高齢者が夢中になる塗り絵
天候に左右されず、体力もさほど使わず、高齢者の方でも気軽に楽しめるのが塗り絵の良いところです。
昔に比べ本屋さんで沢山「大人の塗り絵」の書籍が並ぶようになりましたね。
では、高齢者の方が楽しむことのできる塗り絵とはどのようなものか、またその効果についてご紹介します。
高齢者施設だけでなくぜひ病院の方にも取り入れて頂きたいレクリエーションです。
塗り絵のメリット
脳のアンチエイチング・リハビリ
まずどのような絵なのか認識するために後頭葉を使います。
次に過去の経験をもとに、これはどんな色だったろうか思い出すのに側頭葉を使います。
次にどこに何が描かれているか全体のバランスを把握し構図を覚えるために頭頂葉を働かせます。
そしてこれらの情報は前頭葉に送られ、どのように塗るか計画し、その考えに従って前頭運動野を働かせて手を動かしていきます。
脳の様々な部分を使わなければいけないのでそれだけ脳や伝達(神経)系が活発に活動していると言えます。
脳細胞同士をつなぐシナプスは40歳以上になってくると徐々に減ってきます。
しかし、使うこと連絡。連携が採りやすくなってシナプスの減少が少なくなります。
すでにシナプスが減ってしまっている状態でも、塗り絵をする際には、失われてしまった連絡経路ではなく、他のところを使うことで、連絡・連携ができるようになります。
さらに、塗り絵をすることで、リラックスをして集中している状態になると脳にα波が出ることがある研究で判明しています。α波は、緊張しているβ波に対し、脳内の血流が30%も増えるそうですよ。
脳のアンチエイジング・リハビリに最適だと思いませんか。
回想法につながる
大抵の方は、子供の頃に塗り絵をした経験があるでしょう。
ですので塗り絵をすることで、子供の頃に戻ったような感覚になります。
昔を思い出し「懐かしい」という気持ちになることが脳に良い効果があると言われています。
認知症のリハビリの一つに「回想法」というものがあります。これは、昔を思い出して、グループや1対1で話してもらう方法です。
そうすることで、脳の海馬や前頭葉を活発に刺激することになり認知症の進行予防になるそうです。
昔懐かしの風景や童謡に関連した塗り絵を活用すると、昔の話に花が咲きますよ。
塗り絵の下絵を無料で手に入れる方法
素敵な塗り絵の書籍が沢山ありますが、予算がちょっと・・・・・(*´з`)という方は、ネットで下地をダウンロードして使ってみましょう。
おすすめサイト
季節ごとや目的別に、様々な種類の塗り絵があります。塗り絵カレンダーや、昔懐かしの大正ロマンの下絵もあり好評です。
おすすめの書籍
書籍は、下絵をコピーをして使いまわしをしています。
下記の二つは、私の一押しの書籍です。
こんな細かい塗り絵大丈夫なの?と最初思いました。
しかし、高齢の方と一緒に塗り絵をしていくと、かえって簡単な絵で単純な線で塗る面積が多いほど、途中で飽きてしまう方が多いことに気づきました。
下記のように、一つの小さな枠を塗り終わると、違う色にしようと考えるので飽きないようです。
私も実際やってみてかなりはまってしまいました。
そして、塗り終わったあとには心地よい充実感に包まれることでしょう。
「自律神経を整える塗り絵」順天堂大学医学部教授監修/小林弘幸/画/藤田有希
美しい和柄が素敵です。女性に好評です。本当に自律神経が整います。
塗るだけで脳がイキイキ若返る!曼荼羅塗り絵 監修/和田秀樹/マンダラ画/サガキケイタ
曼荼羅塗り絵は、「色のセンスがなくて、ちょっと昔からこういうのは苦手なんだよね」という人におすすめです。
センスがあろうがなかろうが、どんな色を選択しようと、どんな塗り方をしようと、誰でも味わい深く仕上がります。
その人に合った塗り絵を勧める
様々なモチーフがありますのでその人が興味のあるものを選んで頂くと楽しめますよ。
認知症がかなり進んだ方だと、色が選べないと困惑してしまう方がいます。
こういう方には、原画や写真が一緒についているものだと、それをもとに色を選べるので取り掛かりやすく困惑を予防できます。
ひと工夫をして贈り物にする
絵手紙にしてご家族やご友人に送ると、喜ばれます。
また、ご家族やご友人に感想を言ってもらうと認められたという思いやモチベーションが上がります。
許可してから飾る
飾るのが当たり前と思って本人の許可なく作品を飾っていませんか?
昔から、「自分でセンスがなくて苦手なのに人前に許可なく飾るなんて恥ずかしい」と言葉にだせないけれど思っている方もいます。
ファイルに綴って自分だけで楽しみたいという方もいるのです。
許可なしに人前に出すことは、人権侵害になりますので、必ず本人の許可を得てから飾りましょう。
まとめ
高齢者だけでなく、ストレスが溜まっている方にもおすすめです。
私自身も塗り絵を楽しんでいます(*^▽^*)
医療現場でで塗り絵を取り入れたい時は、何せ施設と違いエビデンスが必要ですので、ぜひご活用頂き他のスタッフにも協力してもらいましょう。
高齢者の楽しみや生き甲斐に繋がれば幸いです。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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