患者さんとのやり取りで印象的だったこと(ナースコール編)
私が働いていた病院の患者さんの多くは高齢者でした。しっかりした人から、認知症の患者さんまでさまざま、面白い人もたくさんいました。そんな中での出来事を少し紹介させていただきたいと思います。
面白いナースコールの用件
なんといっても、面白いのが、ナースコールの用件です。
普段のナースコールは「痛い」とか「トイレに行きたいんですけど」といったものが多いのですが、それ以外にもさまざまな患者さんからの要求があるのです。
ナースコールはマニュアル上、ナースコールを通じて会話をすることなく、こちらから「伺います」と話し、訪室してから対応することとなっています。ところが、患者さんが先に話してしまうことが多く、電話越しで笑ってしまうこともたくさんあります。
遠山の金さんが見たい!
例えば、毎日テレビを見るのが日課だったおばあちゃんが、「今日は遠山の金さん何時からですか?」とナースコール。
「おいおい、そんなことかよ。」と思うかもしれません。
すごく忙しい時間に言われると、少しイラっとするかもしれません。それでも、患者さんが楽しみにしていることはできる限り叶えてあげたいものです。もちろん、優先順位もあるので、少し待っていただくこともありますが。
さらに、その対応はその番組が始まる時間を伝えるだけではないのです。何時からかということが分かったなら、その時間にそのチャンネルをセットしに行くのです。また、そのテレビの使用方法を伝達し、明日からもその番組が見られるように伝えることが必要なのです。
おばあちゃんの要件は、時間が知りたいだけではない、その番組を見られるようにして欲しいということが最終的な要件となるのです。
高齢者は、自宅で使用しているものと少しでも違うと、操作できないことが多く、病院のテレビもセッティングするところから説明が始まります。入院中も自宅での生活に近づけてあげたいものです。そのテレビをセットしてあげたおばあちゃんが、その後とても熱心にテレビを見ている姿を通りすがりに見かけると、微笑ましくなります。
番組を見終わったあとに、訪室した際に感想を聞こうものなら、笑顔でたくさんの話をしてくださいます。その癒しが私の毎日の原動力となるのです。
微笑ましいおじいいちゃん
また、他には、亭主関白っぽい、人にものを頼むことが苦手そうなおじいちゃんから、「今、忙しい?」とナースコール。
「はい?」と質問の意図が汲み取れないでいると、「いや、やっぱいい、忙しいならいいんだ」と言われてしまいました。それでも気になるので、訪室してみると、カバーがぐちゃぐちゃになったままの掛け布団をかけて横になっているおじいちゃん。
「自分で直そうと思ったんだけどよ…」ともじもじしているその姿がなんだか可愛くみえます。
笑ってすぐに直そうとすると、「忙しいのに悪いな」と申し訳なさそうに話すおじいちゃん、なんていい顔するんだとすっかり和んでしまいます。
これも立派な環境整備、これくらいいつでも頼んでくれて構わないのに、この患者さんの性格なのかな、一つこの患者さんのことを知れて良かったと思うのです。
そう思いつつも、忙しそうに見せていたかもしれないと少し反省、布団を直しながら、おじいちゃんと会話をする時間としした。
「また困ったらどんな小さなことでも教えてくださいね」と話すと、「今やっているところ見たから、今度は大丈夫」と強気に話すおじいちゃん、それがまた微笑ましいのです。
おわりに
忙しい中にも、楽しさもあります。私は高齢者のあの笑顔が一番のモチベーションの向上につながるので、こういった出来事を大切にしながら、仕事をしていきたいといつも思います。だから、こういったやり取りを覚えているのかもしれません。
このやり取りはいつ思い出しても笑ってしまうため、つらいときにまた頑張ろうと思う力をくれるからです。いつも楽しいわけではないけれど、こういう出来事があるからこそやめられないのです。
やっぱり看護師の仕事って素晴らしいですよね。
この記事を書いた人
- 妊娠をきっかけに看護師を辞めました。今は子どもと向き合うために専業主婦をやっています。いずれは復職を考えています。
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