お客様の中に、お医者様か看護師様はいらっしゃいませんか？

お客様の中に、お医者様か看護師様はいらっしゃいませんか？

｢その状況って本当にあるの？｣

そう思われた方、多いのではないでしょうか。最初に結論から言ってしまいますが･･･あります。

今回の記事では私が体験した出来事を踏まえて執筆していきたいと思います。よろしくお願いします。

私が、新幹線に乗り込み、向かっていた先は“京都府”です。冬のボーナスが支給され、浮かれ気分で京都に旅行に行く道中でした。

新幹線とは言ってもかなり長い道のりになることがわかっていたので漫画本なんかを購入し、読んでいました。

時間は夕方頃でしょうか。そろそろ暗くなりそうな空を窓越しに見ているじかんたいです。

(お客様の中に、お医者様か看護師様はいらっしゃいませんか？)

放送のチャイムもなく、その音声が新幹線に響きました。

最初は私もポカンとしていたのですが、一緒に旅行をしていた旦那(当時は彼氏)が、私の肩をゆすりました。

｢何かあったみたいだけど･･･行かないと･･･だよね？｣

私は、そこで冷静になり一呼吸おいて手を挙げました。

｢看護師です。小児科ですが。｣

すると、制服を着た女性の方が近づいてきて、先頭車両まで誘導されました。

私は電車の真ん中車両くらいに座っていたので、先頭車両まで向かう間に他の乗客の視線が私に向かっているのを感じて、緊張が強くなりました。

私が、現場に到着すると、既に医師が(乗客？)いましたが主に脳外科を担当している方のようでした。

という内容でした。ここまでで看護師ならピン！と来た方もいらっしゃると思いますが彼は気胸を起こしていました。

診察に来た医師も専門外ではありましたが、特徴的な症状から気胸だと判別しました。

しかし、問題は医療機器がないことです。新幹線の中に常備されているのは、聴診器・血圧計・パルスオキシメーター・ペンライト・舌圧子・アルコールシート・簡易手袋のみ･･･。

医師が聴診しつつ、私がSPO2を測定し続けるしかありません。

｢せめて酸素があれば･･･｣と思うのでした。患者自身は意識があるので座位のまま、“口すぼめ呼吸”をするように指示し、少しでも気道内圧･SPO2が変動しないように務めるしかありませんでした。

次の駅まで10分弱です。他にやることがない私たちは厳重に経過観察するしかありませんでした。

余談

JR各種では2014年に医療道具の常備を行っています。

まず、最初にJA東海、JR西日本などらが医療道具の常備を行い、続いてJR東日本が聴診器・血圧計・パルスオキシメーター・ペンライト・舌圧子・アルコールシート・簡易手袋の7種の道具を常備するようになりました。

AEDは以前より全車種に必ず設置されていましたが、医療道具はまだ全車種には行き渡ってないようです。

私が、観察していた中では約２名の車掌が患者に関わっていました。

• 患者によりそう人
• 救急車の手配や、次に停まる駅への連絡をする人

連絡係の方は特にドタバタしていました。

駅に到着すると、停車する足元番号のところに救急隊員が待ち構えていました。

その時には、私も冷静になり｢行き届いてるなー！｣と感心していた自分がいます･･･。

そして救急隊員に引継ぎをしつつ、患者は運ばれていきました。

救急車に乗り込んだ後は、もうできることはありません。

念のためにと、救急隊に連絡先を聞かれましたが、そのご連絡が来ることもありません。私はまた、一般の乗客に混ざって京都に向かいました。

今回のケースでは患者は無事でしたが、もしもの時は責任はどこにあるのか？裁判になるのか？

など、後々調べていると不安になることがありました。

勢いで救助に行ってしまいましたが、自分で出来ることと出来ないことを判断してから動くべきだと反省しました。

人生でそう多くない機会ですので、貴重な体験ができたとプラスに捉えて明日からも看護師がんばります。