職場の人間関係を円滑にするために「飲みにケーション」は本当に有効なのか?
最近、職場であまり「飲みにケーション」という言葉を聞かなくなりましたが、未だに「飲み会は親睦を深めるには必要」「社会人となったらできるだけ参加するのが常識」と言う人が少なからずいます。
私は、お酒も人付き合いも苦手なためかなりのストレスとなり長年悩まされました。
しかし、社会人20年が過ぎようやくこのストレスから解放されました。
「飲みにケーションが必要」と考える人の意見
以前、主任研修のグループワークで「職場のコミュニケーションが足りない場合どうすればいいか?職場の風通しをよくするにはどうしたらいいか?」というテーマで話し合う機会がありました。どのグループも共通して上がった意見は「飲みにケーションの機会を増やす」でした。
「飲みにケーション」が苦手な私は、なぜそう思うのかその理由を根ほり葉ほり聞きました。
すると以下のような意見が上がりました。
- 無礼講で上下関係の垣根を越えて話すことができる
- 普段話さない人と話すことができ仲良くなれる機会となる
- お酒が入ることでお互いの距離が近くなり仕事がしやすくなる
- 普段できない話ができる
- 本音や真意を聞くことができる
- 本音で語り合うことができる
- ストレス発散になる
その頃の私は、自分を受け入れることができないうえに、自分の変なプライドが邪魔し「飲みにケーション」が苦手で、できるならば「飲み会」に参加したくないとも言えず、「飲みにケーション」が苦手=ダメなリーダーという勝手な思い込みで自己嫌悪に陥りました。
形式的には、職場の飲み会の参加は自由意志にもとづくことになっていますが、断ると「付き合いが悪い」というレッテルを張られます。
それがさらに自分を自分でダメ人間として陥れていったのです。
お酒の生理的効果
生理的にどのような効果があるのか、実際を知らべてみました。
お酒は、脳に大きな影響を与えます。
お酒は、気持ちを気分を高揚させるドーパミンの分泌を促す一方でセロトニンの分泌を促す作用もあります。
セロトニンは、過剰な動きや不安、恐怖といった感情を抑え、気持ちを鎮静化させるために働く脳内の神経伝達物質です。
ストレスを抑冴える働きがあります。
体の緊張、心拍や血圧をあげるなどの働きをする副腎皮質ホルモンやノルアドレナリンの分泌も抑えます。
つまりお酒は、楽しい気分を盛り上げストレスにさらされて緊張した心身を解きほぐすのだから、人間関係を円滑にするのに役立ちそうです。
しかし副作用もあることもお忘れなく。
お酒が、ドーパミン放出して影響を与えるのは、最初の役20分だと言われています。
そして、酔っぱらった状態というのは、アルコールの麻酔作用によるものです。
この麻酔作用により、脳の大脳皮質がコントロール機能を失います。
大脳皮質は、意識や理性を司ります。
大脳皮質がコントロールできなくなると大脳辺縁系の働きが活発化します。
大脳辺縁系は、本能や情緒、感情を司る部分です。
よってお酒を飲むと理性の働きが低下し本能や感情の動きは活発化し、思考力・判断力は低下するのです。
理性を失いついついセクハラ・パワハラとなることもあり、せっかくの飲みにケーションも台無しになってしまいます。
さらに二日酔いになるほど飲みすぎると、通常の3倍もの神経細胞が死滅するそうです。
ストレス解消をお酒に求めるとアルコール依存症に発展しかねません。
適量ならば人間関係を円滑するのに役立ちそうですね。
「飲みにケーション」が苦手な人の意見
しかしお酒を飲めない人、私のように苦手な人もいます。
私は、お酒には強いのですが味が苦手です。何度試しても美味しいと思えません。しかも集団で楽しむというのが苦手なのです。
毎回断るのは、「社会人として常識に欠ける」と言われたり、心象が悪くなるのが分かったので何回に1回は誘われたら行くことにしています。
しかし、「義務感」によって参加する飲み会は本当に苦痛です。仕事の延長にしか過ぎません。
本当に飲みにケーションは有効か人間観察することにしました。
飲みに行けば苦手な人と打ち解けられる、誰とでも親睦が深められるなんて、ほとんどあり得ないと思います。
もともとある人間関係を増幅させるだけです。
普段から仲のいい人とはお酒が潤滑油となり楽しく盛り上がります。
普段話す機会が少なかったり関係が薄い人とは、お酒が着火剤になり「これを機に話してみよう」となります。
元々、苦手な人と飲むと、お酒が感情という火に油を注ぐようにさらに苦手になります。
仲の良い人たち、気の合う人たちと飲みにいけば確かに親睦を深めることができます。
そういう飲み会は楽しくプラスの感情をさらに大きなプラスに増幅することになるでしょう。
しかし、お酒、飲み会が苦手な人の苦手な部分はさらに強調され、マイナス感情をさらにマイナスに増幅しているだけです。
「職場」という単位に固執してもいいことはありません。
飲みたいと人、行きたい人とだけ行けばいいことなのです。
結局のところ、お酒の力を借りる前に普段の会話が必要なのではないでしょうか。
さいごに
「飲みにケーション」に意味があるかどうか一方的に決められるものではなく、相手にもそれに意味があると思えるならばいいのいいのではないでしょうか。
飲み会以外に、傾聴やコミュニケーションの研修やワークショップなどで体感共有したほうが、職場の人間関係を円滑、活性化するのに何倍も効果があるように思えます。
昔の私は、世のテレビドラマなどに影響されて、職場の人、誰とでも仲良くしなければ、できるだけ多くの人に好かれなければという強迫観念がありました。
そして自分自身の自信のなさから人に合わせることを最優先していたように思います。
しかし、人間同士そう簡単に分かり合えるものでなく、一生涯の上で1人ぐらい巡り合えばラッキーかもしれないと思うようになりました。
しかも、職場は、仲良しクラブではなくあくまでも仕事仲間ですので、真面目に働いているならば、飲み会に出ないくらいで信用を失ったり仕事に影響が出ることはないということが経験から分かりました。
でも時々、飲み会に出席するのは社会勉強になるのでおすすめします。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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