実録！私の患者体験からの学び

看護師と患者さんの関係性やコミュニケーションの大切さ。それは学生の時から何度も言われてきた、看護師として働くうえでの基本中の基本ですよね。

看護師はみんな、しっかりやっているつもり、ちゃんと出来ているつもりだと思います。

もちろん患者さんの気持ちに寄り添う看護を徹底している看護師もいます。しかし、実際に患者さんの立場になったことがある人はどれだけいるでしょうか。

私は昨年の８月頃、いわゆる真夏ですね。県外の野外フェスティバルに参加した直後、熱中症になり、近くの病院に緊急搬送されました。

フラフラになりながらも、友人となんとか最寄りの交番までたどり着き、交番のお巡りさんが｢救急車を呼びますね。｣と言ったときに、私は看護師なのに･･･と少し恥ずかしかった記憶があります。

意識こそはなんとかありましたが、すべての会話が遠く出しているように聞こえ、頭は重く、体は暑く、自分はもしかしたらもうダメなんじゃないかと思うような感覚でした。

なんとなく熱中症だろうなと思ってはいたんですが、頭が軽く混乱していたようです。

病院に到着してからは、受け入れ看護師と、外来看護師の２名の看護師に対応してもらいましたが、その対応方法が様々でした。

私の気持ちを楽にしてくれたのは搬送先の受け入れ看護師でした。
同業者と言うことを知っていたのか否かはわかりませんが、とにかく説明が丁寧でした。

この時思ったのです。普段、都内に住んでいると聞きなれない方言を聞いただけでも不安になってしまうんだと。
もはや、何を言われてもうなずくことしかできませんでした。

それでも、カーテンを開閉や、窓の開閉、エアコンの温度の調整など看護師は今から自分が行う行為をひとつひとつ声に出してくれました。

すると、私の不安はどんどん解かれていき、安心して眠ることが出来ました。

その後、外来の処置室に運び込まれた後、外来看護師とバトンタッチしました。
外来看護師は私が看護師と知っていました。

さっぱりしていて感じが悪いわけではなかったのですが、ここまで言われると何だかナースコールを押すのにためらいがあり、ずっとトイレを我慢していました。

私が看護師ということを知っていたからこのような対応になったのだと思います。特殊なケースではあると思いますが、なんだかはじめて患者さんの気持ちになれたような気がしました。

看護師からしたら毎日行う業務でも患者さんにとってははじめての入院かもしれない。改めて患者さんへの対応の大切さが身に染みてわかりました。

以上が、私の患者経験談になります。

全くタイプの違う２名の看護師に対応をしてもらいました。
仕事が速そうなのは後者の看護師でしたが、患者が安心するのは前者の看護師だと私は思います。

仕事が出来る看護師≠患者にとって良い看護師ということですよね。

今まで、自らの意思でクリニックや外来にかかったことはもちろんありますが、今回のような患者体験は初めてでした。

今思えばもっと早い段階で“できれば看護学生時代”などに患者体験をしておけば良かったのではないか･･･。と思います。

看護師は普段は忙しく働いて、ひとつひとつの動作を素早く手早く無駄なくと考えてしまいそうですが、｢忙しそうだから声をかけにくいなぁ･･･。｣なんてことを思わせないようなスマートで余裕のある看護師をそれ以来、目指しています。

看護師の基本であるコミュニケーションの部分を、みなさんも見直してみてはいかがでしょうか。