧が一過性に低下する場合があります。
私は、高齢者に排便処置をした場合何回か経験しています。中には意識消失を起こす方もいるので要観察が必要です。特に高齢者の場合はハイリスクです。
万が一なショックを起こした場合は、ショック体位にして、すぐにバイタルのチェックをし医師の指示を仰ぎましょう。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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