病棟夜勤のこわーい話
皆さんは夜勤をしているときに不思議な体験、または怖い経験をしたことはありませんか?
よく聞くのは、誰もいないはずの病室からナースコールがなっている。または、黒い影が病棟をうろついているなど。
不思議な体験をされた方はたくさんいるのではないでしょうか?
そんななかでも私の体験した不思議でこわーい話をしようと思います。
深夜の3時過ぎの巡回
これは、まだ新人だったころの話です。
夜勤にも慣れて先輩たちと楽しく夜勤をしていました。
深夜の3時過ぎの巡回時間になったので、私はひとり懐中電灯を握りしめ病棟を歩いておりました。
すると、向かい側からひたひたと青い服を着た裸足の老人が歩いてきます。新人だった私は、息をのみました。
先輩方から聞いていた怖いことが起きた!頭の中は真っ白。
その老人は、そんな私をよそに「こんばんわ…」と一言だけ告げて通り過ぎます。
私は何も言えずその老人を見送るだけ。
ふと、床を見るとそこには血液が点々とある患者様の部屋に続いておりました。
その光景が何かおかしい、と思い急いでおじいさんの手をつかみます。
あれ?おかしいぞ?触れる…
なんということでしょう!暖かいではありませんか!
老人と一緒に点々と続く血液を頼りに病室に向かうと…
そこには、鍵がかかったままの体幹抑制、針先をベッド柵にかけられていても正常に動き続けている輸液ポンプ、体から外されている体動センサー(うーごくん)がありました。
転倒しなかったからよいものの、いや、もしかしたら転倒していたけどすぐ起き上がったため気づかなかったのかそれは今でも不明ですが、動けないはずの患者様がそこにいることに驚きすぐに先輩にヘルプコール。
大部屋でしたが、静かに抜け出していたらしく誰も気づいていませんでした。先輩方もその話を聞いて、ただ驚くばかりでした。
真相
その患者様は、栄養失調により一時的な入院されている患者さまでした。普段は車いすで移動する方なのですが、入院によるせん妄や輸液による栄養回復により体動が多くなり前日から体感抑制、うーごくんを家族の許可により使用しておりました。
しかし、家に帰りたいという願望が強かったためか、体感抑制をすり抜け、点滴をきれいに外し、センサーを外し自由の身になった体で病室をでたのが真相でした。
その後、体幹抑制とうーごくんでは意味がないということで、ベッド柵を2本から3本に増やし、マット型のセンサー(まった君)に切り替え、点滴は患者様の目に見えないようにルートを取り直し包帯を巻いて対処しました。
このようなせん妄患者様、認知症患者様は予測不能な行動をするということを身をもって感じる体験でした。
この経験が今でも活かされ、少しでも怪しいと思うような方には、家族の許可を前もってもらって、いざというときのために備えて先輩方とカンファレンスし対策を練っています。
抑制しすぎず安全に。この言葉を胸に安全に関する研修にはなるべく参加しています。研修や先輩の話から得られるものはすべて取り入れ、余計なケガを入院中にしないように心がけています。
最後に…
せん妄や認知症などのない患者様であっても、ある程度の年を取った方は機能に障害を少なからずもっている方が多いと思います。そんな方は自分で出来ることは自分でしたいと強く希望される方がいます。
この人なら大丈夫と思って任せていても、何かの拍子に転倒し病室のカーテンの下から助けを求めて手を伸ばしてくることもあります。
入院時にはその人にとっての安全・安心とは何なのかをアセスメントし、病室を作ることが大切だと思います。
思いもよらないことがたくさんあるということを頭の片隅に置いてほしいですね。
認知症患者様が増えている今日、その患者様にとって必要な環境は何なのか、家族がいるのであれば協力してもらえるように懸け橋となるのも看護師の仕事だと私は思っています。
グダグダと長文にお付き合いいただきありがとうございました。今後も投稿していく予定なのでどうぞ、よろしくお願いいたします!
以上!
この記事を書いた人
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20代、女性。
看護師歴5年目ではありますが、いろいろな部署を経験しています。
仕事中は神経質な面もありますが、家に帰れば大雑把な性格。
一つのことに集中すると一心不乱に突っ走ります。
血液型はA型!好きな食べ物は和食!料理大好きドタバタ看護師です!
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