看護師さんにこそ知ってほしい!地域包括支援センターのお仕事②
こんにちは、保健師のアオです。地域包括支援センターには保健師または看護師、社会福祉士、主任ケアマネジャーという3職種が配置されており、各職種ごとにそれぞれの得意分野を活かしながら仕事をしています。しかし、実際にはどんな仕事をしているのかが見えにくい機関であると思います。超高齢社会の今、医療と介護の連携は必須!今回は地域包括支援センターのお仕事 第2弾をご紹介いたします。
介護予防ケアマネジメント業務
介護予防ケアマネジメント業務とは、介護が必要な状態にならないように予防すること。また、たとえ介護が必要な状態になったとしても、状態が悪化しないように防ぐこと。この業務は主に保健師が中心になり担当しています。対象となるのは、(1)要支援1または2の認定を受けている者、(2)認定を受けていないが介護が必要になる恐れの高い者(二次予防事業対象者)、(3)一般高齢者と、大きく分けて3つに分類されます。それぞれの対象者が、介護予防に取り組めるように必要なサービスや機関につなぐことが、地域包括支援センター職員の仕事になります。
(1)要支援1、2
介護保険の認定には7段階あります。支援を受けられたら独居生活も可能なレベルの要支援の1、2という認定。介護が必要な要介護1~5の認定。要支援1が一番お元気で、要介護5が一番介護度が重く寝たきりや重度認知症の方が当てはまります。地域包括支援センターは、要支援1、2の方が介護保険サービスを利用できるよう相談・調整役となります。ここで忘れてはいけないのが、「介護予防」という視点です。要支援の認定を受けた者は、本人自ら介護予防に取り組むということが義務付けられているのです。困ったときや弱った時には介護保険サービスを利用し、元気になったら介護保険サービスを卒業するというのが、本来の介護保険の利用方法です。しかし、権利を主張する高齢者には「これまで介護保険料を払ってきたのだから、いつまでも介護保険サービスを利用しても良いだろう」と言われたり、変化を好まない高齢者からは「せっかくデイサービスでお友達ができたから、やめたくない」と言われたり…なかなか介護保険サービス卒業を目指すことは難しいのが現状です。ここは職員の腕の見せ所。サービス導入時から、「元気になったら介護保険サービスを卒業してどんなふうに過ごしたいか」ということを本人と話し合い、ケアプランを作成して、本人が目標を持って介護予防に取り組めるように支援することが大切です。これにより、「元気になるために」通所サービスや訪問介護、訪問看護を利用していくこととなります。病院の退院を機に介護保険サービスを利用する方も多いのですが、ぜひ看護師さんからも「介護保険は元気になったら卒業できる制度ですよ」ということを伝えていただけたらと思います。
(2)二次予防事業対象者
介護保険の認定を受けるほどではないけれど、このままの状態が続けば介護が必要になる恐れの高い者がこの対象です。生活機能チェックリストという25項目の質問紙を用いて、「運動不足」「口腔機能低下」「低栄養」や「うつ」「閉じこもり」「認知機能低下」などの状況をチェックし、該当項目の数に応じて二次予防事業対象者と認定されることになります。該当者にはケアプランを作成して、通所型や訪問型の介護予防事業への参加ができるように促します。本人が目標を持って事業に参加できるように支援することが大切です。入院中の高齢者が退院する時、「介護保険サービスを使うほどではないけどなんとなく心配」という方がいる場合は、二次予防事業の利用という方法もありますのでぜひ地域包括支援センターにご相談くださいね。
(3)一般高齢者
二次予防事業対象者にも該当しない、お元気な高齢者には、今の元気さを維持してもらえるように健康増進のアドバイスをしたり、運動や交流ができる場の情報提供を行います。きめ細かなアドバイスができるように、職員は日頃から地域の情報収集に励んでいます。
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるためには、主治医とケアマネジャーの連携、在宅と施設の連携など、一人ひとりについて主治医や介護支援専門員など様々な職種が連携し、個々の高齢者の状況やその変化に応じて継続的にフォローアップしていく必要があります。この包括的・継続的マネジメント業務は、主にケアマネジャーが担当しています。内容としては、地域のケアマネジャーからの相談への対応、困難事例については地域住民や専門職を招集して地域ケア会議の開催、地域の社会資源との連携・協力体制の整備など、多岐にわたります。
地域包括支援センターでは、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーがそれぞれに業務を行うと同時に、各職種がお互いに連携・協働しながら、チームとして総合的に仕事をしています。複数の病気を持ちながら地域で暮らす高齢者の支援をするためには、医療との連携は必須!病院で働く看護師さんたちには、ぜひ地域包括支援センターを活用していただきたいと思います。
この記事を書いた人
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病棟看護師として2年勤めた後、保健師へ転職。
現在、保健師8年目。プライベートでは二児の母であり、ワーキングマザー6年目。
主に、地域での看護のお仕事や子育てとの両立についての記事を書いていきたいと思います。
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