仕事ができない原因は大人の発達障害なのでは？

私の職場（特養）に、他部署から3　看護師実務経験10年の30代独身の女性看護師A子さんが異動してきました。

1年付き合っているのですが、物忘れやこだわりが強く臨機応変がまるでできずどうもおかしいのす。

どう指導しても暖簾に腕押しなのです。

若年性の認知症？かとも思いましたが、それとは違うのです。

たまたま看護実習指導者研修で、発達心理学の中で、「大人の発達障害」の講義を受けてピンっときました。

そこで、発達障害について学習し関わり方を変えてみることにしました。

出勤は、いつも時間ぎりぎり数分前に走ってきます。

申し送り情報収集をしても、自分が何をすべきなのか計画を全く立てられません。

実際に細かく５W１Hで細かく伝えないと動かないのです。

そう伝えないと自分の都合の良いように話を解釈し、自分の思い込みで仕事をしてしまいます。

往診についても先が読めないので、診療の介助も、カルテの準備も指示しなければできず、ただ立っているだけです。

そして、1つ以上のことを頼むと必ずいくつか忘れます。

仕事後の片づけはできずいつも出しっぱなしです。どんなに注意しても整理整頓が身に付きまません。

急変時は、パニックになって、大したことがないのにすぐに救急車を呼ぼうとします。

しかし、いつも淡々としていて、ミスをして注意を叱っても聞いているのかと思うほどです。

また、ここだけの話というのが通用しません。必ず他言します。

例えばまだ公になっていない人事異動を話して波紋を呼んだり、入居者のプライベートなことを他の家族に話してしまいヒンシュクをかっています。

本人にはまったく悪気はなく自覚がまるでありません。

仕事ができないという自覚もないので、自ら学ぼうとしたり研修に行くこともないのです。

点滴の三方活栓の扱い方が分からないので点滴ルートを練習用にとっておいたのですが、「これ誰が練習するのですか？」と言われました。

新卒を採用しない会社であり、みな経験者であるため点滴ができないのはA子さんしかいません。

ある日、なんで看護師になったのか動機を聞いたら、「熱い気持ちはあったと思うのですが忘れました」と言われた時には「もう看護師やめてくれ！」と思いました。

よく看護師になれて今までやってこれたなというのが正直な感想です。

だから、Aさんは今まで、常に医師・看護師の目が行き届くICU勤務だったのかもと推測してしまいました。

では、簡単に発達障害の特徴について簡単に説明します。

発達障害は、大きく3つに分けられます。

一つ目は以前はアスペルガー症候群（AS）と言われた自閉症スペクトラム（ASD）。

2つ目は、注意欠如多動性障害（ADHD）。

そして3つ目は、学習障害（LD）です。

看護学校を卒業して国家試験に受かり看護師となっているわけですから、看護師にはLDはまずいないということです。

しかし、AS・ADHDは、知的障害を伴わないことが多いため学校は卒業できるが、社会に出て他人とコミュニケーションをとったり、暗黙のルールを守ったり、ミス抜け漏れなく社会生活を送ったりすることに困難を感じる場面が多くなるようです。

それではASDとADHDの特徴についてもう少し詳しくお話します。

自閉症スペクトラムASDの特徴

アスペルガー症候群は、広い意味での「自閉症」に含まれる一つのタイプで「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、興味・関心の偏り」「コミュニケーション障害」が特徴です。
１． 明確な指示がないと動けない
２． 場の空気を読むことができない、空気に沿った対応ができない
３． 冗談が通じず、会話の行間や間を読むことができない
４． あいまいなことを理解できない
５． 好きなことは永遠とやり続けてしまう、話し続けてしまう
６． スケジュール管理ができない
７． 自分が興味がないことは頑なに手を出そうとしない
８． 急な変更に上手く対応できず騙されやすい
９． 名前を呼ばれないと自分だと気づかない
１０． 相手の気持ちをおもんぱかれない、人を傷つけることを平気で言う

注意欠如多動性障害（ADHD）の特徴

「不注意」「多動性」「衝動性」の３つに分けることができます。

●不注意

• 忘れ物が多い
• 時間管理が苦手
• かたずけや整理整頓が苦手
• 注意が長続きせず気が散りやすい
• 話を聞いていないように見える
• 仕事や作業が順序だてて行うことが苦手

●多動性

• 貧乏ゆすりなど目的のない動き
• 過度なおしゃべり

●衝動性

• 会話の流れを気にせず思いついたらすぐに発言する
• 衝動買いをする

発達障害を学んでも、医師ではないのでどれになるかは診断ができません。

しかし、発達障害かもと思うとA子さんへの怒りが軽減しました。

経験年数を積んでいるからと言って同じようにできるようになると思わないことにしました。

A子さんができること、得意なことなど個性を活かせるようにして、誰にも迷惑が掛からないように仕事ができるようにすればいいのだと自分の考えを変えることにしました。

今までできないことに目を向けがちでしたが、A子さんにできること探してみました。

言ったことには慎重にこだわってミスなくできるので、内服のセットを頼むことができます。

パソコンへのデータ入力もできます。

コミュニケーションに関しては、A子さんはとてもお話し好きで、話しやすい職員や入居者を捕まえては、お話に没頭してしまいます。

他の職員にも協力してもらい、目が余るときは介護職からも注意してもらうようにしてもらっています。

また、これくらいの行間やニュアンスはわかるだろうと期待せず、真実を伝えることにしました。

そして、他人に対して言ってはいけないこと、他人はこのような嫌な感情になることを、きちんと伝えることにしました。

遠慮は禁物です。

大人の発達障害の症例だと思い接すれば、どうにかやっていけると希望が持てるようになりました。

ただし、急変時は適切な判断ができませんので、一人で判断できませんので、必ず他の看護師を呼ぶようにと本人にも介護職にも伝え対応しています。

大学の心理学や精神科の医師によれば、大人の発達障害の認知度も高まったせいもありますが、年々増えてきているそうです。

先天的が特性であり根本的な治療はまだないと言われていますが、食事や生活習慣が大きく影響していることがあるそうです。

例えば、実家から離れて一人暮らしをして生活習慣が乱れ栄養のバランスが乱れて、症状が悪化するケースがあるそうです。

A子さんもその一人のようです。

すでに看護学校にもそのような子が増えていると聞き、この世の中はどうなってしまうのか一抹の不安を感じます。

学生のうちに気づき、本人も自覚し、本人のあった職場に就職できればいいと思います。

教授が言っていたように研究職など、好きなことをとことん追求する発達障害の人には向いているそうです。

発達障害の天才有名人としてアインシュタインやエジソン、Appleのステーブン・ジョブズなどが有名です。

また、生活習慣や食事が脳の発達に影響することを知り、この世に保存料や着色料など化学物質が多く入った食品が蔓延しない世の中にしないと日本は危ないと感じました。

利便性、利己主義に走らず、自分の健康や世の中のことを考えて食品を選びたいと思います。

引用：大人の発達障害　Kaien