救急車を呼ぶ立場になって気づいたこと
病院で働いていた時は外来で救急車を受ける立場でしたが、特養で働くようになり救急車を呼ぶ立場になりました。
今では慣れましたが、はじめの頃は看護師なのにドキドキしました。
そして、急変時のご家族や患者さんの気持ちが改めてわかったように感じます。
また、初期対応の知識の低さを感じ勉強する機会となりました。
救急車を呼んだ体験談をまとめてみましたのでご参照くださいませ。
病院経験しかないと困惑する
特養は、医師が常勤せずいつでも医師に連絡がとれるわけでもなく、急変時は看護師が指示出しをして初期対応にあたらなければいけません。
と言っても、周りにいるのは看護師ではなく介護職です。
しかも、高齢者施設の人手不足はかなり深刻でヘルパーや介護福祉士などの資格もなく、職員の勤続年数が短い状態にあるので、ほとんど一般の方達と変わりません。
急変時の対応の勉強会をしても、私の教育や指導力のなさも影響するのかもしれませんが、病院と違って経験値も少なく危機感もあまりなく身につきにくいものです。
いざ急変時となると、介護職は、「脈はどこだっけ?」実際は触れるのに「脈が触れない!」なんて慌てることが多々あります。
看護師が急変した利用者さんの対応をするから、ご家族に電話してと頼んでも、状況が把握できないため「なんて話していいかわかりません。」と匙を投げられ、看護師が何役もこなさなければいけません。
救急車を呼ぶ前に救急蘇生・延命処置の確認
今何かと話題になっている救急時の延命処置について確認しなければいけません。
救急車を呼んで病院へ行くということは、延命を望むということになるからです。
運よく年齢やご家族・本人の意思を加味してアセスメントしムンテラしてから、救急蘇生をしてくれますが、そんな優秀なDrにあたる確率は50%といった感じです。
高齢者は、予期せぬ事態や急変が起こりやすいため、入所時・1年毎に延命処置・救急蘇生の希望についてご家族に確認をしています。そのようなことが起こりやすいということも認識してもらう機会にもなりますし、急変時は、ゆっくりと詳しく説明ができないからです。
救急蘇生を望まないと希望していても、いざという時、気持ちが変わるご家族は多いものです。なので、急変時は再確認しています。
ご家族の気持ち
蘇生や延命を望まないけれど救急車で病院に行って、医師に今どのような状態なのか説明してほしいというご家族もいます。
救急隊に申し訳ないと思いつつ、ご家族の強い希望に根負けして救急車を呼ぶことがあります。
ときに、ご家族が勝手に救急車を呼んでしまうこともあります。
そんなことでも受け入れてくれる救急隊や病院には感謝の気持ちでいっぱいです。
提携病院ならば大抵は受け入れてくれるのですが、提携病院のない施設はたらいまわしに合い大変だと聞きます。
わかってくれない病院
病院の看護師や医師は、「施設のカルテに救急蘇生・延命処置は一切望まないとなっているのに、何で救急にきたのですか?」と、施設職員にきつく問うのです。
「ご家族の強いご希望です」と話しても、中には、「それだったら事前に確認する意味がないんじゃないですか?それで決まっていたのにわざわざ確認するからでしょ!」と返ってきたことが何度かあり怒りがこみ上げてきました。
でも、施設の状況なんてわかる医師なんていないから仕方ないと気持ちを収めました。
どうであれ、救急蘇生してもらったことに対しご家族が納得し受け入れているので、これで良かったのだと自分に言い聞かせています。
ご本人のお気持ちを知ることができないのが残念ですが・・・
119をするとコールバックがくる
119に電話をしてしばらくすると、その電話に救急車の中の救急隊からコールバックがきます。
救急隊は、今の状態を聞きその場でできることがあれば指示してくれます。
もし、どう対応していいかわからないときは、どんな小さなことでもいいので聞くとわかりやすく丁寧に説明してくれます。
そのような落ち着いた救急隊の対応が、私たちの気持ちを冷静にさせてくれます。
よって、119するときは、お手持ちの携帯から電話をするとよいでしょう。
携帯のスピーカーシステムを使えば、その場にいるすべての人と一緒に指示を聞くことができ、早期対応ができます。
消防車が来た!?
「あれ?間違えて199したっけ?」と思い聞いてみると、救急車が出払っていないので、少しでも早く救命処置をするためと消防隊が駆け付けてくれたのです。
しかし、病院には向かうには救急車が到着するまでできないそうです。
救急車の中
救急隊がてきぱきと適切な対応をしモニターで常に状態を観察して頂けるので安心です。
そして、救急車は普通車に比べる揺れが強いです。私は、普段車で酔ったことがなかったのですが、救急車の揺れには酔うほどです。
患者より顔色の悪くなった私にも救急隊の方は、優しく接してくれてありがたいかぎりです。
救急隊には感謝!
施設に認知症を患っている本人にご家族がさみしいといけないのでと携帯を渡したら、ちょっとしたことで救急車を呼んでしまい困っています。
ある時は、誰がみても明らかに食べ過ぎて嘔吐しているだけなのに、救急車を呼んでしまったのです。施設の職員に知らせず救急車を呼んだので、いきなり救急車が施設に来てビックリです。
事情を説明したのですが、本人が苦痛を訴えているので放っていおくわけにいかないと、救急隊が親切に病院に連れて行ってくれました。
他の施設に勤めている看護師達にも聞いてみると、救急車をむやみに呼ぶ常習犯がいるということです。
救急隊の苦労を痛感し、本当に救命できる人が救えない世の中だと感じました。
脳疾患や認知症などの疾患で自分の意思を伝えられなくなる前に、誰もがリビングウイルを理解し活用できる世の中になっていくといいなと感じます。
そして、本人・ご家族のご希望にそえるように、施設でよりよい教育や指導をしていきたいと思います。
この記事を書いた人
- 十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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十数年、一般病院で勤務。その後、老年看護、認知症看護、ターミナルケアに興味があり老人施設に就職しました。現在、認知症ケアに特化し、看取りを積極的に行っている老人施設で働いています。
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