送迎車の中で心肺停止!絶対死なせない!!
こんにちは、ミントです。
今回は私が特養勤務時代に遭遇した緊急事態についてお話したいと思います。
特養看護師の業務内容に「通院の付き添い」があります。
これはある90代の男性(Aさん)の受診付き添い時に実際送迎車の中で生じたお話しです。
急変とはまさにこんな事なんでしょうね…( ;∀;)。
そして、この出来事でご家族の本当の気持ちを聞くことができました。
いきなりの痙攣
その日は、Aさんに最近現れる両上肢の不随意運動の受診に脳外科に行くことになっていました。
出発前のバイタルも異常なく、意識状態もクリアーでした。
送迎車に乗り、10分程世間話をしながら穏やかな時間が流れていました。
すると、いきなりリクライニング車椅子に横になっていたAさんの不随意運動が始まり、徐々に激しくなりました。
その時はまだ会話ができていましたが、次の瞬間、間代性発作が!
四肢を大きくガクガクと震わせ、顔面蒼白に。
声かけをしても反応なし。呼吸確認するも呼吸停止。
更には心肺停止となったのです。
私は直ぐに送迎車内にあった板を床に敷き、Aさんの体をリクライニング車椅子から板の上に下ろしました。
直ぐに気道の確保・心マを開始し、運転手に「すぐに車を停めて救急車を要請してください!」と伝えました。
しかし、この日の運転手は高齢で持っていた携帯を操作できず、結局、私は心マをしながら消防に電話をしたのでした…(´;ω;`)。
絶対に死なせない!!
救急車が到着するまで、私は必死に心マをしながら「絶対に死なせない!!」と強く思っていました。
Aさんは入居当時、認知症もなく脳梗塞後遺症による歩行困難な状況でした。
元々、教師をしておられたそうで、几帳面な方でしたが時にヒョットコのお面を被り、医務室のドアをノックしては私たち看護師を驚かせたり、笑わせてくださいました。
娘さんも毎日面会に来られ、少々几帳面過ぎるところもありましたが、Aさんをとても大切にされていました。
週末にはたくさんのお孫さんや息子さんも面会に来られ、その中でAさんはとても嬉しそうにされていました。
その光景が心マをしている私の頭の中にありました。
「絶対、お子さんやお孫さんともう一度お話ししましょうね!」
私はそう言いながら心マを続けていました。
すると、顔色がやや戻り、弱いながらも自呼吸が確認されました。
と同時に救急車が送迎車の横に停まりました。
「最高の人生だった!」
救急隊到着と同時に状況の説明をしながら私もAさんに付き添い、救急車に乗り込みました。
到着した救外で医師に説明した後、待合室で待っているとご家族が来られたと同時に医師が処置室から出てきて、「今回助かったのは奇跡です。看護師さんの適切な処置のおかげです」と話されました。
Aさんの意識も回復しましたが、蘇生後脳症にてICUに入院となりました。
その日の夕方、Aさんの元にはお子さん・お孫さん全員がお見舞いに来られ、Aさんは大好きな歌を歌い、皆さんと一通りお話しをされ、「最高の人生だった!」と大きな声で話された後、意識が無くなり亡くなられたそうです。
ご家族の思い
後日、娘さんが施設に片付けに来られました。
その時、Aさんの最期の状況を初めて聞きました。
娘さんから「看護師さん、最期に父と話す時間を作ってくれて本当にありがとう。父は家族みんなに囲まれて最高の最期を苦しまずに迎えることができました。この施設に父を預ける事に後ろめたさを感じていました。世話をしてやれない自分を責めました。でも父の最期の言葉が私を救ってくれました。本当にありがとう」とお言葉をいただきました。
その言葉を聞いた時、ご家族の本当の思いを聞けたと思いました。
と同時に今まで勤めていた病院での経験が私を助けてくれた、と感じました。
まとめ
特養では最近、病気を抱えての入居者は当たり前になっています。
施設内での急変対応は勉強会などでされていると思いますが、送迎車内、外出先での急変対応もしっかり勉強する必要があると感じました。
特に特養は医療行為に特化した場所ではなく、生活に特化した場所であるため、医療機器も十分なわけではありません。
そんな中でどうすればある物・人材で適切な対応がとれるか、常に考える必要があると痛感しました。
そして、お年寄り一人一人の背景にはたくさんのお子さんやお孫さんがいらっしゃいます。
そんなご家族の事も心に置きながら特養看護師はお年寄りに接していく必要があると私は思いました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました☆彡
この記事を書いた人
- 看護学校卒業後、県立病院胸部外科病棟に就職。3年勤務し育休2年取得。年子で子供2人出産し、OP室復帰する。(その間、ケアマネージャーと福住2級取得)上の子が1年生になるのを機に特養に転職。3年目で交通事故に遭い、躁鬱病になり退職。直ぐに総合病院OP室に勤めるも短期間で退職。以後、脳外科病棟、ICU、皮膚科クリニック、特養立ち上げ、整形外科専門病院、老人病院、透析専門病院と転々とするも躁鬱病もあり長続きせず今は看護師お休み中です。
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