元精神科ナースが教える☆つらい人間関係を楽にする方法③
こんにちは。しまりんごです。
人間関係のストレスが多い看護師の仕事ですが、解決にはならなくても楽になる糸口になれば・・というシリーズの第3弾です。
パート2ではパーソナリティのタイプ別の特徴や望ましい対応をご紹介しました。人は多かれ少なかれ生き方や考え方に癖や偏りがありますが、行き過ぎると少し病的なニュアンスが強くなり、生活に支障が出てくることがあります。
あなたにもし、「この人は一緒にいるととても疲れる。なるべく関わりたくない」と思う人がいるとすれば、その人はもしかしたら、少しパーソナリティの偏りが強いのかもしれません。
なぜ、その人のことが苦手と感じるのか。それが分かれば関わりを楽にする糸口が見つかるかもしれません。というわけで、今回はパーソナリティ障害(の傾向が強い人)の基本症状をお話します。
両極端で二分法的な思考
分かりやすく言えば、「全か無か」「白か黒か」「敵か味方か」という考え方です。完璧にできないならばやらない方がましだと考えたり、白黒はっきりさせなくては気が済まなかったり、周囲の人間を敵なのか味方なのかという見方しかできなかったりします。
そういう人は、「ま、いっか」というほどほどができません。物事が自分の思い通りに進まないと投げ出してしまいがちです。完璧でなければ意味がないから。完璧にやりたいから周囲にもそれを要求します。
そして、自分にとって都合の良い人は「味方」ととらえ過剰と思われるくらい友好的ですが、一度でも意見しようものならその瞬間「敵」となり牙をむくのです。その人を想っての助言であっても受け入れることはできません。
安定した信頼関係を維持するのが難しい
周囲の人間は「敵か味方か」のどちらかなので、味方の人間がいつ敵になるのかいつも疑いの目で見ています。本当はすごく臆病で、自分に自信がなく、見捨てられることを恐れています。だから相手のことを信じられないのです。信じて裏切られるのが怖いから。
けれど、それでは相手がそれを感じ取り疲れてしまいますし、自分が敵と思ったらもうその人を受け入れることが難しくなるので、結局人が離れて行ってしまいます。その結果、また人を疑い・・・の負のスパイラル。相手を試すようなこともしてしまうことが多いです。
自分が本当に信じられる人を常に探しては次から次へ人と親密になろうとしたり、その逆で誰とも親密になろうとしなかったり、とてもバランスの悪いのが特徴です。
高すぎるプライドと劣等感が同居
本当は劣等感が強いのに、自信があるように振る舞います。実はこれは、落ち込むことを避けるための「躁的防衛」という防衛本能で、誰にも備わっている本能であり、これ自体が悪いわけではないのですが、過剰になると自分を見つめなおすことができなくなります。
結果、客観的に自分を見ることができなくなるため、周囲の人からはひんしゅくを買います。
自他の区別があいまい
自分と全く同じ考えをもった人なんていません。当たり前のことですね。友達であっても、家族であっても分かり合えないことはありますよね?パーソナリティ障害の傾向が強いと、それが理解できません。
相手も当然、自分と同じように考え、同じような行動をとるに違いないと無意識に思っています。だから、その思いが裏切られたとき、「なんで?!」と反発したり批判したりしてしまいます。自分のものさしがどこでも通用すると思ってしまうのです。
逆に、他者の考えや行動の影響を受けやすいとも言われています。「自分は自分、他人は他人」だけどその違いも認め合える。そういう関係が築きにくいのです。
そして困ったことに自分の感情を相手の感情として受け止めてしまうところがあり、相手に対する不信感を募らせてしまったりします。分かりやすく言うと、本当は自分が相手を嫌っているのに、相手が自分を嫌っていると思い込んだりするわけです。心理学的にいうと「投影」の状態です。
自分へのこだわりが強く自己愛のバランスが悪い
自己愛というのは、「自分を大切にする力」のこと。パーソナリティ障害の傾向が強い人の自己愛は2パターン。
自分をヒーローのごとく万能な人間だと感じ感情な自信があり、人を人とも思わないような優越感がある陽性自己愛。
そして、委縮した自己愛で、自分を必要以上に卑下したり粗末に扱ってしまう陰性自己愛です。
自分を上手に愛せない、大切にできない。だからリストカットなどの自傷行為に及んだり、不特定多数の相手と性的な関係を結んだりすることもあります。
というわけで、パーソナリティ障害の傾向が強い人の周囲の人は振り回されてしまうことが多く、疲れてしまいます。もちろん、パーソナリティ障害の傾向が強いその人本人も、自分自身に振り回され、ジェットコースターのようなアップダウンの激しい自分の感情と付き合い、誰も信じられず、苦しい思いをしていることもあるのです。
誰でも人間不信に陥ったり、自分が無価値に思えたり、精神的にうまくいかない時期があります。それが常に続いているのだと想像すれば、それがどれだけの苦痛なのか分かりますね。それでもできれば人間関係の苦痛をあまり感じずに過ごしたいですよね。
それにはどうしたら良いのか・・・それはパート4でお話できたらと思います。それでこのシリーズは終わりの予定(笑)です。
この記事を書いた人
- 育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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