ナースはつらいよ

雪国ナースの奮闘記

今は都心で看護師をしていますが、以前は雪国で長い間看護師をしていました。

雪国で生まれ育ったのでその時は当たり前のようにしていたことも、今振り返るとよく頑張ったなと思います。

そんな雪国での看護師体験をまとめました。

命がけの冬の通勤

私が住んでいたところは、豪雪地帯で寒冷地帯でもありました。

毎年3m近くの雪が積もり、夜は氷点105度ぐらいまで気温が下がります。

いつ雪による災害や凍結による事故に見舞われるかわかりません。

吹雪のときは前の車のランプしか見えないほど視界が悪化します。

雪のない時は、通勤に15分しかかからない片道も倍の1時間半も時間がかかります。

どんなに気を引き締めて慎重に運転をしても、車がスリップします。

スリップして雪の壁にぶつかることもあります。

対向車がスリップして迫ってくる時もありました。

準夜勤で夜中の1時に帰ったときは、大型トラックが横転して数台の車が下敷きになり国道をふさぎ交通止めとなり、家に帰れず車中泊をしたこともあります。

あと数分帰るのが早ければ自分もこの事故に遭っていたのかと思うと背筋が凍る思いです。

同僚は夜勤の帰りに雪崩に巻き込まれて、雪の中では携帯電話も通じず、除雪車が発動する朝まで車の中で過ごしたそうです。

こんな時は、車に準備してあったもの(下記参照)がどれだけ役に立ったかわかりません。

それでも大きな事故に遭わず今生きていられるのは神のご加護のおかげだと思います。

そんな見えない力に生かされていることが強く感じられるのが雪国です。

また、空が壊れたかのように1時間に何十cmの雪が降る日には、仕事にどんなに疲れても雪掻きが待っています。

雪に埋まって自分の車がどれだかわからないというときがあります。

せっかく雪かきをしたと思ったら自分の車ではなかったなんてことも時にあり涙がでました。

そして、凍結して車のドアが開きません。

そんな時に登場するのがペットボトルです。

そういうときは、ペットボトルなどの空容器に水道からのお湯を入れて車のドアにかけると容易にドアが開きます。

他、雪国ナースが通勤時に持っている必需品をご紹介しましょう。

  • スコップ
  • 水・非常食
  • 空のペットボトルなどの容器
  • 毛布や寝袋
  • ホッカイロ

雪国に車で出かける際には上記を準備することをお勧めします。

雪国しか体験できない病院での体験

冬になると県外からスキー場に訪れてスキー・スノボーで負傷した患者さんが来院します。

中でも印象的なのは耳鼻咽喉・口腔外科で出会った患者さんです。

顔から転倒し、顎、鼻など折れて元の顔が想像できないほど顔がぐちゃぐちゃになります。

手術を終えて浮腫もとれて元の顔に戻るとイケメンだったことがわかり、女性看護師達は、いつになく大喜びです。

なぜだか顔面骨折する人は、若いイケメンが多いのです。

また、顔から下は元気なので、ちょっと具合がよくなると退屈な入院生活が耐えられず、看護師が少ない時間帯に病院から脱走して遊ぶという患者さんもいて大変でした。

外来では、雪が降ると普段でも1~2時間しか通っていない電車とバスが遅れたり本数が少なくなり、通院が一日がかりとなる患者さんが大勢いました。

冬になると外来が終了してもそんな人でにぎわっていました。

へき地医療を体験

同じ系列の雪深いがために医師確保困難地域であるへき地医療を担っている病院で働いたこともありました。

医師は、車や電車で2時間以上離れた大学病院から派遣で週に数回、外来勤務のためにいらして下さいました。

夜間の宿直も大学病院からの派遣医師で回していました。

私が勤めていた病院はその地域では中核病院であり、周りに他の病院もなく、他の病院に行くにはひと山越えなければいけないようなところでした。

特に雪降る冬は他の病院に行くのも一苦労です。命がけのこともあります。

なのである程度何でも引き受けなければいけませんでした。

それなのに、大学病院から応援にきて医師たちときたら、専門以外診ることができず断ってしまい地域住民からは大ブーイングでした。

ある程度オールマイティーになんでも診て対応ができる医師は凄いなと思いました。

高齢者の多い地域でありましたが、きちんとその人の人生や暮らしを考えて総合的に判断ができる医師が多かったように思います。

マスコミでは、神業的な手術などができる医師をとりあげることが多いですがこんな医師も特集して欲しいなと思いますし、そんな医師たちが増えることを願っています.

雪国の冬は大変ですが、その分、春の喜びときたらそれは大きいものです。

体験した人しかわからない喜びです。

そして雪の下で耐えた野菜は甘くておいしい。

雪に負けず生きている人達も豊かな味わいがあります。

そんな地域を支える雪国ナース。

頑張れ!と私はいつもエールを送っています。

雪国で培った看護師の経験は、今、とても役に立っています。

この記事を書いた人

こごみ
十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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お年寄り大好きナース
こごみ
健康が一番!

十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。

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