単発派遣看護師の「たのしさ」と「つらさ」

派遣看護師とは、短期にしろ、長期にしろ期間を決めて派遣元会社から派遣されるシステムにある看護師です。

私が派遣看護師を知ったのは、転職を考えていた時です。これまで派遣看護師という存在を知らなかった私には大きな転機をもたらしてくれた派遣看護師のお仕事。

今回はその派遣看護師の業務内容を紹介したいと思います。

近頃、派遣法が変わったことで看護師の派遣勤務が規制されたようです。基本的にある一定の条件を満たさないと、看護師として単発派遣勤務することが不可能になりました。

私は、条件を満たしていたので正規雇用の職場を探す“つなぎ”として約半年の間、単発派遣看護師業務を行っていました。

看護師における単発派遣業務というのは、有料老人ホーム、デイケアでの日常生活援助、訪問入浴補助、訪問介護補助などの訪問看護行為、イベント会場や旅行においての救護班などの求人があり、そのほとんどが１日限定の勤務、旅行同行などでは２泊３日などの勤務があります。

“最先端の医療”を行うような職場はありません。

派遣社員のシステムは一般の派遣会社とおそらく同じで、派遣元にメンバー登録してから、派遣先に向かうというものです。私はインターネットで探した中で口コミ数が一番多くあったＡ派遣会社に登録しました。

その会社は自分で入れる日を選択して、複数ある募集から自分の働きたい場所を毎日選んでいきます。
募集の数は多く、都内だけでも１日に１００施設以上が募集をしています。時給や、勤務時間、勤務時間、業務内容などは一定のフォーマットで詳しく書かれており、その中から総合的に見て働きやすそうなところを選びます。

私は半年の期間の中で、25施設くらい勤務しましたが、中でも特に働きやすかったところは5施設くらいで、そこを頻繁にリピートして勤務日数を稼いでいました。

単発派遣看護師の業務の中で｢楽｣だと感じる点で１番大きかったのは、人間関係でした。

正直、施設によっては忙しさから由縁して、単発派遣社員に手厳しい対応をされることもありました。しかし、単発派遣では“１回限り”にできるのです。“人間関係のストレッサー”からは開放されます。

また、一般的なパートや非常勤募集に比べると人材不足が著しく、高時給です。

毎日、違う施設に行くことで様々な施設経営や、雰囲気、スタッフ間のコミュニケーションの取り方を味わうことが出来るので、学びにもなります。

逆にいいことだけではなく｢つらさ｣もあります。派遣看護師、特に単発派遣看護師では、“人材の代え”が用意されていません。そのため、一度引き受けた仕事は原則断れない仕組みになっています。

多少体調が悪くても、踏ん張って行くしかないのです。ある方の体験談では｢お腹を下して、代わりがいないとのことで何回も倒れそうになりながら勤務したが、勤務ご病院に行ったら虫垂炎だった。｣というものがあり、衝撃的でした。

事情によっては派遣元の看護師資格を持った社員が応援に来てくださることもありますが、そう何人も控えがいるわけではないので大変な迷惑がかかってしまいます。
また、如何なる理由があっても引き受けた仕事を断る行為をしてしまうとメンバー登録解除となることも少なくないようです。

そして、派遣先ではリピートしない限りは毎日違う職場なので、｢はじめまして｣の挨拶から始まり、積極的にコミュニケーションをとることが大切となります。初対面が苦手だったり緊張しやすい方は、逆にこれがストレスになることもあるようです。

社会的地位としては、“看護師の派遣社員”は浸透しておらず、｢なんで看護師なのに派遣してるの？病院で働けないの？派遣なんて安定性がない仕事なんじゃないの？｣と、様々な質問をぶつけられることもあります。

自ら派遣看護師を選ぶ時にはきちんと派遣元会社のことを調べ、どのような仕事をするのか、なぜ派遣で働くのか、自分の気持ちをしっかり固め、説明できるようにしておくといいでしょう。

また、派遣元会社によっては単発派遣看護師でも勤続すれば有給休暇が貰えることもあるようです。

まとめ

病棟勤務のストレスや、命を扱うプレッシャーに自分が病んでしまう前に、自分のライフワークに合わせて看護師として気ままに働くという派遣看護師という選択肢も持ってみてはどうでしょう。